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ガウス積分

指数関数の微分と積分

指数関数の導関数は次の形で求められます。
 (1)(ex)=ex(2)(ax)=axloga
ここに e はネイピア数(自然対数の底)であり、
 e=limx(1+1x)
によって定義されています。また公式 (2) の a は正の実数です。対数関数の微分公式 を前提に (1) を証明することもできますが、まず最初に微分の定義にしたがった証明法を載せておきます。

【(1)の証明 (A)】そのための準備として
 limx0ex1x=1
を示しておきます。ex1=h とおくと
 limx0ex1x=limh0hlog(1+h)=limh01log(1+h)1/h=1loge=1
となります。これを用いて ex の導関数を計算すると
 (ex)=limΔx0ex+ΔxexΔx=exlimΔx0eΔx1Δx=ex
となります。

【(1)の証明 (B)】公式 (1) は対数微分を使って証明しすることもできます。y=ex の両辺の対数ととると
 logy=x
となります。(logx)=1/x を用いて両辺を微分すると
 yy=1
すなわち
 y=y=ex
となり ex は微分しても形が変わらないことが示されました。

【(2)の証明 (A)】正の実数 a を底とする指数関数の導関数については、ex の微分公式と合成関数の微分公式によって簡単に導くことができます。
 ax=exloga
と書くことができるので、合成関数の微分公式より
 (ax)=logaexloga=axloga
となります。

【(2)の証明 (B)】公式 (2) も対数関数の微分公式を既知として導くことができます。
y=ax の両辺の対数をとって(底は e です)
 logy=xloga
両辺を x で微分すると
 yy=loga
となるので、
 y=yloga=axloga
という公式が得られます。

【指数関数の微分の応用例】一般に y=eφ(x) の導関数は、合成関数の微分公式により
 (eφ(x))=φ(x)ex
によって与えられます。たとえば y=eax を繰り返し微分してみると
 y=aeax,y=a2eax,y=a3eax,
となるので
 y(n)=aneax
であることがわかります。y=eax2+bx+c を微分すると
 y=(2ax+b)eax2+bx+c
となります。y=esinx の導関数は
 y=esinxcosx
によって与えられます。微分公式 (1), (2) を積分形式で書き直すと次のようになります。
 (3)exdx=ex+C(4)axdx=axloga
 
公式 (3) を使って、xex2 の積分を求めてみます。
x2=t とおくと 2xdx=dt なので、
 12etdt=12et+C=12ex2+C
が得られます。あるいは (ex2)=2xex から
 xex2dx=12ex2+C
と求めることもできます。

ガウス積分

ガウス積分は指数関数と円周率を結びつける積分公式です。この公式は数学の様々な場面で活用されます。特にガンマ関数を学ぶ前に知っておくと便利な公式なので、大学初年度の比較的早い段階(解析学の重積分)で登場します。
 (1)ex2dx=π(2)eax2dx=πa
(1) を証明できれば、変数変換によって簡単に (2) を求めることができます。また被積分関数は偶関数ですから積分範囲を半分にして
 (3)0ex2dx=π2(4)0eax2dx=12πa
と書くこともできます。

【(1)の証明】直交座標系において f(x)=ex2 を有限領域 R で積分する式は次のように書くことができます。
 (5)IR=Re(x2+y2)dxdy
ここに R は半径 c の円内の領域を表すものとします。積分範囲を無限領域に拡大すると、x と y はそれぞれ から + の値をとることになるので、
 (6)I=e(x2+y2)dxdy=(ex2dx)2
と一変数の積分の平方の形に書き直すことができます。これはこのまま一旦置いておいて、今度は (5) を極座標系 (r, θ) に変換することを考えます。すなわち変数 x,y
 x=rcosθ,y=rsinθ
に置き換え、面積要素は
 dxdy=rdrdθ
となります。また積分範囲は
 
0rc,0θ2π
に変換されて次のように計算することができます。
 IR=02πdθ0cer2rdr=2π[er22]0c=π(1ec2)
ここで c とすると右辺は円周率の値に収束します:
 (7)I=π
(6) と (7) を結びつけると、
 (ex2dx)2=π
となるので、
 (1)ex2dx=π
が得られます。

【(2)の証明】x=at とおくと、
 aeat2dt=π
となるので、改めて tx と書くと
 (2)eax2dx=πa
という公式が得られます。

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