【DE01】微分方程式y’=x(1-y)の解曲線
微分方程式 $y\,’=x(1-y)$ を解いて解曲線を図示してください。
【ヒント】変数分離で解く基本問題です。
【解答】与えられた微分方程式
\[\frac{dy}{dx}=x(1-y)\]
を変数分離すると
\[\frac{dy}{y-1}=-xdx\]
両辺を積分すると
\[\log\mid y-1\mid=-\frac{1}{2}x^2+c\]
となります( c は積分定数)。$A=\pm e^c$ とおくと
\[y=1\pm A\exp\left( -\frac{x^2}{2}\right)\]
という解が得られます。$e^c\gt 0$ なので $A\neq 0$ ですが、与えられた微分方程式は $y=1$ という解をもち、これは上式で $A=0$ とした解に対応するので、改めて $A$ を任意の定数とすれば、上式は全ての解を含むことになります。$A$ の符号に応じて解曲線を図示すると次のようになります。
$y=1$ は $A\gt 0$ の解グループと $A\lt 0$ の解グループの境界線となります。
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【DE02】微分方程式y’=(p+qx)(r+sy) の解
次の微分方程式を解いてください。
(1) $y\,’=ax(1+y^2)$ (2) $y\,’=(p+qx)(r+sy)$
(3) $y\,’=x(y-x^2+1)$ (4) $y\,’=y\sec ^2x$ (5) $y\,’=ax+by\quad (a,\:b\neq 0)$
【ヒント】$\sec x=1/\cos x$ です。(3) と (5) は変数変換して解きます。
【解答】(1) $dy/dx=ax(1+y^2)$ を変数分離して両辺を積分すると
\[\int\frac{dy}{1+y^2}=\int axdx\]
となります。左辺は $\mathrm{Arctan}y$ となるので、
\[\mathrm{Arctan}y=\frac{a}{2}x^2+c\]
したがって
\[y=\tan\left(\frac{a}{2}x^2+c\right)\]
という解が得られます。
(2) $s=0$ のときは
\[\frac{dy}{dx}=r(p+qx)\]
なので、
\[y=r\left(px+\frac{q}{2}x^2+c\right)\]
$rc=A$ とおくと
\[y=r\left(px+\frac{q}{2}x^2\right)+A\]
となります。$s\neq 0$ のときは $dy/dx=(p+qx)(r+sy)$ を変数分離すると
\[\frac{dy}{r+sy}=p+qx\]
両辺を積分すると
\[\frac{1}{s}\log\,|r+sy|=px+\frac{q}{2}x^2+c\]
$A=\pm e^c$ とおくと、
\[y=-\frac{r}{s}+A\exp\left(px+\frac{q}{2}x^2\right)\]
となります。$r+sy=0$ に対応した特解 $y=-r/s$ は、$A$ を任意の定数とすれば、上の解に含めることができます。以上まとめると、与えられた微分方程式の解は
\[y=\begin{cases}r\left(px+\cfrac{q}{2}x^2\right)+A & (s=0)\\[6pt]-\cfrac{r}{s}+A\exp\left(px+\cfrac{q}{2}x^2\right) & (s\neq 0)\end{cases}\]
となります。
(3) $y’=x(y-x^2+1)$ において、$z=y-x^2+1$ とおくと
\[z’=x(z-2)\]
という方程式になります。変数分離して積分すると
\[\begin{align*}&\frac{dz}{z-2}=xdx\\[6pt]&\log\mid z-2\mid=\frac{x^2}{2}+c\\[6pt]\end{align*}\]
$A=\pm e^c$ とおくと、
\[z=2+A\exp\left(\frac{x^2}{2}\right)\]
変数を $y=z-x^2+1$ に戻すと
\[y=1+x^2+A\exp\left(\frac{x^2}{2}\right)\]
となります。$z-2=0$ に対応する特解は $y=x^2+1$ ですが、これは上の式で $A=0$ とおいたものなので、$A$ を任意の定数とすれば、全ての解を含むことになります。
(4) $y’=\sec ^2xy$ を変数分離して
\[\frac{dy}{y}=\sec ^2xdx\]
意外と忘れがちですが、$\sec ^2x$ の積分は $\tan x$ なので
