数学の中でも数列は Excel の操作感覚にぴたりと合う分野といってよいでしょう。相対参照で同じ演算を作用させ続けるオートフィル機能とは、まさに数列そのものです。まず簡単に等差数列について復習し、そのあと実際に Excel に数列を計算させてみましょう。
初項
のことを等差数列とよびます。このとき、
と表せます。また
というように、任意の二項間の関係が得られます。たとえば、初項 1 に順次 3 を加える数列
の一般項は、
と表すことができます。またその項数は
より、
等差数列の各項の総和
を等差級数 とよび、末項を
【(3)(4)の証明】等差数列の和を書き下すと
と表せます。これを逆順にして
と書いて両式を足し合わせてみると、
と同じ形の項が
という表式が得られます。ここで末項
なので、
と表すこともできます。たとえば、自然数を
となります。また奇数を
となります。偶数を
のようになります。
【Excel】等差数列の作成
基本的に Excel で数列を計算する場合は初項
という関係式を使います。たとえば第 4 項までの和
それでは新しいシートを用意してください。初項
=$F$2
と入力しておきます。数列が 1 項しかなければ和は
=B2
と入力します。
さて、セル B3 には「1 つ前のセルに公差 d を加えた」データを入れます。「1 つ前のセル」は相対参照で、公差
=B2+$F$3
と入れておきます。そして右下隅をダブルクリックすると、末項までこの関係が保持されたデータが入り、一般項
次はこの数列の和を計算するために、さきほどの公式 (4)
を用います。「1 つ前のセルに左隣のセルを加える」というデータを作ります。相対参照で
=C2+B3
と入力します。右下隅をダブルクリックして数列の和のデータが入ります。
ちゃんと合っているのかどうか不安な人は検算しておきましょう。
合ってますね! 次は初項を 2、公差を 4 に変えてみます。
一般項と和が一瞬で計算され直しました。
Excel は自由度の高い計算ソフトですから、同じ数列計算シートでも人によって仕様が異なる可能性があります。たとえば初項と公差の入力項目を用意せずに セル B2 に「1」を入れて、B3 には
=B2+2
としても計算上は問題ありません。しかしこれでは何がパラメータなのか分かり難いうえに、公差を変えようとしたときに、セル B3 の式を書き直さなければならなくなってしまいます。色々な数列を調べたいと思ったときに、これではストレスが溜まるばかりですね。Excel でシートを作るさいには可能な限り「データの1部を変えて対応するデータを全て変化させる」という仕様にすることが大切です。これは数学に限らず会社で作成する見積書などでも同じことです。また、VBA と連動させるような複雑なシートならいっそう重要になってきます。「どの部分がパラメータで、対応する可変データはどこなのか」を分かりやすく構成する、ということを常に意識してください。
「連続データの作成」機能による等差数列の生成
Excel の「連続データの作成」機能を使って、等差数列を生成することもできます。例として、初項 5、等差 3 の等差数列を生成してみましょう。下図のように、A 列に項数を適当に用意して、セル B2 に初項 5 を入力しておきます。
次に「ホーム」タブの右隅にある「フィル」アイコン (↓ のようなマーク) をクリックして、「連続データの作成」を選択します。
「範囲」の「列」と「種類」の「加算」にチェックを入れて、「増分値」に 3 を入力します。設定した値以下でデータを止めるのが「停止値」です。大きめに適当な値を入れておきましょう。ここでは 99 に設定しておきます。
「OK」ボタンをクリックするか、[Enter] キーを押すと、下図のように等差数列が完成します。
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