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オイラー関数

今回は数論の中でも極めて重要な役割を担うオイラー関数(オイラーのφ関数)について解説します。

オイラー関数(オイラーのφ関数)

【定義D3】正整数 n と互いに素な n 以下の正整数の個数を φ(n) と書き、これをオイラー関数 (Euler’s function) と定義する。

たとえば n=10 以下の正整数
{1,2,3,4,5,6,7,8,9}
のうち 10 と互いに素である要素は
{1,3,7,9}
の 4 個なので φ(10)=4 となります。n が素数 7 であるとき、7 以下の正整数
{1,2,3,4,5,6,7}
のうち 7 自身を除く要素は全て 7 と互いに素なので、φ(7)=71=6となります。一般に素数 p について
φ(p)=p1
が成り立ちます。また n=54 の場合を考えると、154 のうち、5 の倍数は 5 つごとに現れるので、その個数は
54/5=53
あって、それ以外の数は 5 と互いに素です。すなわち
φ(5)=5453=53(51)=500
となります。一般に n=pk のときは

φ(pk)=pkpk1=pk(11p)
によって与えられます。

ここからさらに一般化して n=p1a1p2a2pkak の場合の φ(n) を求めたいのですが、それにはオイラー関数が乗法的であることを証明する必要があります。

【定理D6】オイラー関数は正整数 a,b について
φ(ab)=φ(a)φ(b)を満たす。

[証明] 1ab を次のように並べます。

1 2 t a
1+a 2+a t+a 2a
1+2a 2+2a t+2a 3a
1+(b2)a 2+(b2)a t+(b2)a (b1)a
1+(b1)a 2+(b1)a t+(b1)a ba

1 行目において a と互いに素である数は φ(a) 個あります。それを小さい順に並べて
(1){a1,a2,aφ(a)}
とします。この中の1つを t とすると、
(2){t,t+a,t+(b1)a}
はいずれも法 b について合同ではありません。実際、
t+kat+la(modb),(0k<lb1)
とおいてみると
(lk)a0(modb)
となりますが、0<lk<b,(a,b)=1 なので、この合同式は成り立ちません (lkb より小さいので b で割り切れるはずがありません)。したがって (2) は完全剰余系をなしていることになり、b と互いに素な数は φ(b) 個あることになります。このことは (1) の φ(a) 個の数それぞれについていえるので、ab より小さくて ab と互いに素である数は全部で φ(a)φ(b) 個あることになります。すなわちオイラー関数は乗法的関数です。(証明終)

オイラー関数が乗法的であることがわかっったので n
n=p1a1p2a2pkak
のように素因数分解されるとき φ(n)
φ(n)=p1k(11p1)p2k(11p2)pkk(11pk)
のように乗算で表すことができます。すなわち次の定理が成り立ちます。

【定理D6】正整数 nn=p1a1p2a2pkak のように素因数分解されるとき、
φ(n)=n(11p1)(11p2)(11pk)

例として φ(4500) を計算してみます。
4500=223253 と素因数分解できるので、
φ(4500)=4500(112)(113)(115)=1200
となります。すなわち 4500 以下の数で 4500 と互いに素である数は 1200 個あるということです。

約数のオイラー関数の和

15 以下の数について、それぞれ 15 との最大公約数を求めて下の表に並べてみます(左の列です)。

(15,x) (5,x/3)
(15,1)=1
(15,2)=1
(15,3)=3 (5,1)=1
(15,4)=1
(15,5)=5
(15,6)=3 (5,2)=1
(15,7)=1
(15,8)=1
(15,9)=3 (5,3)=1
(15,10)=5
(15,11)=1
(15,12)=3 (5,4)=1
(15,13)=1
(15,15)=15

この中から 15 と最大公約数が 3 になる数、すなわち
(15,x)=3
を満たす x
x=3,6,9,12
の計 4 個あります。またこれは右列を見ると
(153,x3)=(5,x3)=1すなわち (5,t)=1 をみたす t の数と一致しています。
その数はオイラー関数を用いて
φ(5)=4
で計算することができます。一般に次の定理が成り立ちます。

【定理D7】d|a であるとき
(a,x)=d(1xa)を満たす xφ(a/d) 個存在する。

[証明] x=kd とおくと
(a,kd)=d(1kda)
となるので、
(ad,k)=1(1kda)
このような kφ(a/d) 個存在するので、(a,x)=d を満たす xφ(a/d) 個存在します。(証明終)

15 の約数を並べると
{1,3,5,15}
となります。先ほどの表から 15 との最大公約数がそれぞれの約数になるように x を分類すると(定理 D7 を使って計算することもできます)、
(15,x)=1φ(15)=8(15,x)=3φ(5)=4(15,x)=5φ(3)=2(15,x)=15φ(1)=1
となります。これらは 15 以下の数について全て数え上げているのですから、
φ(1)+φ(3)+φ(5)+φ(15)=15
が成り立ちます。すなわち 15 の約数のオイラーの関数の和が 15 自身に一致します。このことはもちろん一般にも成り立ちます。

【定理D8】正整数 n のすべての約数について、オイラー関数の和をとると n に等しくなる。すなわち
d|nφ(d)=n

n=12 でも試してみます。12 の約数は
{1,2,3,4,6,12}
なので、
d|12φ(d)=φ(1)+φ(2)+φ(3)+φ(4)+φ(6)+φ(12)=1+1+2+2+3+2+1=12
となって確かに 12 に一致しています。

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