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ガウス積分

指数関数の微分と積分

指数関数の導関数は次の形で求められます。
 \[\begin{align*}(e^x)’&=e^x\tag{1}\\[6pt](a^x)’&=a^x\log a\tag{2}\end{align*}\]
ここに $e$ はネイピア数(自然対数の底)であり、
 \[e=\lim_{x\rightarrow \infty}\left( 1+\frac{1}{x}\right)\]
によって定義されています。また公式 (2) の $a$ は正の実数です。対数関数の微分公式 を前提に (1) を証明することもできますが、まず最初に微分の定義にしたがった証明法を載せておきます。

【(1)の証明 (A)】そのための準備として
 \[\lim_{x\rightarrow 0}\frac{e^x-1}{x}=1\]
を示しておきます。$e^x-1=h$ とおくと
 \[\begin{align*}\lim_{x\rightarrow 0}\frac{e^x-1}{x}&=\lim_{h\rightarrow 0}\frac{h}{\log (1+h)}\\[6pt]&=\lim_{h\rightarrow 0}\frac{1}{\log (1+h)^{1/h}}=\frac{1}{\log e}=1\end{align*}\]
となります。これを用いて $e^x$ の導関数を計算すると
 \[(e^x)’=\lim_{\Delta x\rightarrow 0}\frac{e^{x+\Delta x}-e^x}{\Delta x}=e^x\lim_{\Delta x\rightarrow 0}\frac{e^{\Delta x}-1}{\Delta x}=e^x\]
となります。

【(1)の証明 (B)】公式 (1) は対数微分を使って証明しすることもできます。$y=e^x$ の両辺の対数ととると
 \[\log y=x\]
となります。$(\log x)’=1/x$ を用いて両辺を微分すると
 \[\frac{y’}{y}=1\]
すなわち
 \[y’=y=e^x\]
となり $e^x$ は微分しても形が変わらないことが示されました。

【(2)の証明 (A)】正の実数 $a$ を底とする指数関数の導関数については、$e^x$ の微分公式と合成関数の微分公式によって簡単に導くことができます。
 \[a^x=e^{x\log a}\]
と書くことができるので、合成関数の微分公式より
 \[(a^x)’=\log ae^{x\log a}=a^x\log a\]
となります。

【(2)の証明 (B)】公式 (2) も対数関数の微分公式を既知として導くことができます。
$y=a^x$ の両辺の対数をとって(底は $e$ です)
 \[\log y=x\log a\]
両辺を $x$ で微分すると
 \[\frac{y’}{y}=\log a\]
となるので、
 \[y’=y\log a=a^x\log a\]
という公式が得られます。

【指数関数の微分の応用例】一般に $y=e^{\varphi(x)}$ の導関数は、合成関数の微分公式により
 \[(e^{\varphi(x)})’=\varphi'(x)e^x\]
によって与えられます。たとえば $y=e^{ax}$ を繰り返し微分してみると
 \[y’=ae^{ax},\quad y^{\prime\prime}=a^2e^{ax},\quad y^{\prime\prime\prime}=a^3e^{ax},\:\cdots\]
となるので
 \[y^{(n)}=a^ne^{ax}\]
であることがわかります。$y=e^{ax^2+bx+c}$ を微分すると
 \[y’=(2ax+b)e^{ax^2+bx+c}\]
となります。$y=e^{\sin x}$ の導関数は
 \[y’=e^{\sin x}\cos x\]
によって与えられます。微分公式 (1), (2) を積分形式で書き直すと次のようになります。
 \[\begin{align*}\int e^x dx=e^x+C \tag{3}\\[6pt]\int a^xdx=\frac{a^x}{\log a}\tag{4}\end{align*}\]
 
公式 (3) を使って、$xe^{x^2}$ の積分を求めてみます。
$x^2=t$ とおくと $2xdx=dt$ なので、
 \[\frac{1}{2}\int e^tdt=\frac{1}{2}e^t+C=\frac{1}{2}e^{x^2}+C\]
が得られます。あるいは $(e^{x^2})’=2xe^x$ から
 \[\int xe^{x^2}dx=\frac{1}{2}e^{x^2}+C\]
と求めることもできます。

ガウス積分

ガウス積分は指数関数と円周率を結びつける積分公式です。この公式は数学の様々な場面で活用されます。特にガンマ関数を学ぶ前に知っておくと便利な公式なので、大学初年度の比較的早い段階(解析学の重積分)で登場します。
 \[\begin{align*}\int_{-\infty}^{\infty }e^{-x^{2}}dx=&\sqrt{\pi}\tag{1}\\[6pt]\int_{-\infty }^{\infty}e^{-ax^{2}}dx=&\sqrt{\frac{\pi}{a}}\tag{2}\end{align*}\]
(1) を証明できれば、変数変換によって簡単に (2) を求めることができます。また被積分関数は偶関数ですから積分範囲を半分にして
 \[\begin{align*}\int_{0}^{\infty }e^{-x^{2}}dx=&\frac{\sqrt{\pi}}{2}\tag{3}\\[6pt]\int_{0}^{\infty }e^{-ax^{2}}dx=&\frac{1}{2}\sqrt{\frac{\pi}{a}}\tag{4}\end{align*}\]
と書くこともできます。

【(1)の証明】直交座標系において $f(x)=e^{-x^2}$ を有限領域 $R$ で積分する式は次のように書くことができます。
 \[I_R=\iint_{R}e^{-(x^2+y^2)}dxdy\tag{5}\]
ここに $R$ は半径 $c$ の円内の領域を表すものとします。積分範囲を無限領域に拡大すると、x と $y$ はそれぞれ $-\infty$ から $+\infty$ の値をとることになるので、
 \[I=\int_{-\infty }^{\infty }\int_{-\infty }^{\infty }e^{-(x^2+y^2)}dxdy=\left ( \int_{-\infty }^{\infty }e^{-x^2}dx \right )^2\tag{6}\]
と一変数の積分の平方の形に書き直すことができます。これはこのまま一旦置いておいて、今度は (5) を極座標系 (r, θ) に変換することを考えます。すなわち変数 $x,\;y$ を
 \[x=r\cos \theta,\quad y=r\sin \theta\]
に置き換え、面積要素は
 \[dxdy=rdrd\theta\]
となります。また積分範囲は
 
\[0\leq r\leq c,\quad 0 \leq \theta \leq 2\pi\]
に変換されて次のように計算することができます。
 \[I_R=\int_{0}^{2\pi}d\theta \int_{0}^{c}e^{-r^2}rdr=2\pi\left [ -\frac{e^{-r^2}}{2} \right ]_{0}^{c}=\pi(1-e^{-c^2})\]
ここで $c\rightarrow\infty$ とすると右辺は円周率の値に収束します:
 \[I=\pi\tag{7}\]
(6) と (7) を結びつけると、
 \[\left(\int_{-\infty}^{\infty}e^{-x^2}dx\right)^2=\pi\]
となるので、
 \[\int_{-\infty}^{\infty}e^{-x^{2}}dx=\sqrt{\pi}\tag{1}\]
が得られます。

【(2)の証明】$x=\sqrt{a}t$ とおくと、
 \[\sqrt{a}\int_{-\infty }^{\infty }e^{-at^2}dt=\sqrt{\pi}\]
となるので、改めて $t$ を $x$ と書くと
 \[\int_{-\infty} ^{\infty} e^{-ax^{2}}dx=\sqrt{\frac{\pi}{a}}\tag{2}\]
という公式が得られます。

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