既約分数を活用して割り算します
2 および 1 桁の奇素数 (1, 2, 3, 5, 7) による割り算です。
前回扱った既約分数の値を使います。
表を再掲しますので、参照しながら記事を読んでください。
1 / 8 = 0.125, 1 / 9 = 0.111, 1 / 20 = 0.05, 1 / 25 = 0.04
2 で割ります
末尾が偶数である数は必ず 2 で割り切れます。 2 で割ることはそう難しくないのですが、割られる数が大きいと計算速度に個人差が現れます。割り算は筆算すると無駄な計算スペースをとるうえに間違えやすいので、なるべく避けて
というように横書きで計算します。この形ならば暗算でも思い浮かべやすいはずです。末尾の数が奇数である場合には、
のように必ず末尾に + 0.5 が現れます。
3 で割ります
3 で割るときは 3 の倍数を取り分けるようにします:
1149 ÷ 3 = (999 + 150) ÷ 3 = 333 + 50 = 383
3 で割り切れないときは既約分数 1 / 3 = 0.333 ... を使います:
既約分数の 10 倍、100 倍を使いこなすと計算の幅が広がります。たとえば
という計算で 2 / 3 = 0.6666 ... を用いると 200 / 3 = 66.667 ですから
となります。
5 で割ります
5 で割るときは少し変則的に計算します。
5 = 10 ÷ 2 と考えて、2 倍してから 10 で割るのです。
割り切れなくても同じように計算できます。
7 で割ります
1 / 7 は分数表に載せていませんが、それには事情があります。 7 を分母とし、分子が分母より小さい既約分数は 1 / 7, 2 / 7, 3 / 7, 4 / 7, 5 / 7, 6 / 7 の 6 つもあります。 1 / 7 の値を小数点以下 8 桁まで計算すると
ですが、たとえばこの精度で 4 / 7 を計算すると
となります。この段階で四捨五入すると
しかし 1 / 7 = 0.143 と四捨五入した値を 4 倍すると
となって小数点以下 3 桁で誤差が生じてしまいます。このあたりの誤差をどう見るかは個人差もあると思いますが、私としては少なくない誤差だと思うので 4 / 7 以上は使っていません。しかしこうした事情もふまえたうえで 1 / 7, 2 / 7, 3 / 7 まではこれまでと同じような方法で計算して構いません(ただ、1 / 7 = 0.143 が覚えやすいとはいえないので無理に使う必要もありません)。 7 で割るときはもちろん 7 の倍数を取り分けます。
問題 次の式を計算してください
(1) 155 ÷ 3 (2) 133 ÷ 5 (3) 119 ÷ 5 (4) 107 ÷ 7
問題の解答
(1) 155 ÷ 3 = (150 + 5) ÷ 3 = 50 + 1 + 2 / 3 = 51.667
(2) 133 ÷ 5 = 133 × 2 ÷ 10 = 266 ÷ 10 = 26.6
(3) 119 ÷ 5 = 119 × 2 ÷ 10 = 238 ÷ 10 = 23.8
(4) 107 ÷ 7 = (70 + 37) ÷ 7 = 10 + 5 + 2 / 7 = 15.286
2重割り算
素数でない数のことを合成数とよびますが、合成数はたとえば 6 = 3 × 2 のように何らかの数の積に分解できるので合成数で割るときには 2 重割り算という手法に持ち込めます。詳しい方法は以下の解説で。
1 / 8 = 0.125, 1 / 9 = 0.111, 1 / 20 = 0.05, 1 / 25 = 0.04
4 で割ります
割り切れそうなときは 2 で 2 回割ります(2 重割り算)。
2 で 1 回割り切れて、2 回目が割り切れないときは末尾に 0.5 が現れます。
割り切れない時は 4 の倍数を取り分けます。
上の例では 1600 を基準にとって引き算に持ち込みました。
1 / 4 = 0.25 の倍数は扱いやすいので、思いきって引き算にしてしまうのも手です。
6 で割ります
割られる数が偶数なら 2 と 3 で続けて割ります。
仮に 2 で割った時点で奇数になったら、3 の倍数を取り出して割り算します。
割られる数が奇数なら 6 の倍数を取り分けます。
8 で割ります
割り切れるところまで 2 で立て続けに割ります。
[4104 ÷ 8 の計算]
4104 ÷ 2 = 2052, 2052 ÷ 2 = 1026, 1026 ÷ 2 = 513
これは割り切れましたが、割り切れない場合も見ておきます。
[4106 ÷ 8 の計算]
4106 ÷ 2 = 2053
2053 ÷ 4 = (2040 + 13) ÷ 4 = 510 + 3 + 1 / 4 = 513.25
9 で割ります
9 は 3 × 3 の合成数ですが、基本的には 99 や 999 などを取り分けたほうが 2 重割り算よりも早いことが多いです。
999 × 2 で 2000 に 2 つ足りない数を作っているわけですから、残りの 907 に 2 を足して 909 としているのです。割り切れない例も見ておきます。
1 / 9 = 0.111 ... ですから端数の処理は比較的簡単です。
問題 次の式を計算してください
(1) 130 ÷ 4 (2) 234 ÷ 6 (3) 1004 ÷ 6 (4) 1500 ÷ 9
問題の解答
(1) 130 ÷ 4 = 65 ÷ 2 = 30.25
(2) 234 ÷ 6 = 117 ÷ 3 = (99 + 18) ÷ 3 = 33 + 6 = 39
(3) 1004 ÷ 6 = 502 ÷ 3 = (480 + 22) ÷ 3 = 160 + 7 + 1 / 3 = 167.333
(4) 1500 ÷ 9 = 500 ÷ 3 = (480 + 20)÷ 3 = 160 + 6 + 2 / 3 = 166.667
(4) は 9 で割っていますが、明らかに 3 で 1 回割ったほうが( 2 重割り算にもちこんだほうが)早いです。このあたりは臨機応変に! ≫ 学び直し数学講座