【CL11】exp(x)の近似曲線
指数関数 \(e^x\) は
\[e^x=1+x+\frac{x^2}{2!}+\frac{x^3}{3!}+ \cdots\]
のように級数展開されることが知られています。\(e\) はネイピア数とよばれる定数で、\(e=2.718 … \) です。この 級数展開 を 4 項で打ち切った近似曲線 を
\[f(x)=1+x+\frac{x^2}{2}+\frac{x^3}{6}\]
と定義します。 \(y=e^x\) と \(y=f(x)\) のグラフを重ねて描いてください。
【ヒント】変曲点も調べてください。また \(e^x\) と \(f(x)\) のどちらが上にあるのかに注意してグラフを描くようにしてください。
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【解答】\(f(x)\) を微分すると
\[f'(x)=1+x+\frac{x^2}{2}=\frac{1}{2}\: \{(x+1)^2+1\} \gt 0\]
となって \(f(x)\) は単調増加であることがわかります。もう1度微分すると
\[f^{\prime\prime}(x)=1+x\]
となるので、 \(f^{\prime\prime}(x)=0\) より変曲点は \(x=-1\) です。この点を境に上凸から下凸へ変わることになります。また、
\[f(0)=1,\quad e^0=1\]
なので \(y=e^x\) と \(y=f(x)\) は \((x,y)=(0,1)\) を共有します。ここで \(e^x\) と \(f(x)\) が \((x,y)=(0,1)\) 以外で交わる可能性がないのかを調べます。差分をとってみると
\[e^x-f(x)=\frac{x^4}{4!}+\frac{x^5}{5!}+ \cdots\]
のようになって、x が負のときは正の項と負の項が繰り返されて、全体としての正負が判然としないのです。上式が原点をのぞいて常に正であることを示せれば、 \(e^x\) と \(f(x)\) は1点のみで接することがわかりますが、級数を使っての証明はかなり難しいので別の方法を探ります。
\(e^x\) は何度微分しても \(e^x\) です。この性質をうまく利用します。\(f(x)\) も「分かるまで微分してみる」のです。先ほどすでに \(f(x)\) の2階微分まで得ているので、グラフを描いてみると次のようになります。
\(f^{\prime\prime}(x)=1+x\) は \(e^x\) の接線であり、グラフから1点しか共有しないことが明らかです。増加率は常に \(e^x\) が優勢です。ということは \(f'(x)=1+x+x^2/2\) と \(e^x\) もまた \(x=0\) を境に x が正負どちらに動いても値の差を単調に広げていくことになり、 \((x,y)=(0,1)\) 以外で交わることはありません。このことからさらに \(f(x)\) と \(e^x\) もただ1点のみで接することがわかります。以上のことをまとめるとグラフは次のようになります。
2つの関数の値が非常に近い部分は重なっているように見えますが、紙面では \((x,y)=(0,1)\) で接し、残りの部分で \(y=e^x\) が常に上にあるように描いてください。
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