Excel でベクトル演算を実行するためのワークシートを作ってみましょう。最初に完成図を載せておきます。
【Excel】ベクトル演算
この記事では
\[\vec{A}=\begin{pmatrix}a_1\\ a_2\\ a_3\end{pmatrix},\quad\vec{B}=\begin{pmatrix}b_1\\ b_2\\ b_3\end{pmatrix}\]
という 3 次元ベクトルを扱いますが、2 次元ベクトル同士を計算させたい場合は 3 つめの成分に 0 と入力しておいてください。
ベクトルの成分を囲む () はオートシェイプで作成します。
[挿入] ⇒ [図形] の順に選択して、メニューから [大かっこ] を選びます。
縦横のサイズなどは適当に調整して、成分を囲むように配置してください。
ベクトルの足し算と引き算
$\vec{A}$ と $\vec{B}$ の和と差は
\[\begin{align*}\vec{A}+\vec{B}=\begin{pmatrix}a_1+b_1\\ a_2+b_2\\ a_3+b_3\end{pmatrix}\\[6pt]\vec{A}-\vec{B}=\begin{pmatrix}a_1-b_1\\ a_2-b_2\\ a_3-b_3\end{pmatrix}\end{align*}\]
によって定義されています。
上図のように、セル D6 に
=C2+E2
と入力してセル D8 まで数式をコピーすると、$\vec{A}$ と $\vec{B}$ の各成分同士が足し算されます。次は $\vec{A}-\vec{B}$ と $\vec{B}-\vec{A}$ を計算させてみましょう。
上図のように、セル G6 と G6 にそれぞれ
=C2-E2 =E2-C2
と入力して、8 行目まで数式をコピーすると成分同士が引き算されます。
ベクトルの内積と外積
次はベクトルの内積と外積(ベクトル)を計算します。
ベクトル $\vec{A}$ と $\vec{B}$ の内積は
\[\vec{A}\cdot\vec{B}=a_1b_1+a_2b_2+a_3b_3\]
によって定義されています。また外積(ベクトル積)は
\[\vec{A}\times\vec{B}=\begin{pmatrix}a_2b_3-a_3b_2\\a_3b_1-a_1b_3\\a_1b_2-a_2b_1\end{pmatrix}\]
によって定義されています。また外積の演算順序を逆にすると
\[\vec{A}\times\vec{B}=-\vec{B}\times\vec{A}\]
となります。
セル D 11 には
=C2*E2+C3*E3+C4*E4
と入力して内積を計算させます。またセル G10, J10 にはそれぞれ
=D7*G8-D8*G7 =-G10
と入力して この数式を 12 行までコピーして外積を計算します。
ベクトルの大きさ
今回のシートには載せていませんが、ベクトルの大きさ
\[\begin{align*}|\vec{A}|=\sqrt{a_1^2+a_2^2+a_3^2}\\[6pt]|\vec{B}|=\sqrt{b_1^2+b_2^2+b_3^2}\end{align*}\]
を計算したいときは、任意のセルに
=SQRT(C2^2+C3^2+C4^2) =SQRT(E2^2+E3^2+E4^2)
と入力してください。
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