sinx/x の極限値
三角関数の極限値については次のような公式が知られています。
\[\begin{align*}&\lim_{x\rightarrow 0}\frac{\mathrm{sin}x}{x}=1 \tag{1}\\[6pt]
&\lim_{x\rightarrow 0}\frac{\mathrm{tan}x}{x}=1\tag{2}\\[6pt]
&\lim_{x\rightarrow 0}\frac{1-\mathrm{cos}x}{x^2}=\frac{1}{2} \tag{3}\\[6pt]
&\lim_{x\rightarrow 0}x\: \mathrm{sin}\frac{1}{x}=0 \tag{4}\\[6pt]
&\lim_{x\rightarrow \infty }x\: \mathrm{sin}\frac{1}{x}=1 \tag{5}\end{align*}\]
特に (1) は $\sin x$ の導関数を求めるために必要な最重要公式ですので、必ず憶えておくようにしてください。 (2) から (5) はすべて (1) から導くことができます。
証明
(1) $f(x)=\sin x/x$ とおくと、$f(-x) = f(x)$、すなわち $f(x)$ は偶関数ですから、$x$ が正の場合について証明すればよいことになります。最終的には $x$ → $0$ の極限を考えるので、 $0\lt x\lt \pi/2$ となります。
図のように単位円と 2 つの三角形を描きます。△ OAB < 扇形 OAB < △ OAC という大小関係があります。ここで角度 $\theta$、半径 $r$ の扇形の面積は
\[\frac{1}{2}r^2\theta\]ですから、
\[\frac{1}{2}\mathrm{sin}x< \frac{1}{2}x < \frac{1}{2}\mathrm{tan}x\]
が成り立ちます。 $1/2$ を払って $\sin x$ で割ると
\[1< \frac{x}{\mathrm{sin}x} < \frac{1}{\mathrm{cos}x}\]
逆数をとると不等号の向きが変わります。
\[1< \frac{\mathrm{sin}x}{x}< \mathrm{cos}x\]
$x$ → $+0$ のとき $\cos x$ → $1$ ですから
\[\lim_{x\rightarrow 0}\frac{\mathrm{sin}x}{x}=1\]
となります。
(2) の証明
\[\lim_{x\rightarrow 0}\frac{\mathrm{tan}x}{x}=\lim_{x\rightarrow 0}\frac{1}{\mathrm{cos}x}\frac{\mathrm{sin}x}{x}=1\]
(3) の証明
\[\lim_{x\rightarrow 0}\frac{1-\mathrm{cos}x}{x^2}=\lim_{x\rightarrow 0}\frac{1-\mathrm{cos}^2x}{x^2(1+\mathrm{cos}x)}=\frac{1}{2}\]
(4) の証明
\[0\leq \left | \mathrm{sin}\: \frac{1}{x} \right |\leq 1\\
0\leq \left | x\: \mathrm{sin}\: \frac{1}{x} \right |\leq |x|\\
\therefore \lim_{x\rightarrow 0}x\: \mathrm{sin}\: \frac{1}{x}=0\]
(5) $1/x = t$ とおくと、$x$ → $\infty$ のとき $t$ → $0$ となるので
\[\lim_{x\rightarrow \infty }x\: \mathrm{sin}\: \frac{1}{x}=\lim_{t\rightarrow 0}\frac{\mathrm{sin}t}{t}=1\]
エクセルや数学に関するコメントをお寄せください
sinx/xと書くべきところをx/sinxと書いているのが2箇所ありますね。
それも片方は記事タイトルです。
教えてくださってありがとうございます。
まさかタイトルでこんな大間違いをしているとは思ってもいませんでした。
記事は修正させていただいきました。