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独立試行の確率と反復試行の確率

独立試行の確率

硬貨を続けて投げる試行を考えるます。
1 回目に表 (head) あるいは裏 (tail) のどちらが出たとしても、2 回目の試行に影響を与えません。1 回目に表が出る確率は 1/2 であり、2 回目に表が出る確率もまた 1/2 です。同様に 3 回目、4 回目 … と続けても、それは過去の試行の影響を受けることはなく、各回で表が出る確率は 1/2 となります。このように複数の試行について、それぞれの結果の起こりかたが互いに何も影響を与えないとき、これらの試行は互いに独立である、あるいは独立試行(independent trials)であるといいます。

しかしトランプから 1 枚を引く試行と、引き続いてもう 1 枚を引く試行は互いに独立ではありません。なぜなら、たとえば 1 枚目でスペードを引いたとすると、2 枚目でスペードは少しだけ出にくくなってしまうからです。

一般に試行 $T_1$ と $T_2$ が独立な試行であるとき、$T_1$ の結果として起こる任意の事象 $E_1$ と $T_2$ の結果として起こる任意の事象 $E_2$ とは独立な事象です。このとき乗法定理
 \[P(E_1\cap E_2)=P(E_1)P(E_2|E_1)\]
において $P(E_2|E_1)=P(E_2)$ とおくと、
 \[P(E_1\cap E_2)=P(E_1)P(E_2) \tag{A}\]
が成り立ちます。

反復試行の確率

同一条件のもとで同じ試行を繰り返すことを反復試行(repeated trials)といいます。前後の試行の結果は互いに影響を与えないので、これは独立試行であり、乗法公式 (A) が成り立ちます。以下で反復試行の具体例を見ていきます。例として、サイコロを 5 回続けて振って 1 の目が 2 回出る確率を計算してみます。「 1 の目が出る」ことを 〇 で、「 1 以外の目が出る」ことを × で表すと、たとえば

〇 × 〇 × ×

というような結果が得られます。このような状態になる確率は乗法公式 (A) により
 \[\left(\frac{1}{6}\right)^2 \left(\frac{5}{6}\right)^2\]
で計算できます。また、このような 〇 と × の並び方は

□ □ □ □ □

の中から、〇 を入れるマス目を 2 つ選ぶ方法の数に等しいので
 \[{}_5\mathrm{C}_2=\frac{5\cdot 4}{2\cdot 1}=10\]
となります。したがって求める確率は
 \[10\left(\frac{1}{6}\right)^2 \left(\frac{5}{6}\right)^2=\frac{625}{3888}\]
となります。一般に $n$ 回の反復試行について次のような公式が成り立ちます。

1 回の試行で事象 $A$ の起こる確率を $p$ とすると、$n$ 回の独立な反復試行によって $A$ が $r$ 回起こる確率は
\[P_r={}_n\mathrm{C}_r\:p^r\:(1-p)^{n-r}\]で与えられる。

しかし状況によっては、上の公式が使えないこともあります。今度は硬貨を続けて 5 回投げて「表が続けて 3 回出る確率」を計算してみましょう。表を H , 裏を T で表すと、表 (H) が続けて 3 回出る並び方は次の 3 通りだけです。

H H H T T
T H H H T
T T H H H

よって求める確率は
 \[3\left(\frac{1}{2}\right)^3\left(\frac{1}{2}\right)^2=\frac{3}{32}\]
となります。

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