将棋では、プロ棋士は頭の中にくっきりと盤面を思い浮かべることができます。
アマチュアでも高段の人は盤を全く見ないで脳内で将棋を指すことができるようです。
これができる人とできない人の間には、その棋力において非常に大きな隔たりがあります。こうした能力は大人になってから身につけることは難しいようです。遅くとも小学生の頃までに将棋に親しんでいないと、頭の中に盤面を描くことはできないようです。私は大人になってから将棋を愛好するようになったので、たった1つの局面ですら正確に思い出すことはできません。だからなかなか上達できずに数年たっても級位者止まりです。
成績上位者のための数学学習法
「なんでいきなり将棋の話?」
と思われるかもしれませんけど、ちゃんと数学の話につながっていくので御安心ください。今回の記事はタイトルにあるように数学が得意な人のための勉強法です。世間には「数学が苦手な人のための学習法」という本は溢れるほど出回っていますが、「数学が得意な人のための指南書」はほとんど出版されていません(難問集の類ならあります)。そりゃそうです。数学が得意な人はわざわざそんな本を手にとらなくても自分なりの学習法を身につけているし、学校の授業の内容を消化することに特に苦労もしないので、そんな本を出版しても大赤字になるだけです。
それでも敢えてこんな記事を書いてみました。でもここで言う「数学が得意な人」とは「数学の天才」のことではありません。天才であればこんな「凡才が作ったサイト」なんて見る必要もありません。
「数学は得意だよ。クラスで1番か2番の成績なんだ。でも大学でこのまま好調を維持できるかちょっと不安だな」
という人が、もう1段か2段、ステップアップするためのヒントになればいいなと思って書いた記事です。これは個人的体験にもとづくものなので「さらなる飛躍を確約する」というものではないですし、数学が得意な人は自分なりの効果的な学習スタイルをすでに身につけているでしょうから、
「ふーん。こんな方法もあるのか。ちょっと試してみようかな」
ぐらいの軽い気持ちで読んでみてください。
頭の中で数式を書きます
脳内に将棋盤を再現して駒を動かすのと同じように、脳内の黒板に書かれた数式をくっきりイメージできるようになれば数学における思考力は大きく伸びると思います。これが身につくと数式の処理速度が向上し、通学中の電車の中でも数学の問題を解くことができるようになるので隙間時間の有効利用にもつながります。そして複雑な将棋の盤面に比べれば、たった数行の数式をイメージすることはずっとやさしいので、訓練次第で誰にでもできるようになると思います。
数学が得意な人は x2+2x+1 の因数分解を簡単に暗算できると思います。では、cos2x の積分はどうでしょう? f(x)=log(1+x) の級数展開は? … というように、最初は定型的で答えのわかっている計算問題や方程式などで少しずつ慣らしていきます。
「できないことないけど、しっかり集中しないと難しいな」
というぐらいの数式で頭に軽い負荷をかけてゆくのが良いと思います。難しそうに思えますけど、やってみると
「なーんだ。意外とできちゃうもんだね」
と思うはずです。そこから少しずつステップアップしながら、最終的に教科書の章末問題を脳内で解けるぐらいになるまで繰り返し練習します。若い人なら訓練次第でもっと伸びるかもしれません(何度も言うようですけど、脳内数学は脳内将棋に比べれば本当に簡単です)、
「暗算でこんな難しい問題を解けたよ!」
というコメントを気長に待っております。よろしくです。
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