三角関数の和積の公式を1つに集約します

 三角関数の和積の公式をより簡潔に表す方法を発見したので紹介しておきます。
 (複素数 z を用いた一般的な表式は記事の後半に載せてあります)
 
\[\vec{a}+i\: \vec{b}=2R\: \vec{c} \tag{1}\]
 i は虚数単位ですから複素数形式になっています。
 実数部を取れば和を、虚数部をとれば差を得ることができます。
 ここにベクトル \(\vec{a},\;\; \vec{b},\;\; \vec{c}\) は次のように定義されています。
 
\[\begin{align*}&\vec{a}=\binom{\mathrm{cos}x+\mathrm{cos}y}{\mathrm{sin}x+\mathrm{sin}y},\quad \vec{b}=\binom{\mathrm{cos}x-\mathrm{cos}y}{\mathrm{sin}x-\mathrm{sin}y}\\[10pt]
&\vec{c}=\begin{pmatrix}
\mathrm{cos}\: \cfrac{x-y}{2}\\i\: \mathrm{sin}\: \cfrac{x-y}{2}\end{pmatrix}\end{align*}\]
 \(\vec{a}\) が足し算、 \(\vec{b}\) が引き算と考えれば覚えやすいと思います。
 右辺の \(R\vec{c}\) は行列 R による \(\vec{c}\) の1次変換です。
 ここで R は角度 (x + y)/2 の回転行列です:
 
\[R=\begin{pmatrix}\mathrm{cos}\: \cfrac{x+y}{2} & -\: \mathrm{sin}\: \cfrac{x+y}{2}\\
\mathrm{sin}\: \cfrac{x+y}{2} & \mathrm{cos}\: \cfrac{x+y}{2}\end{pmatrix}\]

成分表示してみます

 実際に成分表示すると次のようになります。
 
\[\begin{align*}
&\binom{\mathrm{cos}x+\mathrm{cos}y}{\mathrm{sin}x+\mathrm{sin}y}
+i\binom{\mathrm{cos}x-\mathrm{cos}y}{\mathrm{sin}x-\mathrm{sin}y}\\[10pt]
&=2\begin{pmatrix}\mathrm{cos}\: \cfrac{x+y}{2} & -\: \mathrm{sin}\: \cfrac{x+y}{2}\\
\mathrm{sin}\: \cfrac{x+y}{2} & \mathrm{cos}\: \cfrac{x+y}{2}\end{pmatrix}
\begin{pmatrix}
\mathrm{cos}\: \cfrac{x-y}{2}\\i\: \mathrm{sin}\: \cfrac{x-y}{2}\end{pmatrix}\\\end{align*}\]
 より実用的に考えるなら、和がほしいときにはベクトル \(\vec{c}\) の sin の部分を 0 にして(実数部をとる操作にあたります)、
 
\[\begin{align*}\binom{\mathrm{cos}x+\mathrm{cos}y}{\mathrm{sin}x+\mathrm{sin}y}
&=2\begin{pmatrix}\mathrm{cos}\: \cfrac{x+y}{2} & -\: \mathrm{sin}\: \cfrac{x+y}{2}\\
\mathrm{sin}\: \cfrac{x+y}{2} & \mathrm{cos}\: \cfrac{x+y}{2}\end{pmatrix}
\begin{pmatrix}
\mathrm{cos}\: \cfrac{x-y}{2}\\[15pt]0\end{pmatrix}\\
&=2\begin{pmatrix}\mathrm{cos}\: \cfrac{x+y}{2}\: \mathrm{cos}\: \cfrac{x-y}{2}\\\mathrm{cos}\: \cfrac{x-y}{2}\: \mathrm{sin}\: \cfrac{x-y}{2}\end{pmatrix}\end{align*}\]
と計算すればよく、差がほしいときには cos の部分を 0 にして i も外して(虚数部をとる操作にあたります)、
 
\[\begin{align*}\binom{\mathrm{cos}x+\mathrm{cos}y}{\mathrm{sin}x+\mathrm{sin}y}
&=2\begin{pmatrix}\mathrm{cos}\: \cfrac{x+y}{2} & -\: \mathrm{sin}\: \cfrac{x+y}{2}\\
\mathrm{sin}\: \cfrac{x+y}{2} & \mathrm{cos}\: \cfrac{x+y}{2}\end{pmatrix}
\begin{pmatrix}
0\\[4pt] \mathrm{sin}\: \cfrac{x-y}{2}\end{pmatrix}\\
&=2\begin{pmatrix} -\:\mathrm{sin}\: \cfrac{x+y}{2}\: \mathrm{sin}\: \cfrac{x-y}{2}\\ \mathrm{cos}\: \cfrac{x+y}{2}\: \mathrm{sin}\: \cfrac{x-y}{2}\end{pmatrix}\end{align*}\]
と計算すればよいことになります。

さらに一般的な形式へ

 さらに一般化すると複素数の和と差をまとめて行列形式で表すとどうなるか、ということに帰着します。
 
\[\begin{align*}z_1=\mathrm{cos}x+i\:\mathrm{sin}x=\mathrm{exp}(ix)\\
z_2=\mathrm{cos}y+i\:\mathrm{sin}y=\mathrm{exp}(iy)\end{align*}\]
とおくと
 
\[\mathrm{exp} \left( i\:\frac{x-y}{2} \right) =\mathrm{exp} \left( i\:\frac{x}{2} \right) \mathrm{exp} \left( -i\:\frac{y}{2} \right) = \left( \frac{z_1}{z_2} \right)^{1/2}\]
のように書けるので、
 
\[R=\begin{pmatrix}
\mathrm{Re}\: [(z_1z_2)^{1/2}] & -\mathrm{Im}\: [(z_1z_2)^{1/2}]\\
\mathrm{Im}\: [(z_1z_2)^{1/2}] & \mathrm{Re}\: [(z_1z_2)^{1/2}] \end{pmatrix}\]
とおくと、
 
\[\binom{z_1+z_2}{z_1-z_2}=2R\: \binom{\mathrm{Re}\: [(z_1/z_2)]^{1/2}}{i\:\mathrm{Im}\: [(z_1/z_2)]^{1/2}} \]
と書くことができます。ここで
 
\[\vec{Z}=\binom{z_1+z_2}{z_1-z_2}\,\quad J=\begin{pmatrix} 1& 0\\
0 & i\end{pmatrix},\quad \vec{d}=\binom{\mathrm{Re}\: [(z_1/z_2)]^{1/2}}{\mathrm{Im}\: [(z_1/z_2)]^{1/2}}\]
というようにベクトルや行列やを定義すると
 
\[\vec{Z}=2RJ\: \vec{d} \tag{2}\]
とまとめることができます。

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