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自然数と実数を関連づけて極限値を求めます

【CL09】二項定理を使って極限値を求めます

$1$ より大きな実数 $a$ について $a=1+p$ とおきます。二項定理
\[(a+b)^n={}_{n}C_0\:a^n+{}_{n}C_1\:a^{n-1}b+ {}_{n}C_2\:a^{n-2}b^2+ \: \cdots \: {}_{n} C_n\:b^n\]を用いて $\displaystyle \lim_{x\rightarrow \infty}\frac{x}{a^x}=0$ を証明してください。ただし $a,\:b$ は実数、 $n$ は自然数です。 
 
【ヒント】自然数と実数をどのように関連付けるか がポイントになります。

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【解答】$a^n=(1+p)^n$ を 2 項展開します。
 \[\begin{align*}a^n&=(1+p)^{n}=\: {}_{n}C_{0}+{}_{n}C_{1}p+\: {}_{n}C_{2}p^2+\:\cdots\\[6pt]&=1+np+\frac{n(n-1)}{2}p^2+\:\cdots\end{align*}\]
全ての項は正ですから、
 \[a^n \geq 1+np+\frac{n(n-1)}{2}p^2\]
という不等号が成り立ちます。この次が少し難しいところで、$x$ に関する不等号を作るために、ある $n$ に対して $n \leq x \lt n+1$ という $x$ をとります。すると $a^x \geq a^n$ が成り立つので
 \[a^x\geq a^n\geq 1+np+\frac{n(n-1)}{2}p^2\]
となります。逆数をとると不等号の向きが変わって
 \[\frac{1}{a^x}\leq\frac{1}{1+np+\cfrac{n(n-1)}{2}p^2}\]
となります。$x \lt n+1$ を組合わせると
 \[0\lt\frac{x}{a^x}\leq\frac{n+1}{1+np+\cfrac{n(n-1)}{2}p^2}\]
という不等式を得ます。これで「はさみうち」ができます。$x\rightarrow \infty$ の極限をとると右辺は
 \[\lim_{x\rightarrow \infty}\frac{n+1}{1+np+\cfrac{n(n-1)}{2}p^2}=\lim_{x\rightarrow \infty}\frac{1/n+1/n^2}{1/n^2+p/n+\cfrac{1-1/n}{2}p^2}=0\]
となるので(分子分母を $n^2$ で割っています)、「はさみうちの原理」より
 \[\lim_{x\rightarrow \infty}\frac{x}{a^x}=0\]
が示されました。

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