複素数とガウス平面、絶対値と共役、オイラーの公式

複素数 Complex number

 虚数単位 i と実数 x, y を組合わせた数を 複素数 (complex number) とよびます。
 
\[z \equiv x+iy \tag{1}\]
 複素数とは単位 (素) が "1" と "i" というように 2 種類(複)あるという意味です。
  (1) を丁寧に書けば
\[z=1\cdot x+i\cdot y \]
となり、つまり 1 と i の線形結合であることを示しています( 1 と i は線型独立です)。その結合定数である x を実部 (real part) 、 y を 虚部 (imaginary part) とよび、それぞれ
 
\[x=\mathrm{Re}z,\quad y=\mathrm{Im}z\tag{2}\]
と書くこともあります。
 

複素数平面

 横軸に実部 x, 縦軸に 虚部 y をとって座標をを設定すると、 z をこの平面上の1点として表すことができます。

 複素数平面(ガウス平面)

 このような平面のことを 複素数平面(complex plane)、あるいはガウス平面(Gaussian plane)とよびます。任意の複素数は複素数平面上のベクトルとみることもできます。
 

共役な複素数

 ある複素数 z について虚部の符号を反転させた数を 共役複素数 (complex conjugate) とよび、
 
\[\bar{z}=x-iy\tag{3}\]
と書きます。上の図にあるように複素数平面上では x 軸に関して対称な位置にあります。
 

複素数の絶対値

 z = x + iy の絶対値は複素数平面上で原点と (x, y) を結んだ線分(つまり z をベクトルとみた場合の大きさ)になるように定義されています。
 
\[|z| \equiv \sqrt{x^2+y^2}\]
 ここで z と z の積をつくると
 
\[z \bar{z}=(x+iy)(x-iy)=x^2+y^2\]
となるので、
 
\[|z|=\sqrt{z\bar{z}} \sqrt{x^2+y^2} \tag{4}\]
と書くことができます。
 

複素数の加算と減算

 z1 = a + bi, z2 = c + di について和と差を次のように定義します。

\[z_1 \pm z_2 \equiv (a \pm c)+(b \pm d)i\tag{5}\]
 実部同士、虚部同士を足す(引く)演算です。

 複素数ベクトルの加算減産

 複素数平面上においては z1 と z2 がつくる平行四辺形の対角線となります。
 

複素数の積

 z1 = a + bi と z2 = c + di の積は普通の展開公式に沿って次のように計算できます。
 
\[z_1z_2 = ac-bd+(ad+bc)i \tag{6}\]
 また z1 z2 の絶対値を計算すると
 
\[|z_1z_2|=\sqrt{(a^2+b^2)(c^2+d^2)}=|z_1||z_2|\]
となります。つまり複素数の積の絶対値は、各々の絶対値の積に等しくなっています。
 

複素数の除算

 z1 = a + bi と z2 = c + di の除算は次のようになります。
 
\[\frac{z_1}{z_2} = \frac{ac+bd}{c^2+d^2}+\frac{bc-ad}{c^2+d^2}i\tag{7} \]
 左辺の分母と分子に c - di を掛けると右辺が得られます。
 

オイラーの公式 Euler's formula

 オイラーの式指数関数三角関数虚数単位 を結びつけるとても美しい式です。
 
\[\begin{align*}e^{i\theta}=\mathrm{cos}\theta+i\:\mathrm{sin}\theta \tag{8}\\[8pt]
e^{-i\theta}=\mathrm{cos}\theta-i\:\mathrm{sin}\theta \tag{9}
\end{align*}\]

証明① 級数展開で証明します

 証明には正弦関数と余弦関数の級数展開を用います。
 
\[\begin{align*}\mathrm{cos}\theta=1-\frac{1}{2!}\theta^2+\frac{1}{4!}\theta^4-\frac{1}{6!}\theta^6+\:\cdots\cdots\\
\mathrm{sin}\theta=1-\frac{1}{3!}\theta^3+\frac{1}{5!}\theta^5-\frac{1}{7!}\theta^7+\:\cdots\cdots\end{align*}\]
ですから、
 
\[\mathrm{cos}\theta+i\:\mathrm{sin}\theta=1+i\theta+\frac{1}{2!}(i\theta)^2+\frac{1}{3!}(i\theta)^3+\cdots\cdots=\sum_{n=0}^\infty(i\theta)^n\]
 最後の式は指数関数の級数展開
 
\[e^x=\sum_{n=0}^\infty x^n\]
において x ⇒ iθ と置き換えたものですから、
 
\[e^{i\theta}=\mathrm{cos}\theta+i\:\mathrm{sin}\theta \tag{10}\]
を得ることができます。さらに θ ⇒ -iθ と置き換えると共役な複素数を得ることができます。
 
\[e^{-i\theta}=\mathrm{cos}\theta-i\:\mathrm{sin}\theta \tag{11}\]

