ある整数 N が整数 a, b によって
N = a b
のような形に書けるとき、N は a の倍数、あるいは b の倍数といいます。 a や b が 0 や負であっても定義はそのまま使えますが、普通は特に断りがない限り a, b は自然数としておきます。また逆に a と b は N の約数であるといいます。 N が a の倍数であることを簡単に
a | N
と書きます。学校では習いませんけど知っていると便利な記号です。
倍数
7 の倍数を順に並べてみましょう。上の定義によると N = 7 a の形に書ける数を作っていけばよいのです。上でも述べたように、a は 0 でも負でも構わないのですが(0 や -7 も 7 の倍数です)、慣例としてこのような数は外しておきます。そこで a = 1, 2, 3 , …… と順に入れていくと
N = 7 a = 7, 14, 21, 28, 35, 42, 49, 56, 63, 70, 77, ......
となりますね。九九における 7 の列に相当します(ただし、7 × 11 とか 7 × 12 のように、さらに大きな数が無限に続きます)。このような N は全て 7 で割り切れますから、N は 7 を約数にもつともいえます。記号で書くと
7 | N
です。具体的には
7 | 7, 7 | 14, 7 | 21, ......
ということです。
12 の約数を求めます
具体的に 12 という数字を選んで、思いつくかぎりの方法で掛け算の形に分解してみます。ただし、掛ける順序だけが違うものは同じものと考えて重複しないようにします。
12 = 1 × 12, 12 = 2 × 6, 12 = 3 × 4
この 3 通りだけですね。つまり 12 の約数は
1, 2, 3, 4, 6, 12
の 6 個ということになります。 1 や 12 も約数に含まれていることに注意してください。さきほどの ” | ” という記号を使えば、
1 | 12, 2 | 12, 3 | 12
のように書くことができます。また、
12 は 2 の倍数、12 は 6 の倍数
というように表現することもできます。
もう1つの例として 10 を考えてみましょう。掛け算に分解すると
10 = 1 × 10, 10 = 2 × 5
の 2 通りしかありません。10 の約数は
1, 2, 5, 10
の 4 つです。 12 に比べると約数が少ないですね。実はカレンダーで 1 年を 12 ヶ月で分割したり、1 日を 12 時間 × 2 = 24 時間に分割するのは、その分けやすさ、つまり 12 が多くの約数をもつことが1つの理由だと言われています(その慣習は古代メソポタミアにまで遡るので、あくまで推測ですが)。仮にカレンダーが 10 月で分割されていたとしたら、「四半期の業績」を計算することもできませんし、やはり不便だと思いますよ。たとえ古代にどのような分割法が選ばれていたとしても、結局は歴史の過程で暦が修正されて12 ヶ月(あるいは 16 ヶ月)に落ち着いたのではないかと思います。
問題
古代バビロニアでは 60 進法という記数法が採用されました。現代でも時間や角度の単位として用いられています。この 60 という数の約数を全て求めてください。
解答
60 もたくさんの約数をもちます。頑張って掛け算の形に直してみましょう。素因数分解を用いて約数を求める方法は次回に載せる予定ですが、もちろん知っている人は素因数分解を使って解いても構いません。でも 60 ぐらいの数であれば、普通に掛け算を並べたほうが早いと思います。
60 = 1 × 60 60 = 2 × 30 60 = 3 × 20 60 = 4 × 15 60 = 5 × 12 60 = 6 × 10
この 6 通りです。分解された数を小さい順に並べると、
1, 2, 3, 4, 5, 6, 10, 12, 15, 20, 30, 60
の 12 個です。
もっと難しい問題にもチャレンジしてみましょう!
⇒ 約数と倍数 演習問題 01
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