『メジャー&メジャー』 の3回目です。前回の記事で全速力で走っている人の運動エネルギーは数千ジュールであることがわかりました。とりあえず「走っている人間のエネルギーはおよそ 5,000 ジュール」を目安に今回の記事を読んでください。
時速100kmで走る車の運動エネルギー
今回は走行中の自動車がもつ運動エネルギーを計算してみます。質量 $m\,[\mathrm{kg}]$ , 速度 $v\,[\mathrm{m/s}]$ の物体がもつ運動エネルギーは
\[K=\frac{1}{2}mv^2\]
で表されました。そこでまず必要なデータは車の質量です。一般的に軽自動車で 1 トン (1000 kg) 弱、普通車は 1 ~ 1.5 トンです。計算しやすいように 1 トンとしておきましょう。1 トンの自動車が高速道路を時速 100 km で走っているときの運動エネルギーを計算することにします。ただし、運動エネルギーの式に入れる速度はメートル毎秒でなくてはならないので、時速 100 km を m/s の単位で表さなくてはなりません。1 km はもちろん 1000 m ですね。1 時間は 60 分、1 分は 60 秒なので、
\[1\,時間=60\times 60=3600\,秒\]
となります。つまり時速 100 km は
\[\frac{10^5\,[\mathrm{m}]}{3600\,[\mathrm{s}]}=\frac{10^3}{36}\,[\mathrm{m/s}]\]
これを運動エネルギーの式に入れると
\[K=\frac{1000}{2}\left(\frac{10^3}{36}\right)^2\]
これを Excel あるいは電卓で計算してみると
\[3.858\times 10^5 \mathrm{J}\]
という値が得られます。およそ 40 万ジュールです。これは冒頭で述べた走っている人間のもつエネルギー 5,000 ジュールのおよそ 80 倍に相当するエネルギーです。80 人の短距離走選手が一斉に走っている姿を想像してみると、どれだけ大きなエネルギーなのか実感できますね。
それでは同じ速度で大型トラックが走っているときのエネルギーはどのくらいになるでしょう? 大型トラックの車両総重量は 8 トン以上 25 トン以下と定められています。ここでは 20 トンとしておきましょう。運動エネルギーは質量に比例するので、先ほどの自動車の結果をそのまま使えます。質量が 20 倍になったのだからエネルギーもまた 20 倍になります。つまり 40 万ジュールを 20 倍して 800 万ジュールとなります。これは 1600 人が一斉に走っているエネルギーに匹敵します。ものすごいエネルギーですね。
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ミス発見。
>1 時間は 60 分、60 分は 60 秒なので
60秒は1分ですよ~。
ほんとだ。間違えてました (^_^)
すぐに訂正しておきました。ご指摘ありがとうございます。