【NT30】有理数の解は整数のみであることを示します
$p,\:q$ を整数として $f(x)=x^2+px+q$ とおきます。
(1) 有理数 $a$ が $f(x)=0$ の 1 つの解ならば、$a$ は整数であることを示してください。
(2) $f(1)$ と $f(2)$ がいずれも 2 で割り切れないとき、方程式 $f(x)=0$ は整数の解をもたないことを証明してください。(愛媛大)
【ヒント】(1) の題意が少し分かりにくいかもしれませんが、要するに係数 $p,\:q$ が整数であるならば、たとえば有理数 $a=1/2$ のような解は存在しないということです。試しに $a=1/2$ を方程式に代入してみると
\[p+2q=-\frac{1}{2}\]
のようになって $p$ が整数であるという仮定に反してしまいます。しかし解の 1 つがたとえば $a=1$ であったとすれば、
\[p+q=-1\]
となって $p,\:q$ が整数という仮定に反しません。命題は もし 1 つの解が有理数 $a$ であるならば、それは整数以外にありえない ことを主張しています。それを一般的に証明することが求められています。
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【解答】(1) 互いに素である整数 $m,\:n$ によって表された有理数 $a=m/n$ が $f(x)=0$ の解だとすると
\[\left( \frac{m}{n} \right)^2+p\left( \frac{m}{n} \right)+q=0\]
この式を少し変形すると
\[m^2=-n(pm+qn)\]
となります。つまり $n$ は $m^2$ の約数です。しかし $m$ と $n$ は互いに素なので、 $m^2$ と $n$ もまた互いに素の関係にあります。よって $n=1$ なので $a=m$ 、つまり $a$ は整数であることが証明されました。
(2) $f(x)=x^2+px+q$ に $x=1$ と $x=1$ を代入すると
\[f(1)=1+p+q,\quad f(2)=4+2p+q\]
$f(1)$ と $f(2)$ がともに奇数なので、
となっているはずです(奇数 + 偶数 = 奇数)。さらに ② より $q$ が奇数であることがわかり、すると ① より $p$ も奇数です。そこで方程式 $f(x)=0$ が整数解 $x=a$ を解にもつと仮定します。
\[q=-a(a+p)\]
ここで $a$ が奇数だとすると $a+p$ が偶数であり、
\[q = 奇数 \times 偶数 = 偶数\]
となり、これは $q$ が奇数であることに反します。また $a$ が偶数であるならば $a+p$ は奇数ですが、
\[q = 偶数 \times 奇数 = 偶数\]
となってやはり $q$ が奇数となってしまいます。よって $f(1)$ と $f(2)$ がいずれも 2 で割り切れないときには、方程式 $f(x)=0$ は整数解をもたないことがわかりました。
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