サイコロ (ダイス) の確率問題

【PS14】2個のサイコロを投げます

 $A,\;B$ $2$ 個のサイコロを投げます。
 $A$ の出る目を $X$ , $B$ の出る目を $Y$ として、以下の確率を計算してください。
 (1) $X\gt Y$ となる確率。
 (2) $X+Y\geq 9$ となる確率。
 (3) $X+Y$ が偶数ととなる確率。
 (4) $Y$ が $X$ の倍数となる確率。
 (5) $X\lt Y^2$ かつ $X^2\gt Y$ となる確率。
【ヒント】本問から、いよいよ 確率 の計算が始まります。今回は サイコロ(ダイス)の定番問題をできるだけ集めておきました。まだ確率計算に慣れていないうちは、意外と (1) で戸惑うかもしれません。「$X\lt Y$ となる確率も同じはず」と考えてみましょう。

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【解答】(1) サイコロを 2 個振ったときに現れる場合の数は
 
\[6\times 6=36\,通り\]
です。また、$A$ の目と $B$ の目の大小関係に注目すると

  ① $A$ の目が $B$ の目より大きい ($X\gt Y$)
  ② $A$ の目が $B$ の目より小さい ($X\lt Y$)
  ③ $A$ の目と $B$ の目が等しい  ($X=Y$)

のいずれかになります(当たり前です)。今は ① の状態が現れる確率を求めたいわけですが、同じサイコロを振っているわけですから、これは ② と同じ確率であるはずです。だからこの問題で注目すべきは ③ なのです。すなわち $36$ 通りから $X=Y$ となる $6$ 通りを引いた $30$ 通りを ① と ② に等しく分ければ、① の状態になる場合の数が $15$ 通りであることがわかります。よって、$X\gt Y$ となる確率は
 
\[\frac{15}{36}=\frac{5}{12}\]
となります。

(2) この問題は単純に数え上げるだけです。

  $X+Y=9$   $(3,\,6),\;(6,\,3),\;(4,\,5),\;(5,\,4)$
  $X+Y=10$  $(4,\,6),\;(6,\,4),\;(5,\,5)$
  $X+Y=11$  $(5,\,6),\;(6,\,5)$
  $X+Y=12$  $(6,\,6)$

 全部合わせると $10$ 通りなので、$X+Y\geq 9$ となる確率は
 
\[\frac{10}{36}=\frac{5}{18}\]
となります。

(3) $X+Y$ が偶数であるということは、$X$ と $Y$ がともに偶数、あるいはともに奇数である場合です。$X=(2,\,4,\,6)$ の $3$ 通りのそれぞれについて、$Y=(2,\,4,\,6)$ の $3$ 通りがあるので、$X$ と $Y$ がともに偶数であるのは $3^2=9$ 通りです。同様に$X$ と $Y$ が両方奇数である場合も $9$ 通りです。したがって、$X+Y$ が偶数である確率は
 
\[\frac{9+9}{36}=\frac{1}{2}\]
となります。

(4) この問題も丁寧に場合の数を数えます。$Y$ が $X$ の倍数となるのは、
 
\[\begin{align*}&(1,\,1),\;(1,\,2),\;(1,\,3),\;(1,\,4),\;(1,\,5)\\[6pt]&(1,\,6),\;(2,\,2),\;(2,\,4),\;(2,\,6),\;(3,\,3)\\[6pt]&(3,\,6),\;(4,\,4),\;(5,\,5),\;(6,\,6)\end{align*}\]
の $14$ 通りです。したがって、$Y$ が $X$ の倍数となる確率は
 
\[\frac{14}{36}=\frac{7}{18}\]
となります。

(5) $X\lt Y^2$ かつ $X^2\gt Y$ より
 
\[\sqrt{Y}\lt X\lt Y^2\]
という不等式をつくることができます。$X=1$ と $Y=1$ は明らかにこの不等式を満たしません。$2\leq Y\leq 6$ の範囲で調べると
 
\[\begin{align*}&Y=2\quad &\sqrt{2}\lt X\lt 4\quad &X=2,\;3\\[6pt]&Y=3\quad &\sqrt{3}\lt X\leq 6\quad &X=2,\;3,\;4,\;5,\;6\\[6pt]&Y=4\quad &2\lt X\leq 6\quad &X=3,\;4,\;5,\;6\\[6pt]&Y=5\quad &\sqrt{5}\lt X\leq 6\quad &X=3,\;4,\;5,\;6\\[6pt]&Y=6\quad &\sqrt{6}\lt X\leq 6\quad &X=3,\;4,\;5,\;6\end{align*}\]
 合計すると $19$ 通りなので、
 $X\lt Y^2$ かつ $X^2\gt Y$ となる確率は $\displaystyle\frac{19}{36}$ となります。

