平方剰余の相互法則

平方剰余の相互法則 Reciprocity Law

 今回の記事では 平方剰余の相互法則 (reciprocity law) の証明を行ないます。

 [定理 F15 平方剰余の相互法則]
  $p, q$ を相異なる $2$ つの奇素数とするとき、
\[\left(\frac{q}{p}\right)\left(\frac{p}{q}\right) =(-1)^{\frac{p-1}{2}\frac{q-1}{2}}\]

 相互法則はオイラーによって予想され、ガウスによって証明されました。
 この定理は $\mathrm{mod}\:p$ と $\mathrm{mod}\:q$ の世界を結びつけるもので、初等整数論の到達点であり、近代数論の土台となる重要定理といわれています。

 証明には ガウスの補題 を用います:

 $p$ が奇素数、$(a,\:p)=1$ であるとき、
\[1a,\:2a,\:3a,\:\cdots,\:\frac{p-1}{2}a\]を $p$ で割って余りを並べて、$p/2$ より大きな数が $t$ 個あるならば、
\[\left(\frac{a}{p}\right)=(-1)^t\]

 ガウスの補題において $a=q$ とおくと、
 
\[qx\quad \left(x=1,\:2,\:\cdots,\:\frac{p-1}{2}\right)\]
を $p$ で割ったときの余りを並べたときに、$p/2$ より大きいものが $n$ 個あるならば
 
\[\left(\frac{q}{p}\right)=(-1)^n\]
が成り立ちます。同様に、
 
\[py\quad \left(y=1,\:2,\:\cdots,\:\frac{q-1}{2}\right)\]
を $q$ で割ったときの余りを並べたときに、$q/2$ より大きいものが $m$ 個あるとすれば
 
\[\left(\frac{p}{q}\right)=(-1)^m\]
が成り立ちます。すなわち
 
\[\left(\frac{q}{p}\right)\left(\frac{p}{q}\right)=(-1)^n (-1)^m=(-1)^{m+n}\]
なので、
 
\[m+n\equiv \left(\frac{p-1}{2}\right)\left(\frac{q-1}{2}\right)\quad (\mathrm{mod}\:2)\tag{R1}\]
が成り立つ(両辺の偶奇が一致する)ことを示せれば、相互法則
 
\[\left(\frac{q}{p}\right)\left(\frac{p}{q}\right) =(-1)^{\frac{p-1}{2}\frac{q-1}{2}}\tag{R2}\]
を証明できたことになります。

[R1 の証明] 格子点を使って証明します。

 平方剰余の相互法則(格子点による証明)

 $\displaystyle\left(\frac{p+1}{2},\:\frac{q+1}{2}\right)$ を点 $\mathrm{C}$ として、$\mathrm{ABCD}$ の内側に格子点を打ち、原点 $\mathrm{O}$ と $\mathrm{L}(p/2,\:q/2)$ を結ぶ直線を引きます。直線 $\mathrm{OL}$ の方程式は
 
\[y=\frac{qx}{p}\]
です。また、直線 $\mathrm{OL}$ を $y$ 軸方向と $x$ 軸方向に $1/2$ だけ平行移動させた直線をそれぞれ $\mathrm{GG'},\:\mathrm{HH'}$ とします。$qx$ を $p$ で割ったときの余りを $r$ とすると
 
\[qx=py+r\]
と表せます。この式を変形すると
 
\[\frac{qx}{p}=p+\frac{r}{p}\]
となります。$r$ が $p/2$ より大きいということは、
 
\[\frac{r}{p}\gt \frac{1}{2}\]
 すなわち $qx/p$ の小数部分が $1/2$ よりも大きいことを意味します。

 これを図で考えると、$\mathrm{P}$ は直線 $\mathrm{MP}$ 上で、$\mathrm{P}$ を挟む $2$ つの格子点の間の半分より上にあることになります。言い換えると、$\mathrm{P}$ から縦に最も近い格子点は $\mathrm{OL}$ より上側のほうだということです。つまり $n$ は平行四辺形 $\mathrm{OGG'L}$ の内側にある格子点ということになります。

 同様に $m$ は平行四辺形 $\mathrm{OHH'L}$ の内側にある格子点です。角にある小さな三角形も加えても格子点の数は変わらないので、$m+n$ は六角形 $OGG'CH'H$ の内部にある格子点の数に等しいことになります。

 ここで $\mathrm{OC}$ の中点 $\displaystyle\left(\frac{p+1}{4},\:\frac{q+1}{4}\right)$ は六角形の対称の中心で、格子点はこの点に関して $2$ つずつ対称に存在していることになります。つまり、$m+n$ が偶数か奇数であるかは、$\displaystyle\left(\frac{p+1}{4},\:\frac{q+1}{4}\right)$ 自身が含まれるかどうかで決まります(含まれるなら奇数、含まれないなら偶数です)。含まれるときは、$s,\:t$ を整数として
 
\[\frac{p+1}{4}=s,\quad\frac{q+1}{4}=t\]
 これを少し変形して
 
\[\frac{p-1}{2}=2s-1,\quad\frac{q-1}{2}=2t-1\]
となります。すなわち $m+n$ が奇数であるということは $\displaystyle\left(\frac{p-1}{2},\:\frac{q-1}{2}\right)$ がともに奇数であることと同じです。したがって
 
\[m+n\equiv \left(\frac{p-1}{2}\right)\left(\frac{q-1}{2}\right)\quad (\mathrm{mod}\:2)\tag{R1}\]
が成り立つことがわかり、これによって平方剰余の相互法則
 
\[\left(\frac{q}{p}\right)\left(\frac{p}{q}\right) =(-1)^{\frac{p-1}{2}\frac{q-1}{2}}\tag{R2}\]
が示されました。
 

mod 4 による判定

 奇数を $4$ で割ったときの余りは $1$ か $3$ のどちらかです。すなわち

$x\equiv 1\quad (\mathrm{mod}\:4)$ または $x\equiv 3\quad (\mathrm{mod}\:4)$

となります。$x\equiv 1\quad (\mathrm{mod}\:4)$ のときは
 
\[\frac{x-1}{2}=\frac{4k+1-1}{2}=2k\]
であり、$x\equiv 3\quad (\mathrm{mod}\:4)$ のときは
 
\[\frac{x-1}{2}=\frac{4k+3-1}{2}=2k+1\]
となります。したがって、$p\equiv 1$ または $q\equiv 1\:(\mathrm{mod}\:4)$ のときは $\displaystyle\frac{p-1}{2}\frac{q-1}{2}$ は偶数、$p\equiv 3$ かつ $q\equiv 3\:(\mathrm{mod}\:4)$ のときは $\displaystyle\frac{p-1}{2}\frac{q-1}{2}$ は奇数となります。これを使って相互法則を書き直しておきます。

 [定理 F16 平方剰余の相互法則]
  $p, q$ を相異なる $2$ つの奇素数とするとき、
\[\left(\frac{q}{p}\right)\left(\frac{p}{q}\right) =(-1)^{\frac{p-1}{2}\frac{q-1}{2}}=\begin{cases}
1 & (p\equiv 1\: \lor \: q\equiv 1\quad (\mathrm{mod}\:4))\\[6pt]
-1 & (p\equiv 3\: \land\: q\equiv 3\quad (\mathrm{mod}\:4))\end{cases}\]

 次回はこれまで学んだことを使って平方剰余/非剰余の判定をしてみます。
 ≫ 整数論入門講座

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