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指数関数が一次関数よりも速く増加することを示します

【CL08】指数関数は一次関数よりも速く増加します

(1) $x \geq 0$ のとき $f(x)=e^x-1-x \geq 0$ を示してください。
(2) $x \geq 0$ のとき $\displaystyle g(x)=e^x-1-x-\frac{x^2}{2} \geq 0$ を示してください。
(3) $\displaystyle \lim_{x\rightarrow +\infty}\frac{x}{e^x}=0$ を証明してください。

【ヒント】指数関数が一次関数よりも速く増加することを示す問題です。(1) と (2) は簡単です。(3) は (2) の結果を素直に用いてください。ちなみになぜ唐突に $g(x)=e^x-1-x-x^2/2$ というような関数を証明に使うのかといえば、$e^x$ のマクローリン級数展開が
 \[e^x=1+x+\frac{x^2}{2!}+\frac{x^3}{3!}+\:\cdots\]
となるからです。つまり級数展開すれば、ほぼ自明の定理なのですが、それを高校数学の範囲で出題すると上のような形になると思います。あまりにも有名な定理なので、たぶん大昔にどこかの大学の入試で出題されていると思います。$e^x$ のところを $a^x$ とした場合の証明は次回の問題で扱います。

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【解答】(1) $f(x)$ を微分すると $f'(x)=e^x-1$ なので、 $x\geq 0$ では
 \[f'(x)\geq f'(0)=e^0-1=0\]
となります。つまり $x \geq 0$ で $f(x)$ は単調増加ですから、
 \[f(x)\geq f(0)=0\quad (x\geq 0)\]
が成り立ちます。
 
(2) $g(x)$ を微分すると $g'(x)=e^x-1-x=f(x)$ なので、(1) の結果より $x \geq 0$ において $g'(x) \geq 0$ となります。つまり $g(x)$ は $x \geq 0$ で単調増加するので
 \[g(x) \geq g(0)=0\]
が成立します。

(3) (2) より $x\geq 0$ において
 \[e^x\geq 1+x+\frac{x^2}{2}\]
が成り立ちます。逆数をとると
 \[\frac{1}{e^x}\leq\frac{1}{1+x+x^2/2}\]
となります。両辺に $x$ をかけて
 \[\frac{x}{e^x}\leq\frac{x}{1+x+x^2/2}\]
つまり
  \[0\leq\frac{x}{e^x}\leq\frac{1/x}{1/x^2+1/x+1/2}\]
という不等式が成り立ちます。ここで $x\rightarrow+\infty$ とすると
 \[\lim_{x\rightarrow +\infty}\frac{1/x}{1/x^2+1/x+1/2}=0\]
となるので、はさみうちの原理より
 \[\lim_{x\rightarrow +\infty}\frac{x}{e^x}=0\]
が成り立ちます。

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