藤井聡太四段の 29 連勝を確率の視点で検討してみました

今年は将棋界が盛り上がりました

 『なんとなくの数学日記』です。私は将棋ファンなので(← 棋力はたいしたことない)、今年は将棋に関する大きなニュースがたくさんあってワクワクした一年でした。つい先日も羽生善治が永世七冠となり、国民栄誉賞の授与が検討されているというニュースが大きく取り上げられましたね。

 そして今年は 藤井聡太四段 という中学生棋士が前人未到の 公式戦 29 連勝 を達成し、世間の注目を集めました。普段から数字(特に確率計算)に親しんでいる人は、この「29」という数字を目にしただけで「!!!」と驚くのではないでしょうか。
 
 

29 連勝を数学的に検討してみます

 そこで今回は、この 29 連勝を確率的に考えると、どのくらいすごい事なのか検証してみたいと思います。最初に藤井四段が他の全ての棋士と同等の実力しかないと仮定してみます。つまり、ある1人の棋士と 10 局戦ったら、平均して 5 勝 5 敗という戦績になるとします。その場合は 29 連戦して全ての対局で勝つ確率は
 
\[\left(\frac{1}{2}\right)^{29}=\frac{1}{536870912}\]
という天文学的な数字になります。約 5 億分の 1 です。少なくとも藤井四段は他の棋士と同等の強さということはなさそうです。そこで藤井四段が他の棋士に対して 10 局戦って、6 勝 4 敗の実力があると仮定してみます。つまり 1 局当たりで勝つ確率は 6/10 であり、29 連戦の全てに勝つ確率は
 
\[\left(\frac{6}{10}\right)^{29}=\frac{1}{2714024}\]
 およそ 3 百万分の 1 です。どうやら「他の棋士より少し強い」という程度では 29 連勝を達成するのは極めて難しいようです。そこで今度は藤井四段が 8 勝 2 敗の実力があると仮定すると、
 
\[\left(\frac{8}{10}\right)^{29}=\frac{1}{646}\]
 うん。これなら「もしかすると」と思わせる数字ですね。宝クジに当たるよりは可能性があります。もうひとつ上げて 9 勝 1 敗の実力を仮定してみます。
 
\[\left(\frac{9}{10}\right)^{29}=\frac{1}{21}\]
 これでも確率は 1/21 しかないのです。最後に 29 連勝する確率がちょうど 1/4 となる実力を計算してみます。100 戦して x 勝する実力があるとすると、
 
\[\left(\frac{x}{100}\right)^{29}=\frac{1}{4}\]
 両辺の常用対数をとると
 
\[29\,(\log_{10}\,x-2)=\log_{10}\,\left(\frac{1}{4}\right)\]
 式を整理して

\[\log_{10}\,x=2+\frac{\log_{10}\,(1/4)}{29}\] 
 右辺を Excel で計算させてみると $1.97924$ となります。よって
 
\[x=10^{1.97924}=95.33213\]
 つまり平均して1人当たりに 100 戦して 95 勝する実力があって、ようやく 1/4 の確率で 29 連勝を達成できるのです。やはり 29 連勝というのは途方もない記録なのです。30 連勝とならなかったのは残念ですが、29 は素数なので、記録として残すにはこの数字のほうが美しいなと思いました(← ものすごく個人的で勝手な意見)。

スポンサーリンク
末尾広告
末尾広告

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください