左右非対称な関数のグラフ
次のような関数を定義します。
\[f(x)=\frac{1-\sin x}{1+\sin x}\tag{1}\]
ただし $-\pi/2 \lt x \lt 3\pi/2$ を定義域としておきます。
さっそくグラフを描いてみます:
$x=\pi/2$ で最小値をとっていますね。
念のために、$f(x)$ を微分して確認してみます。
商の微分公式 $(g/f)’=(g’f-gf’)/f^2]$ を用いて計算すると、
\[f'(x)=\frac{-2\cos x}{(1+\sin x)^{2}}\]
が得られます。f$'(x)=0$ となるのは $x=\pi/2$ です。定義域の端で
\[\begin{align*}\lim_{x\rightarrow -\pi/2}f(x)=+\infty\\[6pt]\lim_{x\rightarrow 3\pi/2}f(x)=+\infty\end{align*}\]
なので、$f(\pi/2)$ は最小値であることがわかります。
分子の $\sin{x}$ を $\cos{x}$ に変えてみます。
\[g(x)=\frac{1-\cos x}{1+\sin x}\tag{2}\]
$y=f(x)$ が歪んだような左右非対称な関数です。
最小値は先程と同じように求められます。
\[g'(x)=\frac{\sqrt{2}\: \sin(\theta +\pi/4)+1}{(1+\sin x)^{2}}\]
$g'(x)=0$ となるのは、$x=2n\pi$。
定義域の範囲で考えると $x=0$ です。
定義域の端で $g(x)\rightarrow +\infty$ となるのは f(x) のときと同じです。
$y=f(x)$ や $y=g(x)$ の正確な概形を描くのは、手計算ではちょっと難しいと思います。$y=f(x)$ の底にべったりとくっついた形に気づくのは難しく、もう少し上ずった二次関数のような概形を描いてしまう可能性が高いです。$y=g(x)$ の場合は $x=\pi$ の付近で折れ曲がっている所が難しいですね。極値でもないし変曲点でもありませんから。いずれも入試などでは出題しにくいタイプの関数です。
漸近線によって区切られた関数
基本的な情報を確認しておきましょう。
$x\rightarrow\pm\pi/2$ で $\cos{x}\rightarrow 0,\:f(x)\rightarrow -\infty$ となるので、漸近線
\[x=\pi/2+n\pi\quad (n=0,\:\pm 1\pm 2)\]
によって区切られた周期関数であることがわかります。とりあえず $-\pi/2\lt x\lt \pi/2$ の範囲で考えてみます。
\[f'(x)=-\frac{2\sin x}{\cos x}\]
となるので、 $f'(x)=0$ とおいて、$x=0$ で極値をとります。$x\lt 0$ で $f'(x)\gt 0$、$x\gt 0$ で $f'(x)\lt 0$ なので、$f(0)$ は最大値となっています。$\log$ の中を $1+\cos^2{x}$ にすると不連続点は取り除かれます。
$f(x)$ を微分すると
\[f'(x)=-\frac{\sin 2x}{1+\cos^{2}x}\]
となるので、$x=n\pi/2$ で極値をとります。ただし、$n=2k$ で最大値 $f(k\pi)=\log{2}$、$n=2k+1$ で最小値 $f(k\pi+\pi/2)=0$ をとる周期関数です。
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