完全微分型方程式の演習問題

[問題 DE-08] 完全微分型方程式 ①

 $(Ax+By+C)dx+(Bx+Cy+D)dy=0$ の一般解を求めてください。
 

問題 DE-08 のヒント

 解法手順は 完全微分型方程式の頁 を参照してください。ただし、この問題については $\varPhi$ の形をある程度予測できれば簡単に解けてしまいます。

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解答 DE-08

 与えられた微分方程式
 
\[(Ax+By+C)dx+(Bx+Cy+D)dy=0\tag{A}\]
が完全微分型であるためには、
 
\[P(x,y)=Ax+By+C,\quad Q(x,y)=Bx+Cy+D\]
について
 
\[\frac{\partial P}{\partial y}=\frac{\partial Q}{\partial x}\]
という条件式を満たしている必要があります。実際に計算してみると
 
\[\frac{\partial P}{\partial y}=\frac{\partial Q}{\partial x}=B\]
となるので、(A) は完全微分型方程式であり、
 
\[\frac{\partial \varPhi}{\partial x},\quad\frac{\partial \varPhi}{\partial y}\]
を満たすような $\varPhi$ が存在することになります。そして、そのような $\varPhi$ は
 
\[\varPhi=\int_{a}^{x}P(s,y)ds+\int_{b}^{y}Q(a,t)dt+\Phi (a,b)+E\]
によって与えられます ($E$ は定数)。実際に計算してみると
 
\[\begin{align*}\varPhi&=\int_{a}^{x}(As+By+C)ds+\int_{b}^{y}(Ba+Ct+D)dt\\[6pt]
&=\frac{A}{2}x^2+Bxy+Cx+\frac{C}{2}y^2+Dy+F\end{align*}\]
となります。ただし定数項は $F$ にまとめておきました。一般解は $\varPhi=c$ で与えられるので、あらためて $G$ を定数として
 
\[\frac{A}{2}x^2+Bxy+Cx+\frac{C}{2}y^2+Dy+G=0\tag{A1}\]
が求める解となります。

問題 DE-08 の別解

 ところが、この問題では与えられた方程式
 
\[(Ax+By+C)dx+(Bx+Cy+D)dy=0\tag{A}\]
をよくみると、$x$ で微分して $Ax$ という項になるし、$y$ で微分して $Cy$ という項が現れるのだから、$k,\:l,\:m$ を定数として
 
\[\varPhi=\frac{A}{2}x^2+\frac{C}{2}y^2+kxy+lx+my=0\]
という形になるだろうと予測できます。試しに偏微分してみると
 
\[\begin{align*}\frac{\partial \varPhi}{\partial x}&=Ax+ky+l\\[6pt]
\frac{\partial \varPhi}{\partial y}&=Cy+kx+m\end{align*}\]
となるので、(A) と係数を比較して
 
\[k=B,\quad l=C,\quad m=D\]
がわかります。したがって
 
\[\frac{A}{2}x^2+Bxy+Cx+\frac{C}{2}y^2+Dy+G=0\]
という一般解を得られます。
 

[問題 DE-09] 完全微分型方程式 ②

(1) 次のような形の微分方程式
 
\[\mu (x,y)P(x,y)dx+\mu (x,y)Q(x,y)dy=0\]
が与えられたとき、方程式が $d\varPhi=0$ すなわち完全微分型になるための必要十分条件は
 
\[\frac{\partial (\mu P)}{\partial y}=\frac{\partial (\mu Q)}{\partial x}\]
であることが知られています。積分因子 $\mu$ が $x$ のみに依存する関数であるとき、
 
\[\mu (x)=\exp\left[\int\frac{1}{Q}\left(\frac{\partial P}{\partial y}-\frac{\partial Q}{\partial x}\right)dx\right]\]
で与えられることを示してください。

(2) 微分方程式 $(x+ky)dx+xdy=0$ を解いてください ($k$ は定数)。

問題 DE-09 のヒント

 完全微分型方程式についてはこちらの記事 を参照してください。

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解答 DE-09

(1) 積分因子 $\mu$ が $x$ の関数 $\mu (x)$ であるとき、
 完全微分型になるための必要十分条件
 
\[\frac{\partial (\mu P)}{\partial y}=\frac{\partial (\mu Q)}{\partial x}\]
を書きなおすと
 
\[\mu\frac{\partial P}{\partial y}=Q\frac{d\mu}{dx}+\mu\frac{\partial Q}{\partial x}\]
となります。これを整理すると
 
\[\frac{1}{Q}\left(\frac{\partial P}{\partial y}-\frac{\partial Q}{\partial x}\right)=\frac{1}{\mu}\frac{d\mu}{dx}\]
となります。右辺が $x$ だけの関数ですから、もちろん左辺も $x$ の関数です。よって、この式を積分して
 
\[\mu (x)=\exp\left[\int\frac{1}{Q}\left(\frac{\partial P}{\partial y}-\frac{\partial Q}{\partial x}\right)dx\right]\]
となります。

