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確率の定義(事象と標本空間)

サイコロを繰り返し何度も振れば、1 から 6 の目が均等な割合で出ることは経験的に知られています。市販のサイコロは商品として出荷される前に検品されて、大半の不良品は弾かれているでしょうから、割合が均等であるという信頼があるわけです。ただし、それはあくまで推測ですから、本当に均等であると断言するには、自分で何度も繰り返し振って実験しなくてはなりません。6000 回振って、どの目もほぼ 1000 回ずつ出るなら、ほぼ偏りのない結果であるといえます。数学で「サイコロを振る」といえば、このような偏りのないサイコロを振ることを指しています(僅かな偏りを調べるような複雑な状況を扱う場合は必ずそのことが明記されます)。

試行と事象

一般に何回も繰り返すことができて、その結果が偶然に支配されるような実験を試行(trial)といいます。また試行の結果として生じることがらを事象(event)とよびます。「サイコロを振る」という行為が試行であり、「3 以上の目が出た」とか「奇数の目が出た」という結果が事象です。

事象は観測の目的に応じて様々に定義することができますが、それ以上に分けられないような事象を 根元事象 といいます。サイコロを 1 回振るという試行では、「1 の目が出る」、「2 の目が出る」… という1つ1つが根元事象です。また 2 つ以上の根元事象を含むものを結合事象とよびます。たとえば「偶数の目が出る」は
246という 3 つの根元事象からなる結合事象です。

標本空間

起こり得る全ての結果、つまり根元事象を全て含む事象を標本空間(sample space)とよびます。サイコロの例では
123456というまとまりが標本空間となります。また含まれる根元事象の総数を「標本空間の大きさ」といいます。サイコロの例では標本空間の大きさは 6 です。

確率の定義

以上の準備のもとで、確率(probability)は次のように定義されます。

ある試行において、標本空間 S の大きさが n(S) であり、どの根元事象も同程度に生じるとします。ある事象 E をとり、E の起こる場合の数が n(E) であるとき、E の確率 P(E)
P(E)=n(E)n(S)と定義する。

また、極限を用いた確率の定義の仕方もあります。

N 回の試行によって、ある事象 Er 回生じたとします。n を大きくしていくとき、r/n が一定の値に p に近づくのであれば、事象 E の確率を
P(E)=p=limnrNによって定義する。

このように定義された確率を統計的確率とよびます。実際には無限回の試行は不可能なので、現実問題を扱う場合には N を十分に大きくとって(つまり試行を繰り返して)たくさんのデータをとる必要があります。

確率計算の具体例

2 つのサイコロを同時に投げて、目の和が 6 となる確率を計算してみます。考えやすいように、サイコロの一方を赤、他方を青に塗っておきます。赤いサイコロの出る目 6 通りに対して、青いサイコロの出る目も 6 通りあるので、サイコロの目の出方(標本空間の大きさ)は全部で n(S)=6×6=36 となります。そのうち目の和が 6 となる事象 E
 (,)=(1,5),(2,3),(3,2),(3,3),(4,2),(5,1)
の 6 通りなので、求める確率 P(E)
 P(E)=n(E)n(S)=636=16
と計算できます。

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