A(x)^2 + B(x)^2 = 0 の形を目指します

【AG11】平方根の和と和の平方根の大小を比較します

 次の不等式を証明してください。
 \((1)\:a \gt 0,\:b \gt 0\) のとき \(\sqrt{a}+\sqrt{b} \gt \sqrt{a+b}\)
 \((2)\:a \gt b \gt 0\) のとき \(\sqrt{a-b} \gt \sqrt{a}-\sqrt{b}\)

【解答準備】いくつか具体的な数値で確認しておきましょう。不等式 (1) は
 
\[\begin{align*}(a,\:b)=&(1,\:1) \qquad 2 \gt \sqrt{2}\\[6pt](a,\:b)=&(1,\:2) \qquad 1+\sqrt{2} \gt \sqrt{3}\\[6pt](a,\:b)=&(2,\:2) \qquad 2\sqrt{2} \gt 2\end{align*}\]
という関係が成り立つということです。

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【解答】(1) \(A=\sqrt{a}+\sqrt{b}, \: B=\sqrt{a+b}\) とおくと、
  \(A \gt 0, \: B \gt 0\) ですから、 \(A^2 \gt B^2\) を示せばよいことになります。
 
\[A^2-B^2=a+2\sqrt{ab}+b-(a+b)=2\sqrt{ab}\gt0\]
 したがって、 \(\sqrt{a}+\sqrt{b} \gt \sqrt{a+b}\) となります。
 
(2) \(A=\sqrt{a-b} \gt 0, \: B=\sqrt{a}-\sqrt{b} \gt 0\) とおくと、
 
\[\begin{align*}A^2-B^2=&a-b-(a-2\sqrt{ab}+b)\\[6pt]=&2\sqrt{ab}-2b\\[6pt]=&2\sqrt{b}(\sqrt{a}-\sqrt{b}) \gt 0\end{align*}\]
 すなわち、\(\sqrt{a-b} \gt \sqrt{a}-\sqrt{b}\) が成り立つことが証明されました。

【AG12】四数の間で成り立つ相加平均と相乗平均

 $0$ 以上の整数 $a,\ b,\ c,\ d$ について
 
\[\frac{a+b+c+d}{4} \geq \sqrt[4\:]{abcd}\]
が成り立つことを証明してください。
 
【ヒント】2 つの数 a, b について成り立つ相加平均と相乗平均の関係を使って証明します。

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【解答】相加平均と相乗平均の関係式より、
 
\[\frac{a+b}{2}\geq\sqrt{ab},\quad \frac{c+d}{2}\geq\sqrt{cd}\]
が成り立ちます。等号は \(a=b,\quad c=d\) のときに成立します。辺々を加えると
 
\[\frac{a+b}{2}+\frac{c+d}{2}\geq\sqrt{ab}+\sqrt{cd}\]
となりますが、右辺にまた相加・相乗平均の式を適用すると
 
\[\sqrt{ab}+\sqrt{cd}\geq 2\sqrt{\sqrt{ab}\sqrt{cd}}=2\sqrt[4]{abcd}\]
となります(等号は \(ab=cd\) のときに成立)。したがって
 
\[\frac{a+b}{2}+\frac{c+d}{2}\geq 2\sqrt[4]{abcd}\]
 両辺を 2 で割ると
 
\[\frac{a+b+c+d}{4} \geq \sqrt[4]{abcd}\]
が成り立つことが示されました。等号は \(a=b\) かつ \(c=d\) かつ \(ab=cd\) のとき、すなわち \(a=b=c=d\) のときに成立します。

【AG13】2 つの未知数を含む二次方程式

 次の二次方程式の解 $x,\ y$ を求めてください。
 
\[x^2+2y^2+2xy-4x-6y+5=0\]
 
【ヒント】方程式は1つなのに未知数が2つもあります。しかし解は $x,\ y$ ともに1つずつに決まるのです。

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【解答】方程式を \(A(x)^2+B(y)^2=0\) の形にすることができれば、\(A(x)=0,\:B(y)=0\) という 2 つの方程式に分離することができます。\(A(x)^2+B(y)^2=0\) を目指して変形していきましょう。まず $x$ について整理すると
 
\[x^2+(2y-4)x+2y^2-6y+5=0\]
となります。次は平方完成していきます。
 
\[\begin{align*}&(x+y-2)^2-(y-2)^2+2y^2-6y+5=0\\[6pt]&(x+y-2)^2+y^2-2y+1=0\\[6pt]&(x+y-2)^2+(y-1)^2=0\end{align*}\]
したがって
 
\[x+y-2=0,\quad y-1=0\]
という連立方程式が得られるので、これを解いて \(x=1,\:y=1\) となります。

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