確率密度や分布関数は完全な情報を含んでいるので、もしこれがわかっているのなら、統計的な検証など必要なくなってしまいます。しかし複雑な現実問題の多くは、このような関数がきれいな形で与えられていることは極めて稀です。とはいえ、確率密度の形はわからないけれど、とりあえず集めたデータから「分布は大体このぐらいの範囲に収まっている」というような大雑把な傾向を掴みたいときがあります。そこで活躍するのが期待値と分散です。
期待値
確率変数
を
を平均値 (mean) あるいは、
という形で表すことができます。
分散
平均のまわりの二次のモーメントを 分散(variance)とよびます:
また、分散は平均値
と表すこともできます:
分散
上の図は正規分布における
期待値と分散の計算例
離散確率変数
サイコロを 1 回振って出た目の変数を
で与えられます。これはサイコロを繰り返し振ったときに「出る目の平均が 3.5」であることを意味しています。実際にサイコロを 100 回投げて、出た目を全て足して 100 で割れば、おおよそ 3.5 の値になるということです。
また標準偏差は
連続的確率変数
確率統計分野でよく使用されるガンマ関数は
という積分で定義され、
のように簡単に計算できます。これを用いて
という積分値を準備しておきます。
で与えられるような分布を考えてみます。まず
また期待値を計算すると
となります。下図のように期待値を境目として
分散は次のように計算できます。
標準偏差は分散の平方根をとって
エクセルや数学に関するコメントをお寄せください