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モーメント定理

モーメント定理

関数 f(x)n 次のモーメントは次のように定義されます。
 (A)mn=xnf(x)dx(n=0,1,)
これは確率や物理学における剛体運動などの分野で多用される積分です。たとえば n=1 のときは確率の期待値などを表します。そしてこのモーメントについて次の定理が成り立ちます。

関数 f(x) のフーリエ変換を
F(ω)=f(x)eiωxdxとすると、モーメント定理
(B)(i)nmn=dnF(0)dωnが成り立つ。

この定理は後述するようにガウス関数のフーリエ変換を求める場合などに用いられます。

【モーメント定理の証明】eiωx を級数展開すると
 eiωx=n=0(iωx)nn!
となるので、これを F(ω) の式に代入すると
 F(ω)=f(x)[n=0(iωx)nn!]dx=n=0(iω)nn!f(x)xndx=n=0(i)nωnn!mn
一方で F(ω) を級数展開すると
 F(ω)=n=0ωnn!dnF(0)dωn
となるので係数を比較して
 (i)nmn=dnF(0)dωn
が成り立ちます。

ガウス関数のフーリエ変換

モーメント定理を用いてガウス関数
 (C)f(x)=eax2(a>0)
フーリエ変換を求めてみます。ガウス関数の積分公式
 (D)eax2dx=πa(a>0)
an 回微分すると
 (E)x2neax2dx=135(2n1)2nπa2n+1
となります。関数 f(x)n 次のモーメントは
 mn=xnf(x)dx(n=0,1,)
によって定義されているので、(E) は eax22n 次のモーメントです。モーメント定理の証明の課程で述べたように、f(x) のフーリエ変換 F(ω)
 F(ω)=n=0(i)nωnn!mn
と表すことができます。ガウス関数は偶関数なので
 m2n+1=x2n+1eax2dx=0
となり、F(ω) の表式において mn の代わりに m2n を使って
 F(ω)=n=0(i)nωnn!m2n
と書くことができます。すなわち
 (F)F(ω)=πan=0135(2n1)(2a)n(2n)!(iω)2n
となります。ここで exp(ω24a) の級数展開を考えると
 exp(ω24a)=n=0(ω24a)2n!=(1)nω2n(2a)n2nn!=(1)nω2n(2a)n(2n)(2n2)21=(1)nω2n(2n1)(2n3)31(2a)n(2n)(2n2)21=(1)nω2n(2n1)(2n3)31(2a)n(2n)!
となって、これは (F) の和の部分と一致します。よってガウス関数のフーリエ変換は
 F(ω)=πaexp(ω24a)
となります。

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