【CL19】極値をとる条件と無限級数
(1) $f(x)=g(x)\,e^{-x}$ が $x=a$ で極値をもつ条件を $g(a),\:g'(a),\:g^{\prime\prime}(a)$ を使って表してください。
(2) $f(x)=e^{-x}\cos x$ が極値をとる $x$ の正の値を小さいほうから順に
\[x_1,\:x_1,\: \cdots, \: x_n,\: \cdots\]とします。$x_n$ および $\displaystyle \sum_{n=1}^{\infty} f(x_n)$ を求めてください。
【ヒント】調べたい関数がある関数 $g(x)$ と指数関数の積の形になっている場合には、最初に一般的な $g(x)$ についての条件を求めておくと指数関数部分が落ちてすっきりした条件式になります。念のために補足しておくと、 $f'(a)=0,\:f^{\prime\prime}(a) \neq 0$ ならば、 $f(x)$ は $x=a$ で極値をもちます。
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【解答】(1) まず1階微分を計算すると
\[f'(x)=g’e^{-x}-ge^{-x}=(g’-g)e^{-x}\]
ですから、 $x=a$ で $f'(x)=0$ となるためには
\[g(a)=g'(a) \tag{A}\]
が1つめの条件となります。次に2階微分を計算しましょう。
\[f^{\prime\prime}(x)=(g^{\prime\prime}-g’)e^{-x}-(g’-g)e^{-x}=(g^{\prime\prime}-2g’+g)e^{-x}\]
となるので、$f^{\prime\prime}(x) \neq 0$ より
\[g^{\prime\prime}(a)-2g'(a)+g(a) \neq 0\]
ここで条件 (A) より $g'(a)$ を消去して
\[g(a) \neq g^{\prime\prime}(a) \tag{B}\]
が極値をとるための2つめの条件となります。
(2) (1) を使って $f(x)$ が極値をとる $x_n$ を求めます。 $g(x)=cosx$ とおくと
\[g'(x)=-\sin x,\quad g^{\prime\prime}(x)=-\cos x\]
となります。条件 (A) から
\[\cos x+\sin x=0\]
左辺を合成すると
\[\sqrt{2} \sin \left(x+\frac{\pi}{4} \right)=0\]
$x_n$ は正なので
\[x_n=\left( n-\frac{1}{4} \right) \pi\]
という点が「極値をとるかもしれない $x$ 」です。これが極値をとることを確認するために条件 (B) を用います。すなわち $g(x_n)=g^{\prime\prime}(x_n)$ を満たすような $x_n$ が含まれているかどうかを確認します(もし含まれていたらその点は除外しなくてはいけません)。 $g(x_n)=g^{\prime\prime}(x_n)$ という式を整理すると
\[\cos \left( n-\frac{1}{4} \right) \pi=0\]
となるので、
\[\left( n-\frac{1}{4} \right) \pi=\left( m-\frac{1}{4} \right) \pi\]
ここで $m$ も正の整数です。これを整理すると
\[m-n=\frac{1}{4}\]
のような式が得られますが、これは $m$ と $n$ が整数であるという条件に矛盾するので、 $g(x_n)=g^{\prime\prime}(x_n)$ となるような $x_n$ はひとつも存在せず、任意の $n$ について $f(x)$ は $x_n$ で極値をとることになります。最後に $f(x_n)$ についての和をとります。
\[f(x_n)=\frac{\sqrt{2}}{2}e^{-\pi/4}(-e^{-\pi})^n\]
ですから、これは初項が $\displaystyle f(x_1)=-\frac{\sqrt{2}}{2}e^{-3\pi/4},$ 公比 $-e^{-\pi}$ の等比数列です。また $|-e^{-\pi}| \lt 1$ なので、この等比級数は収束して
\[\sum_{x=1}^{\infty} f(x_n)=-\frac{\sqrt{2}}{2} \frac{e^{-3\pi/4}}{1+e^{-\pi}}=-\frac{\sqrt{2}}{2} \frac{e^{-\pi/4}}{1+e^{\pi}}\]
となります。
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