乗算表(乗法表)を用いて 1 次合同方程式を解きます

乗算表(乗法表)

 ある法 (mod) における剰余類ごとの掛け算をまとめた 乗算表(乗法表) を用意しておくと計算するときに便利です。特に合同式の割り算をするときには重宝します。$\mathrm{mod}\;7$ における乗算表は次のようになります。

 Excel で作成したmod7の合同式乗算表

 たとえば $x\equiv 4\times 5\:(\mathrm{mod}\;7)$ を求めたいときは、対応する数字が交差するところを見ます。$6$ という数字があるので、$x\equiv 6\:(\mathrm{mod}\;7)$ であることがわかります。もちろん合同式なので実際には
 
\[C_4\times C_5=C_6\:(\mathrm{mod}\;7)\]
という計算をしているわけで、$C_6$ に属する
 
\[x\equiv \cdots\:-8,\:-1,\:6,\:13,\:20,\:\cdots\:(\mathrm{mod}\;7)\]
のどれもが答えとなります。普通は一番小さな正数を代表に選んで答えますが、合同式の計算は剰余類同士の演算であることは常に頭に入れておく必要があります。
 

1 次合同方程式

 $x\equiv 4\times 5\:(\mathrm{mod}\;7)$ のような掛け算の場合は、わざわざ表など使わなくても $4\times 5=20$ を $7$ で割れば $6$ 余ることはすぐにわかるので、乗算表の有難味はほとんどありません。乗算表は主に割り算で用います。たとえば合同式で $5\div 3$ という割り算をすることは、
 
\[3x\equiv 5\:(\mathrm{mod}\;7)\]
を満たすような $x$ を求めるということです。このような方程式を 1 次合同方程式 (linear congruence equation) とよびます。上の方程式を乗算表を使って解いてみます。まず黄色く塗られた部分の $3$ という数字のある行(または列)から $5$ という数字を見つけます。対応する列(または行)が $4$ なので、解は $x\equiv 4\:(\mathrm{mod}\;7)$ であることがわかります。

 乗算表(乗法表)を用いた合同方程式の解き方

 つまり合同式では
 
\[5\div 3\equiv 4\:(\mathrm{mod}\;7)\]
という計算式が成り立つのです。このあたりの感覚は最初のうちは戸惑いますが、訓練を重ねるうちに慣れてきます。しかし $6\div 2$ のような計算、すなわち
 
\[2x\equiv 6\:(\mathrm{mod}\;7)\]
の解は(両辺の数字が等しければもちろん合同なので)、乗算表を用いなくても $x\equiv 3\:(\mathrm{mod}\;7)$ であることがわかりそうな気がします。$\mathrm{mod}\;7$ においてはそうしても構わないのですが、一般的にはこのような解き方ができるのかどうか注意する必要があります。というのは、$C_3$ 以外に方程式を満たす解が存在する可能性があるからです。

 乗算表を眺めると、$\mathrm{mod}\;7$ においては各行・各列で重なっている数字、欠けている数字がないので、全ての類同士で割り算が可能であることがわかります。そういう点で $\mathrm{mod}\;7$ はとても性質が良くて扱いやすい法なのです。しかし法の選び方によっては、合同方程式の解が常があるとは限らないし、また解がひとつの類に定まらないこともあります。次回は $\mathrm{mod}\;6$ における 1 次合同方程式を考えてみます。

 ≫ 合同式の両辺を割ることのできる条件 ≫ 初等整数論入門講座

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