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直円柱の表面積を最小にする直径と高さの比率

【CL21】円柱の表面積を最小にする直径と高さの比率

直円柱の体積を一定に保つとき、その表面積が最小となるような直径と高さの比率を求めてください。

【ヒント】缶詰もこういう設計にすれば材料コストを抑えられます。だからといって市販の缶詰が全部こういう形をしているわけではありませんけどね(これはヒントでなく、ただの雑談です)。えーと、基本的な問題なので特に言うこともありませんけど、極小値の判定は二階微分を使うと楽です。わざわざ増減表やグラフを描かなくてもいいですよ。


【解答】体積を $V$ , 底面の半径と高さをそれぞれ $r,\:h$ とおくと、
 \[V=\pi r^2h \tag{A}\]
と表せます。また表面積は $r,\:h$ を変数として
 \[S(r,\:h)=2\pi r^2+2\pi rh\]
と表せますが、(A) を用いて $h$ を消去すると
 \[S(r)=2\pi r^2+\frac{2V}{r}\]
というように $r$ だけの関数で表せます。$r$ で微分すると
 \[S'(r)=4\pi r-\frac{2V}{r^2}\]
となります。さらにもう1度微分すると
 \[S^{\prime\prime}(r)=4\pi +\frac{4V}{r^3} \gt 0\]
なので、$S(r)$ のグラフは下に凸なので極小値が存在します。$S’=0$ とおくと
 \[2\pi r^3=V \tag{B}\]
という極小値における $r$ と $V$ の関係式が得られます。

求めたいのは $r/h$ なので、分子と分母に $2\pi r^2$ を掛けて (A) と (B) の関係式を代入すると
 \[\frac{r}{h}=\frac{2\pi r^3}{2\pi r^2h}=\frac{V}{2V}=\frac{1}{2}\]
となります。でもここで終わらないように! 問われているのは「半径と高さの比率」ではなく、「直径と高さの比率」なので、答えは 1:1(つまり直径と高さが等しいとき)です。入試などでこんなケアレスミスをするとあまりに悲しいので、解答を終えたあとは必ずもう1度だけ問題文をチェックしましょう。

エクセルや数学に関するコメントをお寄せください

  1. 成歩 より:

    中学一年生なのですが、学校で「表面積が最小になるときの円錐の半径と高さの比を求めよ」という課題が出ていて困っていたので助かりました。ありがとうございます。

    • Blog Cat より:

      このサイトを活用してもらえて、こちらも嬉しいです。
      でも、中学一年でそんな難しい宿題を出されたの?
      優秀な生徒が集まる進学校なのかな。

  2. 成歩 より:

    コメントで「表面積が最小になる円錐」と書きましたが「円柱」でした。すみません。

  3. Mom より:

    大文字のSは何を表していますか?また、どうしてhを消去することができるのですか?学生時代数学がさっぱり苦手で、二階微分・・・???となっている私にどうぞ噛み砕いて教えていただけないでしょうか。

    • Blog Cat より:

      円柱には上と下に半径 r の円があって、それぞれの面積は πr^2 なので、2 つ合わせて 2πr^2 です (^ は累乗を表す記号です)。円柱の側面の面積は半径 r の円周に高さ h を掛けて 2πrh となります。したがって、円柱の全面積は 2πr^2 + 2πrh であり、r と h の 2 変数関数となっている (r と h のどちらか、または両方を変化させれば面積が変化する) ので、これを S(r, h) という記号で表しています。ここで、円柱の体積は底円を縦に h だけ積んだものなので、V = π(r^2)h と表せます。両辺を πr^2 で割ると、h = V/(πr^2) というように、高さ h を体積 V を使って表すことができます。これを S(r, h) の式に代入すると
      S(r) = 2πr^2 + 2πrh = 2πr^2 + 2πrV/(πr^2) = 2πr^2 + 2V/r
      と表せます。問題の条件文より体積 V は一定なので、表面積 S は半径 r のみに依存する 1 変数関数となるわけです。

      S を r について微分した導関数 S'(r) は、S(r) の各点 r における接線の傾きをを意味します (さすがに微分についてゼロから説明すると一冊の本が必要なので、高校の教科書などを参考にしてください)。r に適当な値を入れてみると、S'(r) は正負どちらの値もとることがわかります。S'(r) をもう一度微分して(つまり S を二階微分して)得る関数を、S”(r) と表します。S”(r) は S'(r) の各点 r における接線の傾きを表す関数です。

      S”(r) > 0 である、つまり S”(r) が常に正であるということは、大まかにいえば、S の各点に引いた接線の傾き S'(r) が \ _ / のように、増加する方向へ変化するということです。つまり S(r) が下に凸であることを意味します。接線の傾きが 0 となる点、つまり S'(r) = 0 を満たす r が極小値です。下に凸な関数なので、極小値は最小値です。本文にあるように方程式を解いて極小値を得ることができます。