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身近な物で位置エネルギーを実感してみましょう

以前からやってみたかった新企画『メジャー&メジャー』の記事第1弾です。物理や化学、生物といった分野を気ままに移ろい歩きながら「地球が公転する速度は時速何キロメートル?」とか「猫の心臓は1秒間に何回脈打つの?」のようなことを書く予定です。初回記事は位置エネルギーに関する話題です。

英語辞書のもつ位置エネルギー

高校で物理を選択した人なら位置エネルギーという言葉に聞き覚えがあるはずです。「物理を選択しなかった」という人も大丈夫。とりあえず位置エネルギー $U$ が
 \[U=mgh\]
という簡単な式で表されることを知ってもらえれば十分です。ここで $m$ は質量(単位はキログラム)、$g$ は重力加速度と呼ばれる定数 (約 9.8) 、そして $h$ は基準点から測った距離(単位はメートル)です。エネルギーの単位は $\mathrm{J}$ と書いてジュールと読みます。もうちょっとざっくばらんに表すと
 \[位置エネルギー\,=\,9.8\times\,重さ\times\,持ち上げた高さ\]
ということになります。「重さ」(質量と重さは厳密には違うのです)とか「持ち上げた高さ」という表現は物理学的には不正確ですけど、あまり気にしないでください。より重い物を高い所に持ち上げれば、それだけエネルギーが大きくなるということです。

それでは具体的な例を計算してみましょう。計算を簡単にするために、まず 1 kg の物を探します。つい先ほど記事を書く前に A5判の『理工系の数学入門コース 常微分方程式』を量ってみると … 570g でした。ちょっと軽すぎます。そこで今度は『ジーニアス英和辞典』を量ってみると … 980g でした! いい感じですね! 辞書の重さは大体 1 kg と考えてよさそうです。

「持ってみると少し手にずしりとくる感じ」
「本屋さんで立ち読みするにはちょっと辛い感じ」

 これが 1 kg です。辞書を 1 m の高さまで持ち上げると、その位置エネルギーは
 
\[U=9.8\times 1.0\times 1.0=9.8\,\mathrm{J}\]
となります。つまり約 10 ジュールです。これはあなたが持ち上げたときに使った労力(エネルギー)ともいえます。英語辞書 1 冊、あるいはハードカバーの本 2 冊を 1m 持ち上げるのに必要なエネルギーは 10 ジュール と覚えておくと、エネルギーの感覚を掴むのに役立ちそうです。体重 3 kg の猫ちゃんを抱っこすると 30 ジュール、5 kg のお米の袋を持ち上げると 50 ジュールとなるのです。次回は運動エネルギーのお話です。

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