不連続点を取り除いた関数

【CL24】不連続点を取り除いた関数

 関数 $f(x)$ を次のように定義します。
\[f(x)=\left\{\begin{array}{l}\cfrac{1-\cos x}{x} & (x \neq 0)\\0 & (x=0)\end{array}\right.\] 区間 $-\pi/2 \leq x \leq \pi/2$ で $f(x)$ が単調増加であることを示してください。(山梨大一部改)

【ヒント】本来なら $x=0$ で定義されないはずの関数を、$f(0)=0$ と定義し直して 不連続点を取り除いた関数 です。商の微分公式で $x=0$ における微分係数を求めることはできないので … ヒントはここまで!

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【解答】$f(x)$ が単調増加であることを示すには、区間内で $f'(x) \gt 0$ を示せばよいことになります。そこでまず $x \neq 0$ について関数 $f(x)$ を商の微分公式を使って微分してみると
 
\[\begin{align*}f'(x)&=\frac{(1-\cos x)’x-(1-\cos x)x’}{x^2}\\[6pt]&=\frac{x\sin x+\cos x-1}{x^2}\end{align*}\]
となります。もちろんこの式に $x=0$ を入れることはできませんので、$x=0$ の所だけは微分係数の定義にしたがって計算します。
 
\[f'(0)=\lim_{h\rightarrow 0}\frac{f(0+h)-f(0)}{h}=\lim_{h\rightarrow 0}\frac{1-\cos h}{h^2}=\frac{1}{2}\]
 これで全区間における微分係数を得ることができました。$f'(x)$ をそのまま扱っても問題は解けますが、ちょっと計算が面倒なので、$x \neq 0$ のときの $f'(x)$ の分子を
 
\[g(x)=x\sin x+\cos x-1\]
とおいて、$-\pi/2 \leq x \leq \pi/2$ における符号を調べることにします。$g(x)$ を微分すると
 
\[g'(x)=x\cos x\]
なので、区間内で $g'(x)=0$ となる点は $x=0$ だけです。(無限に)小さな正数 $\varepsilon$ で $x=0$ 前後の値を調べると
 
\[g'(\varepsilon)= \varepsilon \cos \varepsilon \gt 0,\quad g'(-\varepsilon)= -\varepsilon \cos \varepsilon \lt 0\]
となるので $x=0$ で $g'(x)$ は極小値となっています。つまり $x=0$ を除くと $g(x)$ は常に正の値をとるので、$x \neq 0$ で $f'(x)$ もまた常に正です。また、$f'(0)=1/2$ ですから、$f'(x)$ はこの区間で正の値をとることになり、すなわち $f(x)$ は単調増加関数であることが示されました。参考のために下に $f(x)$ のグラフを載せておきます。青い網掛け部分がこの問題で扱っている区間です。

余弦関数をxで割った関数f(x)

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