久しぶりにサイエンスな話題です。今回は天文学。
先日、E テレの『サイエンス zero 』で探査機ジュノーによる木星探査の最新情報が取り上げられていて、とても面白かったので、前後編で 木星 についてあれこれ語ってみたいと思います。前編ではジュノーによる探査以前にすでに知られていた木星についての簡単な説明をしておきます。
巨大な惑星です
まず木星はとにかく 大きな惑星 です! 地球と比較するとこんな感じになります。
大きすぎます! 圧倒的です! この写真を見ると、地球が今にも呑みこまれてしまいそうですね。ちなみに木星を地球と比較すると ……
直径は約 11 倍、質量は約 300 倍、重力は約 23 倍
です。すごいですねー。怖いですねー。もしも本当に地球が上の合成写真のように木星に近づいてしまったら、その巨大な重力に絡め捕られて、あっという間に呑みこまれてしまうでしょう。
遠い所にあります
でもご心配なく。木星は とても遠いところ にあるのです。
理科の授業で「水、金、地、火、木、土、天、海」と習いますね。
火星の次にある惑星ですから、そんなに遠くなさそうに思えます。
しかし実は水星、金星、地球、火星は比較的太陽に近い所にぎゅっと固まっていますが、木星や土星は火星の軌道に比べて遥かに遠くの軌道を回っているのです。火星と木星の太陽からの距離を比較すると、
火星:1.5 AU 木星:5.2 AU
ここで AU (Astoronomical Unit) は地球と太陽との距離で、約 1 億 5 千万キロメートルです。木星は火星軌道の 3 倍以上も離れた軌道を 1 周 12 年もかけて回っているです。
内部構造は不明です
写真で見るあの巨体は水素やヘリウムを主成分とする大気です。木星は巨大ガス惑星とよばれていて、体積のほとんどをガスで占められていると予想されています。そして、ものすごく深いところにケイ素(もしかすると鉄?)でできた中心核があるのではないかなあと考えられています。でも誰も見たことがないので、本当のところは全くわからないのです。
大きな衛星を従えています
地球に月は 1 つだけですが、木星には約 50 個近くの衛星があります。そのほとんどは小さなものですが、イオ、エウロパ、ガニメデ、カリストという 4 つの衛星は地球の月と同じぐらいか、それ以上の大きさがあります。ちょっと比較してみると、
地球の月 1738 km
イオ 1821 km
エウロパ 1565 km
ガニメデ 2634 km
カリスト 2403 km
ガニメデとカリストは地球の月をはるかに上回る大きさですね!
ちなみに太陽系で最小の惑星である水星の赤道半径は 2440 km ですから、ガニメデとカリストは惑星クラスの大きさをもっていることがわかります。
太陽系最大の衛星ガニメデ
衛星がオーロラを作ります
よく知られているように、地球の極地方で見られるオーロラは太陽から飛来する荷電粒子が地球の磁場にとらえられて発光するものです。しかし木星の極に発生するオーロラの根源は木星が従える衛星だと考えられています。たとえばイオでは木星の強い重力による潮汐作用によって地殻が引っ張られて絶え間なく火山活動を続けており、その高く吹き上がった噴出物が木星の磁気圏にとらえられ、木星の分厚い大気に降り注いで発光しているのです。
上の写真はハッブル宇宙望遠鏡が撮影した木星の北極です。イオ、ガニメデ、エウロパによって形成されたオーロラが写っています。次回は探査機ジュノー (Juno) が送ってきた最新報告をまとめてみたいと思います。
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