時計算とは、その名の通り時計の長針と短針の位置関係を問う類の問題です。一見とっつきにくそうに見えますけど、1度理解してしまうと、時計算はとても簡単です。
時計算の基本公式
ほとんど全ての時計算で使用する公式があります。問題に出会ったときに考えてもすぐに導けますが、少しでも時間を節約したいと考えるなら覚えてしまったほうがよいかもしれません。その公式とは「$1$ 分間に短針は $0.5^\circ$、長針は $6^\circ$ 進む」というものです。上の公式を導いてみましょう。短針は $1$ 時間に
\[\frac{360}{12}=30^\circ\]
進むので、$1$ 分間に
\[\frac{30}{60}=\frac{1}{2}=0.5^\circ\]
進むことになりますね。長針は $1$ 時間に $360^\circ$ 進むので、$1$ 分間では
\[\frac{360}{60}=6^\circ\]
進むことになります。長針は短針の $12$ 倍の速さで進むと知っておくと、速度感覚を掴むことができます。
相対位置と相対速度
時計算で着目するポイントは長針と短針の相対的な位置と速度です。具体的な例で見ていきましょう。下の左図のように3時を指している時計があるとします。
そして、この次に長針と短針が重なって、上右図のようになる時間を求めてみましょう。図で針の位置は非常に中途半端な角度をとります。$120^\circ$ とか $150^\circ$ のようなすっきりした角度になるわけではありません。なので針の最終的な位置を図形的に求めるのは大変ですし、また時計算においてはどうでもよいことなのです。この問題で必要なのは、まず長針と短針の速度の差です。つまり長針は短針に対して $1$ 分間に
\[6^\circ-0.5^\circ=\frac{11^\circ}{2}\]
の速度をもっているということです。そして次に着目するのは最初の状態($3$ 時)における長針と短針の角度差 $90^\circ$ です。自分が小さくなって長針の上に乗って短針を追いかけるイメージをもってください。$1$ 分間に $11^\circ/2$ の速度で $90^\circ$ の距離を移動するのですから、
\[90^\circ\div\frac{11^\circ}{2}=16+\frac{4}{11}\;分\]
の時間を要します。中途半端な $4/11$ 分は $60$ をかけて秒に直します。
\[\frac{4}{11}\times 60=21.8\simeq 22\;秒\]
となります。つまり長針と短針が重なる時刻は「$3$ 時 $16$ 分 $22$ 秒」となります。このように「最終的な位置はひとつも分からないのに重なる時刻はしっかり計算できる」というのが時計算の面白いところです。
【例題1】直角になる時刻
ちょうど4時を示した時計があります。
長針と短針が直角になる時刻を求めてください。
【解答】ここで必要な情報は、最初に長針と短針がなす角 $120^\circ$ と $90^\circ$ との差 $30^\circ$ だけです。この $30^\circ$ の距離を相対速度 $11^\circ /2$ で縮めるのにかかる時間は
\[30^\circ\div\frac{11^\circ}{2}=27+\frac{3}{11}\]
です。$3/11$ に $60$ をかけて秒に直すと
\[\frac{3}{11}\times 60\simeq 27\;秒\]
となるので、求める時刻は「$4$ 時 $27$ 分 $27$ 秒」となります。
【例題2】反対側を向く時刻
ある時刻で短針と長針が重なっています。
長針と短針が反対側を向くまでにかかる時間を求めてください。
【解答】これは簡単な問題です。相対速度 $11^\circ /2$ で $180^\circ$ の距離を縮めるのですから
\[180^\circ\div\frac{11^\circ}{2}=32+\frac{8}{11}\;分\;\simeq 32\;分\;43\;秒\]
の時間がかかります。
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