ベクトルを用いて溶液の濃度を計算します

濃度計算の技術① ベクトル方式

 濃度計算には色々な方法があります。
 問題の状況に応じていくつもの手法を駆使することができれば理想的なのですが、あれもこれもとやる前に、まずは何か1つの手法を完璧にマスターすることが大切です。今回は私のオリジナルなテクニックを紹介しますよ。 溶液の状態をベクトルと考えて扱う手法 です。
 

濃度計算の基本公式

 念のために食塩水の濃度の基本公式を確認しておきます。

食塩水の濃度 = [食塩の量 / 全体の量] × 100 %

 問題によって水溶液の種類はジュースであったり、ショ糖液であったり、謎の液体 X(?)であったりしますが、何であっても本質は変わりません。とりあえず食塩水で式を覚えておいてください。
 

食塩水の状態をベクトルで表してみる

 食塩水の状態を次のように 2 成分表示します。太字の A はベクトルであることを表しています。

A = (食塩の量, 全体の量)

 場合によっては成分を % にしたりすることもありますが、基本は上の形でいいと思います。まずは簡単な問題で使いながら慣れていきましょう。

例題①

 濃度 2 % の食塩水 A が 120 g あります。食塩水 A に 80 g の食塩水 B を混ぜると 4 % の食塩水ができました。食塩水 B の濃度を求めてください。

例題①の解答

 食塩水 A の塩の量は 1.2 × 2 = 2.4 g ですから

A = (2.4, 120)

食塩水 B については塩の量を x とおいて

B = (x, 80)

 AB を加えて 4 % の食塩水となるので、

A + B = (2.4, 120) + (x, 80) = (8, 200)

という方程式を解いて x = 5.6g とわかります。

B = (5.6, 80)

 あとは全体量を 100 g にするために B に 10 / 8 をかけます。

(10 / 8) B = (7, 100)

 全体量が 100 になったときは、食塩の量はそのまま % でもありますから、答えは 7 % となります。

 これは簡単な問題なので、わざわざこんなことをしなくても、すぐに解ける人も多いと思いますが、ベクトルを使うことの利点は 水溶液の状態を確実に追跡できる ところにあります。検算をするときも記述を辿っていけば、A や B の食塩や水の量がどこでどうなっているのか、くっきりと見えるのです。なので複雑な手順になればなるほど、ベクトル方式はその真価を発揮します。国家試験の難問で試してみましょう。

例題② [国家一般職/平成 25 年度(1部改)]

 互いに濃度が異なる食塩水 A, B があり、それぞれの質量は 1200g です。食塩水 A の水を1部蒸発させて 100g の塩を沈殿させます。そのあと沈殿物を取り除くと食塩水の量は 800g となりました。これに食塩水 B を 400g 加えると濃度は元の状態に戻りました。
 次に食塩水 A から取り出した沈殿物 100g に食塩水 B のうち 500g を加えて溶かしてみると、この食塩水の濃度も食塩水 A の最初の濃度と同じになりました。
 食塩水 A の最初の濃度はいくらですか?

例題②の解答

 食塩水 A, B の最初の塩の量をそれぞれ x, y とおくと

A = (x, 1200), B = (y, 1200)

 水を蒸発させたあと塩を 100g 取り除いて全体が 800g となったので、この水溶液の状態を A' とおくと

A' = (x - 100, 800)

 これに食塩水 B の 400g 、すなわち 1 / 3 を加えるので

A' + B / 3 = (x - 100 + y / 3, 1200)

 これが食塩水 A のもとの状態に等しいので、

(x - 100 + y / 3, 1200) = (x, 1200)

 よって、y = 300 と定まって、

B = (300, 1200)

 次はこの B から 500 g を取り出すために 5 / 12 をかけます。

(5 / 12) B = (125, 500)

 これに塩を 100 g 加えるので

(5 / 12) B + (100, 100) = (225, 600)

 この食塩水の濃度が食塩水 A と同じだというので、

食塩水 A の濃度 = 225 / 6 = 37.5 %

と計算できます。このように、ベクトル方式を使うと、複雑な手順でもオートマティックに計算できてしまうのです。反面、算数的に頭を使うというようなところがあまりないので、ベクトル方式一辺倒というのも何だか寂しいところですね。まあ、あくまで試験向きということで。次回はもっと「算数的に楽しく線分図を描いて」という方法を紹介しますので、そちらもよろしくです!


 

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