科学技術の世界では日常生活では把握できないような短い時間間隔でメカニズムを制御することがあります。たとえば、ミリ秒(milli-second)。これは読んで字の如く千分の一秒を表す単位ですが、ハードディスクなどがデータを読み書きするための時間(シークタイム)の単位として用いられたりします。
プランク時代
しかし宇宙の始まりを研究する分野では、とんでもなく短い時間の単位が使われることがあります。それがプランク時間 (Planck time)とよばれる時間の最小単位です。どのくらい短いのかというと …
\[t_p=\sqrt{\frac{\hbar G}{c^5}}=5.391\times10^{-44}s\]
です。ここに G は万有引力定数、c は真空中の光速です。
本当に小さな時間単位ですが、これは宇宙のある「時代」を表す単位でもあるのです。それはプランク時代 (Planck epoch)とよばれる、ビッグバンが起きてからわずか $1t_p$ までの期間のことです。この時代の宇宙は小さな1点に凝縮されていて、物理法則も現在とは全く異なっていました。現在ではばらばらになっている「強い力、電磁力、弱い力、重力」という4つの力は1つに統一されており、大統一理論の時代ともよばれます。
このプランク時代に生じた「対称性の破れ」によってインフレーション時代が始まり、そこから急激に宇宙が膨張したと言われています。量子力学における不確定性関係により、このプランク時間は物理的に意味をもつ最小時間単位だと言われています。これ以上小さく分割することはできません。だから時間というのは連続しているわけでなく、離散的(とびとびの)量であるということです。とはいっても、その「とびとび」の量はあまりに小さすぎて、人間の感覚からすれば時間は十分に連続的ではありますけどね。
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