(2) 与えられた微分方程式
 
\[(x+ky)dx+xdy=0\]
において
 
\[\frac{1}{Q}\left(\frac{\partial P}{\partial y}-\frac{\partial Q}{\partial x}\right)\]
を計算すると
 
\[\frac{1}{Q}\left(\frac{\partial P}{\partial y}-\frac{\partial Q}{\partial x}\right)=\frac{k-1}{x}\]
となります。右辺は $x$ だけの関数なので、
 
\[\mu (x)=\exp\int\left(\frac{k-1}{x}\right)dx=|x|^{k-1}\]
となります($k=1$ のとき、すなわち $\mu$ が定数のときもこの形で表せます)。したがって $\mu (x)=x^{k-1}$ を
 
\[(x+ky)dx+xdy=0\]
の両辺にかけると
 
\[x^kdx+kx^{k-1}ydx+x^kdy=0\]
 この式の左辺は微分型になっているはずです。変形していくと
 
\[\begin{align*}&d\left(\frac{x^{k+11}}{k+1}\right)+kyd\left(\frac{x^k}{k}\right)+k^kdy=0\\[6pt]
&d\left(\frac{x^{k+1}}{k+1}\right)+d(x^ky)=0\end{align*}\]
 これを積分して整理すると
 
\[x^{k+1}+(k+1)x^ky=A\]
という解を得ます。
 

[問題 DE-10] 完全微分型方程式③

 微分方程式 $(y^3+x^2y)dx+(x^3-y^2)dy=0$ を解いてください。
 

問題 DE-10 のヒント(完全微分型かどうかチェックします)

 まずは左辺が完全微分型になっているかどうかを確認します。
 なっていなければ積分因子 $\mu$ を見つけます。
 

解答 DE-10

 微分方程式
 
\[(y^3+x^2y)dx+(x^3-y^2)dy=0\tag{A}\]
が完全微分型であるためには、
 
\[P(x,y)=y^3+x^2y,\quad Q(x,y)=x^3-y^2\]
について
 
\[\frac{\partial P}{\partial y}=\frac{\partial Q}{\partial x}\]
という条件式を満たしていなければなりませんが、計算してみると
 
\[\begin{align*}\frac{\partial P}{\partial y}=3y^2+x^2\\[6pt]
\frac{\partial Q}{\partial x}=3x^2-y^2\end{align*}\]
となるので、与えられた微分方程式は完全微分型ではありません。そこで
 
\[\frac{\partial (\mu P)}{\partial y}=\frac{\partial (\mu Q)}{\partial x}\]
となるような積分因子 $\mu$ を見つける必要があります。$\mu=x^my^n$ とおくと
 
\[\begin{align*}\mu P=x^my^{n+3}+x^{m+2}y^{n+1}\\[6pt]
\mu Q=x^{m+3}y^n-x^{m+1}y^{n+2}\end{align*}\]
 それぞれ $x$ , $y$ で微分すると
 
\[\begin{align*}\frac{\partial (\mu P)}{\partial y}&=(n+3)x^my^{n+2}+(n+1)x^{m+2}y^n\\[6pt]
\frac{\partial (\mu Q)}{\partial x}&=(m+3)x^{m+2}y^n-(m+1)x^my^{n+2}\end{align*}\]
 両辺の係数を比較すると
 
\[\begin{align*}n+3=-m-1\\[6pt]n+1=m+3\end{align*}\]
 これを解いて
 
\[m=-3,\quad n=-1\]
が得られます。すなわち
 
\[\mu=\frac{1}{x^3y}\]
となります。これを微分方程式
 
\[(y^3+x^2y)dx+(x^3-y^2)dy=0\]
にかけて
 
\[\left(\frac{y^2}{x^3}+\frac{1}{x}\right)dx+\left(\frac{1}{y}-\frac{y}{x^2}\right)dy\]
 これを変形していくと
 
\[\begin{align*}-\frac{1}{2}y^2d\left(\frac{1}{x^2}\right)+d(\log x)+d(\log y)-\frac{1}{2}\frac{1}{x^2}d(y^2)=0\\[6pt]
d(\log xy)-\frac{1}{2}\left\{y^2d\left(\frac{1}{x^2}\right)-\frac{1}{x^2}d(y^2)\right\}=0\\[6pt]
d(\log xy)-\frac{1}{2}d\left(\frac{y^2}{x^2}\right)=0\end{align*}\]
 これを積分して一般解
 
\[\log xy=\frac{y^2}{2x^2}+C\]
が得られます。
 

[問題 DE-11] 変数分離型微分方程式の積分因子

 変数分離型の微分方程式
\[\frac{dy}{dx}=F(x)G(y)\quad (Y\neq 0)\]を完全微分型方程式
\[\mu P(x,y)dx+\mu Q(x,y)dy=0\]の形にするための積分因子 $\mu$ を求めてください。ただし $\mu$ は
\[\frac{\partial (\mu P)}{\partial y}=\frac{\partial (\mu Q)}{\partial x}\]をみたす関数です。
 

問題 DE-11 のヒント(変形しましょう)

 まずは与えられた方程式を変形します。
 

解答 DE-11

 微分方程式
 
\[\frac{dy}{dx}=F(x)G(y)\quad (Y\neq 0)\]
を変形すると
 
\[F(x)G(y)dx-dy=0\tag{A}\]
となります。すなわち
 
\[P=FG,\quad Q=-1\]
とみると、(A) が完全微分型であるためには
 
\[\frac{\partial (\mu FG)}{\partial y}=\frac{\partial (-\mu)}{\partial x}\]
とみたす必要があります。ここで仮に $\mu$ が $y$ だけの関数であると仮定すると、右辺は 0 ですから
 
\[F\left(\frac{d\mu}{dy}G+\mu\frac{dG}{dy}\right)=0\]
となります。すなわち
 
\[\frac{d\mu}{dy}G+\mu\frac{dG}{dy}=0\]
となるような $\mu$ を見つければよいことになります。変数分離すると
 
\[\frac{d\mu}{d\mu}=-\frac{dG}{dG}\]
 これを積分して、任意定数を $A$ とすると
 
\[\log\mu=\log\frac{A}{G}\]
となります。すなわち積分因子のひとつとして
 
\[\mu=\frac{1}{G}\]
が得られます。 ≫ 微分方程式演習

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