無限数列について収束を判定するために、隣り合った項比を利用することがあります。
\[\lim_{n\rightarrow\infty}\left|\frac{a_{n+1}}{a_n}\right|<1\;\;\Rightarrow\;\;\lim_{n\rightarrow \infty}a_n=0\]
この定理を証明してみましょう。
$n\rightarrow\infty$ で項比の絶対値が $1$ より小さな値に収束するとします。
\[\lim_{n\rightarrow\infty}\left|\frac{a_{n+1}}{a_n}\right|=c\lt\;r\lt\;1\]
すると、ある数より大きい全ての $N$ について
\[\left | \frac{a_{N+1}}{a_N} \right |< r\]
が成立するはずです(有限の $N$ を考えているので、最終的な収束値 $c$ よりは大きな値かもしれませんが、少なくとも $1$ よりは小さな、何かしらの値 $r$ をとるということです)。これは番号 $N$ を上げても当然成り立ちます。
\[\left|\frac{a_{N+2}}{a_{N+1}}\right|\lt\;r,\quad\left|\frac{a_{N+3}}{a_{N+2}}\right|\lt\;r,\quad\left|\frac{a_{N+3}}{a_{N+2}}\right|\lt\;r,\quad\cdots\left|\frac{a_{N+k}}{a_{N+k-1}}\right|\lt\;r\]
これを全部掛け合わせてしまうと
\[\left|\frac{a_{N+1}}{a_{N}}\right|\left|\frac{a_{N+2}}{a_{N+1}}\right|\left |\frac{a_{N+3}}{a_{N+2}}\right|\cdots\left|\frac{a_{N+k}}{a_{N+k-1}}\right|\lt\;r^k\]
隣り合った分数同士の分母と分子がキャンセルしあって
\[\left|\frac{a_{N+k}}{a_{N}}\right|\lt\;r^k\]
という式が得られます。つまり
\[\begin{align*}&\left|a_{N+k}\right|\lt\;\left|a_{N}\right |r^k\\[8pt]&\lim_{n\rightarrow\infty}\left|a_{N+k}\right|\lt\;\lim_{n\rightarrow\infty}\left|a_{N}\right|r^k\end{align*}\]
$0\lt r\lt 1$ なので、右辺の極限は $0$ となります。よって、
\[\lim_{n\rightarrow\infty}a_{n}=0\]
となって
\[\lim_{n\rightarrow\infty}\left|\frac{a_{n+1}}{a_n}\right |\lt\;1\quad\Rightarrow\quad\lim_{n\rightarrow\infty }a_n=0\]
であることが証明されました。
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