\[\log\mid y\mid=\tan x+c\]
$A=\pm e^c$ とおくと、
\[y=Ae^{\tan x}\]
となります。$y=0$ も与えられた微分方程式の特解となっていますが、上の解で $A$ を任意定数にして含めることができます。
(5) $y’=ax+by$ において $z=ax+by$ とおいて $y$ を消すと
\[z’=bz+a\]
という変数分離型になります。
\[\int\frac{dz}{bz+a}=\int dx\]
として
\[\begin{align*}\frac{1}{b}\log\,|bz+a|&=x+c\\[6pt]\log\,|bz+a|&=bx+c’\end{align*}\]
$A=\pm e^c$ とおくと、
\[bz+a=Ae^{bx}\]
変数 $y$ を戻すと
\[y=-\frac{a}{b^2}-\frac{a}{b}x+Ae^{bx}\]
という解が得られます。$bz+a=0$ に対応する特解
\[y=-\frac{a}{b^2}-\frac{a}{b}x\]
は一般解において $A=0$ とすれば得られます。
【DE03】微分方程式y’=k(x^a)(y^b) の解曲線
$y\,’=k\,x^ay^b$ を解いてください ($k,\:a,\:b$ は定数)。
【ヒント】$a,\:b$ の値に応じて場合分けします。
【解答】与えられた微分方程式
\[\frac{dy}{dx}=kx^ay^b\tag{A}\]
を変数分離して積分した形にすると
\[\int\frac{dy}{y^b}=k\int x^adx\]
となります。まず左辺の積分については $b$ の値に応じて
\[\begin{align*}&\int\frac{dy}{y^b}=\int\frac{dy}{y}=\log\,|y|\qquad\qquad (b=1)\\[6pt]&\int\frac{dy}{y^b}=\int y^{-b}dy=\frac{1}{1-b}y^{1-b}\quad (b\neq 1)\end{align*}\]
と場合分けされます。右辺については $a$ の値によって
\[\begin{align*}&k\int x^adx=k\int\frac{dx}{x}=k\log\,|x|\quad (a=-1)\\[6pt]&k\int x^adx=\frac{k}{1+a}x^{1+a}\qquad\qquad (a\neq -1)\end{align*}\]
と、やはり2通りに場合分けされます。したがって解には(特殊解 $y=0$ を除いて) 2 × 2 = 4 通りの組合せがあります。それぞれの場合について解を求めてみましょう。
① $a=-1,\:b=1$ のとき
\[\log\,|y|=k\log\,|x|+c\]
となるので、$A=\pm e^c$ とおくと
\[y=Ax^k\]
という解が得られます。
② $a\neq -1,\:b=1$ のとき
\[\log\,|y|=\frac{k}{1+a}x^{1+a}+c\]
なので、$A=\pm e^c$ とおくと
\[y=A\exp\left(\frac{k}{1+a}x^{1+a}\right)\]
となります。
③ $a=-1,\:b\neq 1$ のとき
\[\frac{1}{1-b}y^{1-b}=k\log\,|x|+c\]
$A=c(1-b)$ とおくと
\[y^{1-b}=\log\,|x|^{k(1-b)}\]
となります。
④ $a=-1,\:b\neq 1$ のとき
\[\frac{y^{1-b}}{1-b}=\frac{k}{1+a}x^{1+a}+c\]
$A=c(1-b)$ とおくと
\[y^{1-b}=k\left(\frac{1-b}{1+a}x^{1+a}\right)+A\]
となります。
以上まとめると与えられた微分方程式の解は
\[\begin{cases}y=Ax^k & (a=-1,\:b=1)\\[6pt]y=A\exp\left(\cfrac{k}{1+a}x^{1+a}\right) & (a=-1,\:b=1)\\[6pt]y^{1-b}=\log\,|x|^{k(1-b)} & (a=-1,\:b\neq 1)\\[6pt]y^{1-b}=k\left(\cfrac{1-b}{1+a}x^{1+a}\right)+A & (a=-1,\:b\neq 1)\end{cases}\]
となります。また $b\gt 0$ のときは $y=0$ も微分方程式の解となっています。
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