1 より大きな整数は有限個の素数の積で表せます

1 より大きな整数は有限個の素数の積で表せます

 たとえば 60 という数は
 
\[60=2^2\times 3\times 5\]
というように素数の積で表すことができます。そして素数の順序を考えなければ、この分解方法はただの一通りしかありません。これも当たり前のことではありますが、数論の根幹をなすような重要な定理です。

[定理 B5] 1 より大きい任意の整数 $n$ は有限個の素数の積で表せます。またこのとき素因数分解の順序を無視すれば、その分解の仕方は唯一通りとなります。

[定理 B5 の証明]
① 有限個の素数の積で表せることの証明
 $n$ が素数であれば、$n=n$ というように、素数 1 個の積で表せるので定理は成り立ちます。したがって $n$ が素数でない場合を考えます。証明には数学的帰納法を用います。まず最小の合成数である 4 について、4 よりも小さく 1 よりも大きな 2, 3 はどちらも素数なので素因数分解できます。次に 1 より大きく $n$ より小さい整数は全て素因数分解できるような $n$ を選びます。そのとき $n$ の 1 以外の約数のうち、最小の数は素数となります。それを $p$ とすると、正整数 $a$ を用いて
 
\[n=pa\]
と表すことができます。このとき $a\lt n$ なので仮定により
 
\[a=p_1p_2\:\cdots\:p_k\]
と表せます。よって
 
\[n=pa=pp_1p_2\:\cdots\:p_k\]
となって $n$ も素因数分解することができます。$n=4$ は素因数分解できるので、次の合成数 $n=6$ も素因数分解できて、またその次の合成数 $n=8$ も素因数分解できて ...... これを繰り返して全ての合成数 $n$ について素因数分解できます。(証明終)

② 素因数分解の仕方が一通りであることの証明
 $n$ が 2 通りに素因数分解されたと仮定します。
 
\[n=p_1p_2\:\cdots\:p_j=q_1q_2\:\cdots\:q_k\]
 $p_1,\:p_2,\:\cdots,\:p_j$, $q_1,\:q_2,\:\cdots,\:q_k$ は全て素数です。
 重複があっても構いません。ここで 定理 B3

[定理 B3] 素数 $p$, 整数 $a,\:b$ について
\[p\:|\:ab\quad\Longrightarrow\quad p\:|\:a\:\:\vee\:\:p\:|\:b\]

により、$p_1$ は $q_1,\:q_2,\:\cdots,\:q_k$ のうちどれかを割り切ることができます。
 
\[p_1\:|\:q_1q_2\:\cdots\:q_k\]
 $q$ の添え字の番号はどのように入れ替えてもかまわないので、右辺の素因数のうち、$p_1$ で割り切るものを $q_1$ に選びます。しかし $p_1,\:q_1$ はともに素数なので $p_1=q_1$ です。そこで、この数で両辺を割ると
 
\[p_2p_3\:\cdots\:p_j=q_2q_3\:\cdots\:q_k\]
となります。同じように $p_2=q_2,\:p_3=q_3$ として次々に割っていくと、仮に $j\gt k$ とした場合、
 
\[p_{k+1}\:\cdots\:p_j=1\]
となってしまいますが、これは明らかに矛盾しています。よって $j=k$, すなわち素因数分解の方法は唯の一通りであることが示されました。(証明終)
 

標準素因数分解

 ある数 $n$ を素因数分解したとき、同じ種類の素因数をまとめて

\[n=p_1^{m_1}p_1^{m_1}\cdots p_k^{m_k}\]

と書くような記述の仕方を 標準素因数分解 とよびます。たとえば 480200 を標準素因数分解すると
 
\[480200=2^3\,5^2\,7^4\]
のように表すことができます。

 ≫ 素数が無限に存在することの証明 ≫ 初等整数論入門講座

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