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πが無理数であることの証明

円周率 $\pi$ は $\sin{\pi}=0,\:\cos{\pi}=-1$ を満たすような定数であると定義して、円周率が無理数であることを証明します。

円周率が無理数であることの証明

まず、次のような関数を定義します。
 \[f(x)=\frac{p^n}{n!}x^n(\pi-x)^n\]
定義から明らかなように、$f(x)$ は
 \[f(x)=f(\pi-x)\]
という周期性があり、$m$ 階導関数について
 \[f^{(m)}(\pi)=(-1)^mf^{(m)}(0)\]
という関係をみたします。この $f(x)$ に $\sin{x}$ をかけて $0$ から$\pi$ まで積分した値を I とおきます。
 \[I=\int_{0}^{\pi}f(x)\sin{x}dx\]
この積分値 $I$ について2通りの方法で評価します。

① $0\lt x\lt\pi$ より
 \[0\lt x(\pi-x)\lt\pi(\pi-x)\lt\pi^2\]
$n$ 乗して $n!$ で割ります。
 \[\begin{align*}&0\lt\frac{p^n}{n!}x^n(\pi-x)^n\lt\frac{p^n}{n!}\pi^2n\\&0\lt f(x)\lt \frac{p^n}{n!}\pi^2n\end{align*}\]
$0\lt x\lt\pi$ の範囲では $0\lt\sin{x}\lt 1$ なので
 \[0\lt f(x)\sin{x}\lt\frac{p^n}{n!}\pi^2n\]
$0$ から $\pi$ まで積分すると
 \[0\lt I\lt\frac{(p\pi^2)^n}{n!}\pi\]
ここで
 \[\lim_{n\rightarrow\infty}\frac{\alpha ^n}{n!}=0\tag{1}\]
が成り立つので、適当に大きな $n$ をとれば
 \[0\lt I\lt 1\]
となります。

② 部分積分によって実際に $I$ を計算します。ここで
 \[\int f(x)\sin{x}dx=\sum_{k=0}^{\infty}(-1)^k\:[f^{(2k+1)}(x)\sin{x}-f^{(2k)}(x)\cos{x}] \tag{1}\]
という積分公式を用いると、
 \[I=2\sum_{k=0}^{n}(-1)^kf^{(2k)}(0)\]
が得られます。ここで二項展開の公式
 \[(a+b)^n=\sum_{k=0}^n{}_n\mathrm{C}_k\:a^{k}\:b^{\:n-k}\]
を用いて $f(x)$ を展開すると
 \[f(x)=\frac{p^n}{n!}\:\sum_{k=0}^{n}(-1)^k\,_{n}C_{k}\pi^{n-k}x^{n+k}\]
$x^n$ の係数を簡単に $a_N$ で表すと、
 \[f(x)=a_nx^n+a_{n+1}x^{n+1}+\cdots +a_{n+k}x^{n+k}+\cdots\]
となります。これを $n+k$ 回微分すると、$x^{n+k}$ 以降を微分した項だけが残り、また $x^{n+k}$ を微分した項のみ定数となります。よって、$x=0$ を代入すると $x^{n+k}$ を微分した項以外は全て消えます。よって
 \[f^{n+k}(0)=\frac{p^n}{n!}(-1)^k\,_{n}C_{k}(n+k)!\:\pi^{n-k}\]
となります。ここで円周率が自然数 $a,\ b$ によって
 \[\pi=\frac{b}{a}\]
と書ける(つまり有理数である)と仮定します(背理法)。$f(x)$ の $p$ は任意ですから $p$ を $a$ で置き換えてみると
 \[p^n\pi^{n-k}=a^n\pi^{n-k}=a^n\left(\frac{b}{a}\right)^{n-k}=a^k\:b^{n-k}\]
これは整数です。つまり $I$ は整数ということになります。しかし①で $I$ は $0$ から $1$ の間にある数だと評価しました。これは矛盾します。よって円周率無理数です。

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