2 整数の公倍数は、その 2 整数の最小公倍数で割り切れます

最小公倍数の定義

 初等整数論講座の第 4 回です。今回の定理を証明する前に最小公倍数の定義と使用する記号についてまとめておきます。

 ある正整数 $M$ が正整数 $a$ と $b$ を約数にもつとき、すなわち $a\:|\:M$ かつ $b\:|\:M$ であるとき、$M$ を $a$ と $b$ の公倍数 (Common Multiple) といいます。その中で最小の $M$ を最小公倍数 (LCM ; Least Common Multiple) とよび、$\{a,\:b\}$ という記号で表します。

 たとえば 8 と 12 の公倍数は
 
\[24,\:48,\:72,\:96,\:\cdots\]
であり、この中の最小のものは 24 なので、
 
\[\mathrm{LCM}=\{8,\:12\}=24\]
のように表します。
 

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2 整数の公倍数は、その 2 整数の最小公倍数で割り切れます

 8 と 12 の公倍数 24, 48, 72, 96 ... はいずれも最小公倍数 24 で割り切れます。これは最小公倍数に関する最も基本的な性質であり、一般的に書くと次のようになります。

[定理 A6] 2 つの正整数 $a,\:b$ の公倍数は、その 2 整数の最小公倍数 $\{a,\:b\}$ で割り切れます。

 記号を使って書くと次のようになります。

[定理 A6]   $a\:|\:m,\:b\:|\:m,\: l=\{a,\:b\}\quad\Longrightarrow\quad l\:|\:m$

[定理 A6 の証明] 証明に用いる定理 A3 を再掲しておきます。

[定理 A3] 整数 $a_1,\:a_2,\:b,\:c_1,\:c_2$ について、

$b\:|\:a_1,\:b\:|\:a_2\quad\Longrightarrow\quad b\:|\:c_1a_1+c_2a_2$

が成り立ちます。

 除算アルゴリズム によって
 
\[m=lq+r\quad (0\leq r\lt l)\]
となるような整数 $q,\:r$ が唯一組定まります。すなわち
 
\[r=m-lq\]
 $a\:|\:m$ かつ $b\:|\:m$ , $a\:|\:l$ かつ $b\:|\:l$ なので、定理 A3 より $a\:|\:r$ かつ $b\:|\:r$ です。
 すなわち $r$ も $a,\:b$ の公倍数となります。しかし $0\leq r\lt l$ のような $r$ が存在してしまうと $l$ が最小であることに反します。ゆえに $r=0$ となり、
 
\[l\:|\:m\] 
であることが示されました。(証明終)

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