9 去法と 11 去法

 合同式の応用として、大きな数を $9$ や $11$ で割ったときの余りを簡単に求める方法があります。

9 去法 (9 で割ったときの余りを調べます)

 9 去法は合同式
 
\[10\equiv 1,\:\: 10^2 \equiv 1,\:\: 10^3 \equiv 1,\:\: 10^4 \equiv 1,\:\:\cdots\:(\mathrm{mod}\;9)\]
が成り立つことを利用して、ある整数を $9$ で割ったときの余りを求める方法です。まず簡単な例として $2300$ を $9$ で割ったときの余りを求めてみます。
 
\[10^3\equiv 1,\quad 2\equiv 2\:(\mathrm{mod}\;9)\]
なので、合同式の乗算定理より
 
\[2\times 10^3\equiv 2\:(\mathrm{mod}\;9)\]
が成り立ちます。同様に
 
\[3\times 10^2\equiv 3\:(\mathrm{mod}\;9)\]
が成り立つので合同式の加算定理より
 
\[2\times 10^3+3\times 10^2\equiv 2+3\equiv 5\:(\mathrm{mod}\;9)\]
となって、余りは $5$ であることがわかります。この例では定理がどのように適用されているかを説明するために丁寧に計算しましたが、実際には各桁の数字を足すだけでいいのです。もっと大きな数で試してみましょう。$12345$ を $9$ で割ったときの余りがいくらになるか調べてみます。
  
\[12345\equiv 1+2+3+4+5\equiv 15\equiv 6\:(\mathrm{mod}\;9)\]
となって、余りが $6$ であることがわかります。
 

9 去法を用いた検算

 大きな数同士の演算結果が正しいかどうかを 9 去法を用いて検算することができます。両辺を $9$ で割ったときの余りを調べるので、確実な検算ではなく、「おそらく合っているだろう」という推測検算ですが、そこそこに確率は高いので電卓の使えない試験等では十分に活用できます。例として次のような計算
 
\[31415\times 9265=291059975\]
が正しいかどうかを推測してみます。
 
\[\begin{align*}
31415\equiv 3+1+4+1+5\equiv 14\equiv 5\:(\mathrm{mod}\;9)\\[6pt]
9265\equiv 9+2+6+5\equiv 22\equiv 4\:(\mathrm{mod}\;9)\\[6pt]
\end{align*}\]
なので、計算式の左辺は
 
\[5\times 4\equiv 20\equiv 2\:(\mathrm{mod}\;9)\]
となります。また右辺は
 
\[291059975\equiv 2+9+1+0+5+9+9+7+5\equiv 47\equiv 2\:(\mathrm{mod}\;9)\]
となるので、両辺を $9$ で割った場合の余りは等しく、おそらく正しい計算だと推測できます(もちろん上の例では正しい計算式を用いています)。
 

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11 去法 (11 で割ったときの余りを調べます)

 11 去法は合同式
 
\[1\equiv 1,\:\: 10 \equiv -1,\:\: 10^2 \equiv 1,\:\: 10^3 \equiv -1,\:\:\cdots\:(\mathrm{mod}\;11)\]
が成り立つことを用いて、整数を $11$ で割ったときの余りを求める方法です。$12345$ を $11$ で割ったときの余りは
 
\[12345\equiv 1-2+3-4+5\equiv 3\:(\mathrm{mod}\;11)\]
となります。9 去法のときと同様にして、11 去法を用いて検算することもできます。

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