[2] 偶関数と奇関数の性質 The property of Even function and Odd function
[3] Excel で偶関数と奇関数
偶関数と奇関数 Even function and Odd function
$f(-x)=f(x)$ となる関数を 偶関数 とよびます。たとえば2次関数 $f(x)=x^2$ は
\[f(-x)=(-x)^2=x^2=f(x)\]
となるので偶関数です。
三角関数の $f(x)=\cos x$ も
\[f(-x)=\cos (-x)=\cos x=f(x)\]
となるので偶関数です。偶関数のグラフは $y$ 軸について対称形となっています。また、$f(-x)=-f(x)$ となる関数を 奇関数 とよびます。たとえば3次関数 $f(x)=x^3$ は
\[f(-x)=(-x)^3=-x^3=-f(x)\]
となるので奇関数です。
三角関数の $f(x)=\sin x$ も
\[f(-x)=\sin (-x)=-\sin x=-f(x)\]
となるので奇関数です。奇関数のグラフにおいて、$(x,f(x))$ と $(-x, f(-x))$ は原点 $O$ について点対称となっています。
偶関数と奇関数の性質
The property of Even function and Odd function
奇関数と偶関数の間には一般に次のような関係が成り立つことが知られています。
[偶関数] + [偶関数] = [偶関数]
[奇関数] × [奇関数] = [偶関数]
[偶関数] × [偶関数] = [偶関数]
[奇関数] × [偶関数] = [奇関数]
証明は簡単です。たとえば偶関数を $f_e(x)$ , 奇関数を $g_o(x)$ で表すと、その積 $h(x)= f_e(x)g_o(x)$について
\[h(-x)=f_e(-x)g_o(-x)=f_e(x)\{-g_o(x)\}=-f_e(x)g_o(x)=-h(x)\]
となって奇関数となります。他の公式も同じように証明できます。また偶関数 $f_e(x)$ と奇関数 $f_o(x)$ の積分について次のような関係が成り立ちます。
\int_{-a}^{a}f_o(x)dx&=0\end{align*}\]
グラフの形からほぼ自明の公式ですが、証明しておきます。
\[\begin{align*}\int_{-a}^{a}f_e(x)dx&=\int_{-a}^{0}f_e(x)dx+\int_{0}^{a}f_e(x)dx\\[6pt]
&=\int_{0}^{a}f_e(x)dx+\int_{0}^{a}f_e(x)dx=2\int_{0}^{a}f_e(x)dx\\[6pt]
\int_{-a}^{a}f_o(x)dx&=\int_{-a}^{0}f_o(x)dx+\int_{0}^{a}f_o(x)dx\\[6pt]
&=-\int_{0}^{a}f_o(x)dx+\int_{0}^{a}f_o(x)dx=0\end{align*}\]
Excel で偶関数と奇関数
$f(x)=(x+\sin x)^2$ という関数のグラフを描いてみます。
$\sin x$ の影響によって凸凹しながらも 2 次関数的に増加していきます。
グラフは左右対称になっています。つまり $f(-x)=f(x)$ を満たしています。
$g(x)=x+\sin x$ とおくと $g(-x)=-x-\sin x=-g(x)$ という関係を満たしているので、この関数は奇関数です。
が成り立つので、$f(x)=(x+\sin x)^2$ は偶関数となります。
次は $f(x)=(x+\cos x)^2$ という関数のグラフを描いてみます。
先程と違って左右対称なグラフとはなっていません。実際、
\[f(x)=x^2+\cos^2x+2x\cos x\]\[f(-x)=x^2+\cos^2x-2x\cos x\neq f(x),\:-f(x)\]となって y 軸に関して何の対称性もないことがわかります。
最後は $f(x)=(x-\cos x+\sin x)^2$ です。
$\cos x$ と $\sin x$ の両方が組み込まれていて振動が激しくなっています。ただ $x$ が十分に大きくなると $x$ の効果が強く効いてきて、最終的には $y = x^2$ へと収束していきます。[偶関数] + [奇関数] には何の対称性も保障されていませんので、このような関数をグラフに描くと左右非対称になってしまうのです。