今回から色々な 方程式 について学びます。
初回は 1 次方程式。学校のカリキュラムでは中学1年で学ぶ内容ですので、「1次方程式なんて目をつむっても解けるよ!」という人も多いと思いますが、『学び直し講座』ならではの独自のアプローチで解説しているので、所々に学校では習わないような大切な概念が説明されたりしています。「まあ仕方ないから読んでやるか」ぐらいの気持ちで結構ですので、できれば読み飛ばさないようにしてください(特に次回!)。
□ の代わりに x を使います
小学校の算数でも
というような虫食い算の問題がありますね。いえ、これはどこからどう見たって方程式そのものなのですが、数学では慣例として □ を x とおくのが普通です。
別にこうおいたところで問題の内容が変わるわけではありません。でも見た目が格好良くなります。「 7 を足して 12 になる数は 3 」ですから、それを
というように答えを書きます。
1次方程式とは?
次のような形をした方程式を1次方程式とよびます。
x のことを「未知数」(まだ知られていない数)、a と b は「定数」とよばれます(整数であったり、小数や分数であったりします)。1次方程式の「1次」とは x の指数が 1 だということです。あえて書くなら
ということです。ちなみに方程式の左に書かれた式のことを「左辺」、右に書かれた式のことを「右辺」とよび、まとめてよぶときは「両辺」と言います。また x や 3, 7 など方程式に含まれる数はどれも「項」とよばれます。
両辺から取り去ります
もう少し難しい問題を考えてみましょう。
これもちょっと考えれば「 2 倍して 3 を加えて 13 になるんだから x は 5 」とわかりますが、「これより複雑な問題が出てきたら、そろそろやばいかも」と不安に思って、このへんでちょっと機械的な方法で解くことも考えてみます。「 = 」は「左辺と右辺が等しいですよ」という意味ですから、両辺から同じ数を引いてもよいはずです。そこで 3 を取り去ってみることにします。
計算してみると
となりますね。うんと簡単になりました。「 2 倍して 10 になる数」です。もう答えはわかりきっていますが、ここでもうひと手間かけることにします。両辺を 2 で割ってみると
これを計算すると
となりますね。このように両辺に足したり引いたり、掛けたり割ったりして上手に x を見つけてあげることがコツです。
移項の意味を覚えておきましょう
今の方程式を解く過程をもう1度振り返ってみます。
の両辺から 3 を取り去って左辺だけを計算してみると
左辺にあった「 3 」という数字が右辺に移動したように見えますね。ただし、左辺では足し算だった数字が、右辺では引き算になっています。このように形式的に項を右や左に移して、足し算を引き算に変えたりすることを「移項」とよびます。もう1つ別の例をあげておきましょう。
この場合は両辺に 6 を加えますから、
となり、左辺の 6 が右辺に移動して引き算が足し算に変わりました。「移項」は教科書や参考書の色々な所で説明に使われる記述なので、きちんと覚えておく必要がありますが、個人的には「両辺に加える、両辺から取り去る」という操作感覚で方程式を扱った方が、若干処理速度が速い気がします。でも個人差があると思うので、好きなほうを選んでください。
問題
次の方程式を解いてください。
(1) 4 x + 5 = 17
(2) x / 2 + 1 = 3
(3) 2 x - 7 = 0
(4) 0.2 x - 1 = 2
問題の解答
(1) まず両辺から 5 を取り去ります。
両辺を 4 で割って
が得られます。
(2) 両辺から 1 を引きます。
両辺を 2 倍して
となります。
(3) 両辺に 7 を加えます。
両辺を 2 で割って
となります(小数にせずに分数のままにしておくのが普通です)。
(4) 0.2 を整数にするために両辺を 5 倍します。
両辺に 5 を加えて
が得られます。