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微分方程式(階数分類、一般解、特殊解、初期値問題)

微分方程式

連続変数 x の関数 y(x) について、n 次の導関数を y(n) としたとき、
 F(x,y,y,y,,y(n))=0
という形の等式を 微分方程式 とよびます。微分方程式に含まれる最高階数の導関数に着目し、その階数が n , 次数が p であるときは、np 次の微分方程式であるといいます。たとえば
 y4+y6=0
24 次の微分方程式です。また y,y,y,,y(n) についての 1 次式
 a0(x)y(n)+a1(x)y(n1)++an(x)y=0
n 階線型微分方程式といいます。独立変数が 1 個の場合を常微分方程式、複数個ある場合を偏微分方程式とよびます。最高階の導関数について解けた形になっている微分方程式を正規型、解けていない形のものを非正規型といいます。たとえば
 y=2xy+1
は正規型微分方程式であり、
 y2+xy+4y=0
は非正規型微分方程式です。

微分方程式を満たす関数 y のことを微分方程式の解 (solution) とよびます。(2次方程式などの)代数方程式は数を求めますが、微分方程式では関数の形を求めるのです。求めた y が適切な任意定数によって微分方程式の全ての解を表しているのであれば、その関数を微分方程式の一般解 (general solution) とよびます。たとえば
 (A)y=y
の一般解は任意定数 C を用いて
 (A1)y=Cex
で与えられます。一般に n 階微分方程式の一般解は n 個の任意定数を含むことが知られています。また、任意定数を特定の値に定めた解を特殊解 (particular solution)、または特解といいます。たとえば一般解 (A1) で定数 C を1つに定めた y=2exy=3ex などは (A) の特殊解です。また、一般解 (A1) において x=0 のとき y=1 と決めると
 1=Ce0=C
となって、C の値が自動的に 1 に定まります。このように、x=a における y(n)(a) (初期条件:initial condition) によって特殊解を求める問題を初期値問題 (initial value problem)、その特殊解を初期値解とよびます。これは後述するように、C をパラメータとする解曲線群の中から、ある点を通る1つの曲線を選んでいることに相当します。一般に n 解微分方程式の特殊解を求めるためには、x=a における
 y(a),y(a),y(a),,y(n1)
という n 個の値を定める必要があります。初期値解がただ1つに決まるとき、これを初期値問題における解の一意性 (uniqueness) といいます。解の一意性は必ずしも保証されているわけではありませんが、多くの問題で解の一意性がみたされています。

解曲線

微分方程式の解をグラフに表したものを解曲線といいます。たとえば (A – 1) において C をいろいろ変えて解曲線をひいてみると次のようになります。
 
Excelによるnパラメータ族の描画

このように、任意定数 C に応じて複数の解曲線がひかれることを「C をパラメータとして解曲線が族 (family) をつくる」というように表現します。2 階以上の微分方程式の解には複数の任意定数が含まれます。パラメータが n 個ある族を n パラメータ族とよびます。たとえば
 y=x
という 2 階微分方程式の一般解は A,B を任意定数として
 y=Asinx+Bcosx
と表されるので 2 パラメータ族です。

微分方程式の解の研究

18 世紀から数学者たちが試行錯誤を重ねて、微分方程式をタイプごとに解く方法 (method of solution) が整理されてきました。特に四則演算や微分積分をはじめとする通常の数学的演算によって解を具体的に求める方法を初等解法 (elementary method of solution) とよびます。全体を見渡せば、そのような初等解法によって解ける微分方程式は限られています。しかし解けない方程式に対しては「はたして与えられた初期値に解は存在するのか、一意であるのか、初期値近傍での解の振る舞いはどうなのか」ということを調べる局所理論や、「解が全域でどのように振る舞うのか」ということを研究する大域理論によって解について有用な情報を得ようとするアプローチがなされます。

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