2 整数の積は GCD と LCM の積に等しくなります

最大公約数と互いに素である数

 たとえば 10 と 15 の最大公約数 $g$ は
 
\[g=(10,\:15)=5\]
ですが、10 と 15 はそれぞれ $g$ を用いて
 
\[10=2g,\quad 15=3g\]
と表せます。このとき 2 と 3 は互いに素な関係にあります:
 
\[(2,\:3)=1\]
 このことを一般的に書くと次のような定理になります。

[定理 A9] 2 つの正整数 $a,\:b$ の最大公約数を $g$ とし、
\[a=a_1g,\quad b=b_1g\]とおくと、$a_1$ と $b_1$ は互いに素です。

 この定理を記号で書くと次のようになります。

[定理 A9] $(a,\:b)=g,\:\:a=a_1g,\:\:b=b_1g\quad\Longrightarrow\quad (a_1,\:b_1)=1$

 [定理 A9 の証明] $a_1,\:b_1$ に公約数 $g_1$ が存在すると仮定すると
 
\[a_1=g_1r,\quad b=g_1s\]
のように表すことができます。すなわち
 
\[a_1=(g_1g)r,\quad b=(g_1g)s\]
となります。つまり $g_1g$ が $a,\:b$ の公約数であるということですが、これは明らかに $g$ が最大公約数であることに矛盾します。よって $a_1$ と $b_1$ は互いに素です。(証明終)
 

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2 整数の積は GCD と LCM の積に等しくなります

 10 と 15 の最大公約数 $g$ , 最小公倍数 $l$ はそれぞれ、
 
\[g=(10,\:15)=5,\quad l=\{10,\;15\}=30\]
となります。このとき最大公約数と最小公倍数の積 $gl$ は 10 と 15 の積 150 に等しくなっています。これを一般的に書くと次のようになります。

[定理 A10] 2 つの正整数の積は、その 2 整数の最大公約数と最小公倍数の積に等しい。

 簡略して書くと次のようになります。

[定理 A10] $(a,\:b)=g,\:\:\{a,\:b\}=l\quad\Longrightarrow\quad ab=gl$

 [定理 A10 の証明] $a,\:b$ を最大公約数 $g$ を用いて
 
\[a=a_1g,\:\:b=b_1g\]
とおくと、定理 A9 より $a_1$ と $b_1$ は互いに素です:
 
\[(a_1,\:b_1)=1\]
 ここで $m=ga_1b_1$ とおくと、
 
\[\begin{align*}m=(ga_1)b_1=b_1a\\[6pt]
m=a_1(gb_1)=a_1b\end{align*}\tag{1}\]
のように書くことができるので、$m$ は $a$ と $b$ の公倍数であることがわかります。公倍数は最小公倍数で割り切れる ので、
 
\[l\:|\:m\]
となります。そこで
 
\[m=kl\tag{2}\]
とおくと (1) より
 
\[kl=b_1a,\quad kl=a_1b\tag{3}\]
 また $l$ は $a$ と $b$ の最小公倍数なので
 
\[l=a_2a,\quad l=b_2b\]
と表せます。これを (3) に代入すると
 
\[(a_2a)k=b_1a,\quad (b_2b)k=a_1b\]
 すなわち
 
\[a_2k=b_1,\quad b_2k=a_1\]
 よって $k$ は $a_1,\:b_1$ の公約数ですが、$(a_1,\:b_1)=1$ なので $k=1$ となり、
 
\[a_2=b_1,\quad b_2=a_1\]
 すなわち (2) より $m=kl=l$ なので、
 
\[ga_1b_1=l\]
 両辺に $g$ をかけると
 
\[(ga_1)(gb_1)=gl\]
 すなわち
 
\[ab=gl\]
であることが示されました。(証明終)
 

a, b が素であり、bc が a で割り切れるなら、c は a で割り切れます

 3 と 5 は互いに素の関係にあります。
 
\[(3,\:5)=1\]
 ここで 3 で割り切れるように 5 に適当な数をかけます。
 たとえば 6 をかけてみると
 
\[3\:|\:5\times 6\]
 すると 5 は 3 で割れないのですから、 6 が 3 で割り切れることがわかります。
 
\[3\:|\:6\]
 当たり前といえば当たり前のことですが、これも定理として載せておきます。

[定理 A11] 2 つの整数 $a,\:b$ が互いに素であり、$bc$ が $a$ で割り切れるなら、$c$ は $a$ で割り切れます。

 簡略して書くと次のようになります。

[定理 A11] $(a,\:b)=1,\quad a\:|\:bc\quad\Longrightarrow\quad a\:|\:c$

 [定理 A11 の証明] 2 整数の積は最大公約数と最小公倍数の積に等しいので、
 
\[(a,\:b)\{a,\:b\}=ab\]
が成り立ちます。$a,\:b$ は互いに素なので、
 
\[\{a,\:b\}=ab\]
 $a\:|\:bc,\:\:b\:|\:bc$ より $bc$ は $a$ と $b$ の公倍数なので
 
\[\{a,\:b\}\:|\:bc\]
 したがって $ab\:|\:bc$ すなわち $a\:|\:c$ が示されました。(証明終)

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