p^q=q^p+7 を満たす素数の組

「NT28】条件を満たす素数の組を求めます

(1) 6 以上の整数 $n$ に対して不等式 $2^n \gt n^2+7$ が成り立つことを数学的帰納法で示してください。
(2) $p^q=q^p+7$ を満たす素数の組 $(p,\:q)$ をすべて求めてください。(東北大)

【ヒント】(1) のような不等式を見ると、私は指数関数と二次関数の「追いかけっこ」をイメージします。指数関数の増加率は二次関数に比べて圧倒的に大きいのですが、+ 7 という部分が二次関数に少しだけ先行を許しているわけです。$y=2^x$ と $y=x^2+7$ のグラフを見てみましょう。

 Excel指数関数と2次関数

 $2^n$ と $n^2+7$ はこのグラフの上に乗っています。上のグラフでわかるように指数関数はどこかで 2 次関数を追い越します。実際に計算して確認してみましょう。

$n$ $2^n$ $n^2+7$
1 2 8
2 4 11
3 8 16
4 16 23
5 32 32
6 64 43

 $n=5$ でちょうど $2^n$ と $n^2+7$ がぴたりと一致していますね。だから問題文の不等式で「 6 以上の整数」という条件がついているのです。またこれが (2) の大きなヒントになっています。整数問題では、こんなふうにちょっとだけ手を動かして計算してみることで、出題者の意図を読み取ることができます。
 

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【解答】(1) まず $n=6$ で $2^n \gt n^2+7$ は成立しています。
 数学的帰納法は $n-1$ から始めるとスマートです。$n-1\:(n \geq 7)$ で
 
\[2^{n-1} \gt (n-1)^2+7\]
が成立すると仮定します。つまり
 
\[2^{n-1} \gt n^2-2n+8\]
です。もう少し変形すると
 
\[2^n \gt 2(n^2-2n+8)=n^2+7+(n-2)^2+5\]
となるので 6 以上の整数 $n$ について
 
\[2^n \gt n^2+7\]
が成り立つことが示されました。

(2) (1) は $p=2$ についての不等式なのに、(2) では
 
\[p^q=q^p+7 \tag{A}\]
という 2 つの素数についての方程式について問われています。一見すると (1) がほとんど役に立たないように思えますが、ここで勘の鋭い人は「いや。待てよ」と思うわけです。「もしかすると $p=2$ 以外にこの方程式を満たす素数は存在しないんじゃないのかな?」と疑うわけです。とりあえずは $p=2$ という場合について考えてみます。 $p=2$ のときは
 
\[2^q=q^2+7 \tag{B}\]
ですから、(1) の結果より、この方程式が解をもつのは $q$ が 5 以下の整数の場合に限ります( 6 は素数ではありません)。つまり候補としては $q=2,\:3,\:5$ となって、その中でこの方程式を満たすのは $q=5$ のときだけです。つまり $(p,\:q)=(2,\:5)$ が上の方程式を満たします。

 さて、$p \neq 2$ のときはどうなるでしょう。
 ここで + 7 という部分に注目します。奇数が足されていますね。
 2 以外の素数は奇数ですから、もし $q \neq 2$ であれば式 (A) は

  奇数 = 奇数 + 奇数 = 偶数

となって矛盾してしまいます。よって可能性があるのは $q=2$ の場合だけです。すると式 (A) は
 
\[p^2=2^p+7 \tag{C}\]
となりますが、(1) の結果より 7 以上の素数 $p$ については
 
\[2^p \gt p^2+7\]
が成り立つので、
 
\[p^2 \gt 2^p+14\]
となって (C) を満たす $p$ は存在しません。よって $p=3,\:5$ が候補となりますが、それぞれ代入しても (C) を満たさないことがわかります。以上より $p^q=q^p+7$ を満たす素数の組は
 
\[(p,\:q)=(2,\:5)\]
だけです。

【NT29】どの2数の和も残りの数で割ると1だけ余ります。
【関連記事】1 が素数ではない理由について解説します。

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