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【PS15】サイコロを3個投げて目の和が11以上になる確率

 $3$ 個のサイコロを投げて目の和が $11$ 以上になる確率を求めてください。

【ヒント】今回はサイコロ $3$ 個ですからね …. 足して $11$ 以上にになるような場合を数え上げるのはかなりの根気が必要です。やってやれないこともないかもしれませんが、何か別の方法を探したほうがいいですよ。

【考え方】それぞれのサイコロの目を $x,\:y,\:z$ としたとき、目の合計が $k$ になるような場合の数は、方程式
 
\[x+y+z=k\quad (11\leq k \leq 18)\]
の自然数解の個数と一致します。ただし、この状況では
 
\[1\leq x,\:y,\:z\leq 6\]
という条件がついています(サイコロの目が $7$ 以上になることはない)。つまり $k$ の値が大きいほど、解の中に条件を満たさない組がたくさん存在することになります。たとえば、目の合計が $15$ になるようなケースでは、
 
\[x+y+z=15\]
を満たしても、$(x,\:y,\:z)=(9,\:2,\:4)$ のような解は条件を満たしていないので除外しなければなりません。そこで「目の合計が 11 以上になる」という事象の余事象「目の合計が $10$ 以下になる」を考えたほうがずっと楽です。そうすると $k$ の範囲は $3\leq k \leq 10$ で考えることになりますが、$k\leq 8$ の場合は、自然数解の個数と条件を満たす組の個数は完全に一致します。つまり $k=9,\:10$ のときだけ例外を見つけて除外してやればいいことになります。しかし、実はこの問題、「期待値」の考え方を使えば $10$ 秒で答えがでます。とはいえ問題設定が少し変わると使えないので、他の問題にも応用が効くように、まずは真面目にコツコツ解く方法から載せます。

【解答】与えられた事象「目の合計が 11 以上になる」の余事象「目の合計が $10$ 以下になる」を考えます。$k\leq 8$ のとき、方程式
 
\[x+y+z=k\]
の自然数解の個数が「目の合計が $k$ となる」場合の数と一致します。たとえば $k=5$ のときの解の個数は

○ ○ ○ ○ ○

の $5$ 個の ○ の間にある $4$ 箇所に仕切りを入れる方法の数
 
\[{}_{5-1}\mathrm{C}_2={}_{4}\mathrm{C}_2\]
に一致します。目の合計が $k$ のときは ${}_{k-1}\mathrm{C}_2$ となるので、$k=3$ から $k=8$ までの場合の数をすべて加えると、
 
\[\begin{align*}&{}_{2}\mathrm{C}_2+{}_{3}\mathrm{C}_2+{}_{4}\mathrm{C}_2+{}_{5}\mathrm{C}_2+{}_{6}\mathrm{C}_2+{}_{7}\mathrm{C}_2\\[6pt]&=1+3+6+10+15+21=56\end{align*}\]
となります。$k=9$ のときは、${}_{8}\mathrm{C}_2$ 組の解のうち、
 
\[(7,\:1,\:1),\:(1,\:7,\:1),\:(1,\:1,\:7)\]
の組は除外されて、場合の数は
 
\[{}_{8}\mathrm{C}_2-3=28-3=25\]
となります。$k=10$ のときは、${}_{8}\mathrm{C}_2$ 組の解のうち、$(7,\:2,\:1)$ の順列である $6$ 組と $(8,\:1,\:1)$ の順列である $3$ 組の合わせて $9$ 組を除いて、場合の数は
 
\[{}_{9}\mathrm{C}_2-9=36-9=27\]
となります。したがって余事象の総数は
 
\[56+25+27=108\]
となります。サイコロを $3$ 個振ったときの全事象の数は $6^3=216$ なので、「目の和が $11$ 以上になる事象」の数は
 
\[216-108=108\]
となります。よって求める確率は
 
\[\frac{108}{216}=\frac{1}{2}\]
となります。ぴったり $1/2$ になりました。その理由は次の別解で明らかになります。

【別解】サイコロを $1$ 個振ったときの期待値は
 
\[\frac{1+2+3+4+5+6}{6}=3.5\]
です。$3$ 個振ったときの目の合計の期待値は
 
\[3.5\times 3=10.5\]
となります。目の合計が $10,\:11$ というのは、ちょうど期待値 $10.5$ をはさんでいます。全事象は「目の和が $10$ 以下」と「目の和が $11$ 以上」に分けられ、それぞれの事象が起こる確率はちょうど半々ということです。よって答えは $1/2$ です。

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