(a + 1)2, (a - 1)2 型の掛け算



≫『大学への数学』最新号
≫ 挑戦問題 PS-19 が入りました。

 以前に文字式に関する講座で、

(a + b)2 = a2 + 2 a b + b2  [1]
(a - b)2 = a2 - 2 a b + b2  [2]

という公式を学びましたね。そのときにもいくつか実際の計算への応用を紹介しましたが、ここで改めて練習しておきましょう。b が大きすぎると計算しづらくなるので、実際には b = 1 で使えば充分です。
 

(a + 1)2 型の掛け算

 公式 [1] に b = 1 を代入すると

(a + 1)2 = a2 + 2 a + 1  [4]

となります。112 から 1012 まで、この公式で計算できます。

   112 = 102 + 2・10 + 1 = 121
   212 = 202 + 2・20 + 1 = 441
   312 = 302 + 2・30 + 1 = 961
   412 = 402 + 2・40 + 1 = 1681

 ここで 512 は 10 の位の和が 10 かつ 1 の位が等しいので、前回に解説した手順で計算します:

 十和一等51×51

 どの計算にどの公式を用いるかを瞬間的に判断するには、やはり訓練を重ねる必要がありますので、今はひたすら練習あるのみです。 612 から 1012 までの計算は練習問題とします。

問題① 次の式を計算してください

(1) 612  (2) 712  (3) 812  (4) 912  (5) 1012

問題①の解答

(1) 612 = 602 + 2・60 + 1 = 3721
(2) 712 = 702 + 2・70 + 1 = 5041
(3) 812 = 802 + 2・80 + 1 = 6561
(4) 912 = 902 + 2・90 + 1 = 8281
(5) 1012 = 1002 + 2・100 + 1 = 10201
 

(a - 1)2 型の掛け算

 公式 [2] に b = 1 を代入すると

(a - 1)2 = a2 - 2 a + 1  [4]

となります。これは 192 や 292 などを計算するときに用いる公式です。

   192 = 202 - 2・20 + 1 = 361
   292 = 302 - 2・30 + 1 = 841
   392 = 402 - 2・40 + 1 = 1521

問題② 次の式を計算してください

(1) 492  (2) 592  (3) 692  (4) 792  (5) 892  (6) 992

問題②の解答

(1) 492 = 502 - 2・50 + 1 = 2401
(2) 592 = 602 - 2・60 + 1 = 3481
(3) 692 = 702 - 2・70 + 1 = 4761
(4) 792 = 802 - 2・80 + 1 = 6241
(5) 892 = 902 - 2・90 + 1 = 7921
(6) 992 = 1002 - 2・100 + 1 = 9801
 

いくつかの平方数は記憶しておきましょう

 余力がある人は 11 から 19 までの平方数を暗記しておくことをお勧めします。
112 = 121 や 122 = 144 を知っていれば、

   1112 = 12100 + 2・110 + 1 = 12321
   1212 = 14400 + 2・120 + 1 = 14641

というような桁数の多い平方数も素早く計算できます。
 

(a + b)(a - b) 型の掛け算

 次は以前に学んだ次の公式を使います:

(a + b)(a - b) = a2 - b2  [1]

 実用上は a = 10, 20, 30, ...... といった数で用いることになります。

   32 × 28 = (30 + 2)(30 -2) = 302 - 22 = 900 - 4 = 896

 少しずれている場合は

   32 × 29 = 32 × (28 + 1) = 896 + 32 = 928

というように計算します。

問題① 次の式を計算してください

(1) 29 × 11  (2) 27 × 13  (3) 25 × 15  (4) 46 × 34  (5) 51 × 49
(6) 64 × 56  (7) 77 × 63  (8) 85 × 75  (9) 94 × 86  (10) 108 × 92

問題①の解答

(1) 29 × 11 = (20 + 9)(20 - 9) = 400 - 81 = 319
(2) 27 × 13 = (20 + 7)(20 - 7) = 400 - 49 = 351
(3) 25 × 15 = (20 + 5)(20 - 5) = 400 - 25 = 375
(4) 46 × 34 = (40 + 6)(40 - 6) = 1600 - 36 = 1564
(5) 51 × 49 = (50 + 1)(50 - 1) = 2500 - 1 = 2499
(6) 64 × 56 = (60 + 4)(60 - 4) = 3600 - 16 = 3584
(7) 77 × 63 = (70 + 7)(70 - 7) = 4900 - 49 = 4851
(8) 85 × 75 = (80 + 5)(80 - 5) = 6400 - 25 = 6375
(9) 94 × 86 = (90 + 4)(90 - 4) = 8100 - 16 = 8084
(10) 108 × 92 = (100 + 8)(100 - 8) = 1000 - 64 = 9936
 

スライド式で計算します

 公式 [1] を少し書き換えます:

a2 = (a + b)(a - b) + b2  [2]

この式は恒等式といって(右辺を計算すれば必ず左辺になります)、あらゆる a, b について成り立つ式です。そこで、

   182 = (18 + 2)(18 - 2) + 22 = 20・16 + 4 = 324

という計算をすることができます。 b には好きな数を入れることができますが、片側の数字が切りの良い数に選ぶのが普通です。上の例では 18 + 2 = 20 となるように b = 2 を選んでいるわけです。もう少し例を載せてみましょう:

   232 = (23 + 3)(23 - 3) + 32 = 26・20 + 9 = 529

   272 = (27 + 3)(27 - 3) + 32 = 30・24 + 9 = 729

   482 = (48 + 2)(48 - 2) + 22 = 50・46 + 4 = 2304

 最後の式に現れる 50 × 48 は以前に使った 5 倍計算で

   50 × 46 = 100 × 46 ÷ 2 = 4600 ÷ 2 = 2300

と計算しますよ。こんなふうに、これまで学んだことが組合された計算もでてくるので、忘れてしまった人は前の記事を確認するようにしてください。

前回扱ったような 2 乗計算をスライド式で計算してみると、

   512 = (51 + 1)(51 - 1) + 12 = 52・50 + 1 = 2601

となりますが、前回の方法と比べて計算速度にそれほど差はありません:

   512 = (51 + 1)2 = 502 + 2・50 + 12 = 2601

 このあたりは好みに応じて計算手順を選択してください。

 スライド式計算法は特に 100 に近い数の平方計算で重宝します。
 必ず 100 倍の計算になるからです。

   962 = (96 + 4)(96 - 4) + 42 = 100・92 + 16 = 9216

   982 = (98 + 2)(98 - 2) + 22 = 100・96 + 4 = 9604

 さらに、1000 に近い数、10000 に近い数の 2 乗をいとも簡単に計算します:

   9982 = (998 + 2)(998 - 2) + 22 = 1000・996 + 4 = 996004

   99992 = (9999 + 1)(9999 - 1) + 22 = 10000・9998 + 1 = 99980001

問題② 次の式を計算してください

(1) 322  (2) 382  (3) 432  (4) 992  (5) 9972

問題②の解答

(1) 322 = 34・30 + 4 = 1024
(2) 382 = 40・36 + 4 = 1444
(3) 432 = 46・40 + 9 = 1849
(4) 992 = 100・98 + 1 = 9801
(5) 9972 = 1000・994 + 9 = 994009

スポンサーリンク
スポンサーリンク
末尾広告
末尾広告

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください