極大値の移動曲線(極大値の変化を調べます)

【CL18】極大値の移動曲線

(1) $n$ を自然数とします。次のように定義される関数
\[f(x)=\frac{\log x}{x^n}\] の極大値の座標 $(x_n,\:y_n$) を求めて、グラフの概形を描いてください。
 以下の極限公式は既知とします。
\[\lim_{x\rightarrow \infty}\frac{\log x}{x^n}=0,\quad \lim_{x\rightarrow 0}\frac{\log x}{x^n}=-\infty\]

(2) 極限値 $\displaystyle \lim_{n\rightarrow \infty}\frac{x_{n+1}}{x_n}$ を求めてください。
 
 
【ヒント】今回はオリジナル問題。以前に姉妹ブログ「数学実験室」で扱った題材です。極大値がどのような曲線に沿って動くのか をイメージしながら解いてください。(2) は 極大値をとる点の変化率 を調べる問題です。

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【解答】$\log x$ が含まれているので、$f(x)$ は $0 \lt x$ で定義される関数です。積の微分公式を使って $f(x)$ を微分すると
 
\[f'(x)=\frac{1}{x}\frac{1}{x^n}-nx^{-n-1}\log x=\frac{1-n\log x}{x^{n+1}}\]
 $f'(x)=0$ となるのは
 
\[\log x=\frac{1}{n}\]
を満たす $x$ です。よって極値の座標は
 
\[x_n=\sqrt[n]{e},\quad y_n=\frac{1}{ne}\]
となり、増減表は以下のようになります。

 Excel増減表

 グラフは次のような概形となります。
 Excelによるlogx÷x^nのグラフ

(2) $x_n,\:x_{n+1}$ はそれぞれ
 
\[x_n=\exp \left( \frac{1}{n} \right),\quad x_{n+1}=\exp \left( \frac{1}{n+1} \right)\]
なので比をとると
 
\[\frac{x_{n+1}}{x_n}=\exp \left( -\frac{1}{n(n+1)} \right)\]
 したがって
 
\[\lim_{n\rightarrow \infty}\frac{x_{n+1}}{x_n}=0\]
となります。ちなみになぜ隣り合う点同士の比の極限値を調べたのかというと、極値をとる点が原点に収束すると同時に、その点が狭い感覚でびっしりと詰まっていく様子を見てもらうためです。つまり原点付近に無限個の $(x_n,\: y_n)$ が存在するということです。参考のために下に $(x_n,\: y_n)$ の収束する様子を描いておきました。あまりたくさん描くと見づらくなるので $n=2,\:3,\:4$ の3点だけをプロットしていますが、少しずつその間隔が狭まっていく様子を思い浮かべてください。

Excel極値の移動線

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