存在定理で不等式 |sinα – sinβ|≦|α – β| を証明します

【CL20】不等式 |sinα – sinβ|≦|α – β| の証明

 平均値の定理を使って不等式
\[|\sin \alpha-\sin \beta| \leq |\alpha – \beta|\]が成り立つことを示してください。(東京農工大一部改)

【ヒント】とりあえずこういう不等式を見たら具体的な数値で確認してみましょう(電卓を使ってください)。$\alpha=\pi/4$ , $\beta=\pi/6$ を入れてみます。
 
\[\begin{align*}&|\sin \alpha-\sin \beta|=\frac{\sqrt{2}-1}{2}=0.207\\[6pt]&|\alpha – \beta|=\frac{\pi}{12}=0.262\end{align*}\]
 ちゃんと成り立ってますね。まあとにかく、こういう不等式が一般的に成り立つことを示すわけですが、これを代数的に示すのではなく、平均値の定理 を使うのが本問の面白いところです。別名 存在定理 ともよばれ、解析学の発展に大きく寄与してきた強力な定理の威力を実感してください。

【解答】正弦関数 $\sin x$ は全区間で連続かつ微分可能なので平均値の定理を適用できます。$\alpha=\beta$ のときは等号が成立します。$\alpha \neq \beta$ のとき、
 
\[\frac{f(\alpha)-f(\beta)}{\alpha=\beta}=f'(c)\]
となる実数 $c$ が $\alpha$ と $\beta$ の間に存在しているはずです。ただし $\alpha,\:\beta$ の大小関係は不明ですから、
 
\[\alpha \lt c \lt \beta\]
または
 
[\beta \lt c \lt \alpha\]
のいずれかの可能性があります。$f(x)=\sin x$ を微分すると $f'(x)=\cos x$ なので、その絶対値は
 
\[|f'(c)|=|\cos c| \leq 1\]
となっています。よって
 
\[\left| \frac{f(\alpha)-f(\beta)}{\alpha=\beta} \right| =|\cos c| \leq 1\]
 すなわち
 
\[|\sin \alpha-\sin \beta| \leq |\alpha – \beta|\]
が成立します。

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