証明② 微分方程式を解きます

 微分方程式を解く方法がよりスマートかもしれません。
 
\[f(x)=\mathrm{cos}x+i\:\mathrm{sin}x\]
とおくと f(x) は f(0) = 1 です(初期条件)。f(x) を微分すると
 
\[\frac{df}{dx}=-\mathrm{sin}x+i\mathrm{cos}x=i(\mathrm{cos}x+i\:\mathrm{sin}x)\]
となるので f(x) は
 
\[\frac{df(x)}{dx}=if(x)\]
という微分方程式を満たしています。その解は
 
\[f(x)=Ce^{ix}\]
で ( C は定数) 、先ほどの初期条件から
 
\[f(0)=C=1\]
が決まりますから、
 
\[f(x)=e^{ix}\]
であることがわかります。よって
 
\[e^{ix}=\mathrm{cos}x+i\:\mathrm{sin}x\]
が成り立ちます。
 

ド・モアブルの定理 De Moivre's theorem

 指数法則 (e)n=einθ と (8) からド・モアブルの定理を導くことができます。

\[(\mathrm{cos}\theta+i\:\mathrm{sin}\theta)^n=\mathrm{cos}n\theta+i\:\mathrm{sin}n\theta \tag{12}\] 

三角関数を指数関数で表します

 (8) と (9) を足したり引いたりすることで、正弦関数や余弦関数を指数関数で表すことができます。
 
\[\mathrm{sin}\theta=\frac{e^{i\theta}-e^{-i\theta}}{2i},\quad
\mathrm{cos}\theta=\frac{e^{i\theta}+e^{-i\theta}}{2}\]
 上の式を使うと正接関数は次のように表されます。
 
\[\mathrm{tan}\theta=\frac{e^{i\theta}-e^{-i\theta}}{i(e^{i\theta}+e^{-i\theta})}\]
 

虚数と複素数の行列表現

 虚数に相当する行列は実数成分のみで表されます:
 
\[I=\begin{pmatrix}0 & -1\\ 1 & 0\end{pmatrix}\]
 実際に行列を計算してみると
 
\[I^2=-E, \quad I^3=-I, \quad I^4=I\]
となって、確かに虚数としての性質をみたしています。複素数行列は単位行列 E と虚数行列 I を用いて次のように定義します。
 
\[\begin{align*}Z&=a\:E+b\:I=\begin{pmatrix}
a & -b\\ b & a\end{pmatrix}\\[8pt]
Z^*&=a\:E-b\:I=\begin{pmatrix}
a & b\\ -b & a\end{pmatrix}\end{align*}\]
 Z* は共役複素数行列です。Z と Z* の積を計算すると
 
\[ZZ^*=Z^*Z=(a^2+b^2)E\]
となっています。
 

オイラーの公式の行列表現

 行列型指数関数を級数によって定義します。
 
\[\begin{align*}e^{\theta I}=&E+(\theta I)+\frac{1}{2!}(\theta I)^2+\frac{1}{3!}(\theta I)^3+\frac{1}{4!}(\theta I)^4+ \cdots \cdots\\[8pt]
=&E+\theta I-\frac{1}{2!}\theta^2E-\frac{1}{3!}\theta^3I+\frac{1}{4!}\theta^4E\\[8pt]
=&E \left( 1-\frac{1}{2!}\theta^2+\frac{1}{4!}\theta^4+ \cdots \cdots \right)\\[8pt]
&+I \left(\theta -\frac{1}{3!}\theta^3+\frac{1}{5!}\theta^5+ \cdots \cdots \right)\\[8pt]
=&E\:\mathrm{cos}\theta+I\:\mathrm{sin}\theta\end{align*}\] 

 成分で書くと次のようになります。
 
\[e^{\theta I}=\begin{pmatrix}
\mathrm{cos}\theta & -\mathrm{sin}\theta\\
\mathrm{sin}\theta & \mathrm{cos}\theta\end{pmatrix},\quad e^{-\theta I}=\begin{pmatrix}
\mathrm{cos}\theta & \mathrm{sin}\theta\\
-\mathrm{sin}\theta & \mathrm{cos}\theta\end{pmatrix}\]
 eθI の行列式を計算すると
 
\[\mathrm{det}\: e^{\theta I}=\mathrm{cos}^2\theta +\mathrm{sin}^2\theta =1\]
となるので、 eθI の逆行列は共役複素数となります:
 
\[(e^{\theta I})^{-1}=e^{-\theta I}\]
 実際に積を計算してみると

\[e^{\theta I}e^{-\theta I}=e^{-\theta I}e^{\theta I}=E\]
というように単位行列となることが確認できます。 ≫ 数学事典

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