[1] LCM 関数 [2] 最小公倍数計算シート [3] 公倍数と最小公倍数 [4] 最小公倍数表
LCM 関数
LCM(数値1,数値2) は数値の 最小公倍数 を返します。たとえば
=LCM(8,12)
と入力すれば 8 と 12 の最小公倍数 24 を返します。
LCM は Least Common Multiple の略です。
この関数を用いると、普通の方法では計算の難しい大きな数の最小公倍数を得ることができます。たとえば
=LCM(42,124)
と入力すれば 2604 を得ることができます。
最小公倍数計算シート
2つの数値を入力して最小公倍数を計算するシートをつくってみましょう。
次の図を参照してください。
セル C2 と C4 にはユーザーが好きな値を入力できるようにしておきます。
今はとりあえず 6, 8 を入れておきましょう。
F24 にはセル C2 と C4 を引数に指定して
=LCM(C2,C4)
と入力します。「24」という数字が出力されるはずです。あとは C2 と C4 に好きな数字を入れて、色々と試してみてください。
また、2つの数字の公倍数はこの最小公倍数の倍数ですから、これもワークシートで簡単に計算させることができます。
最小公倍数表
LCM 関数を使って 2 ~ 15 の 最小公倍数表 を作ってみました。
必要であれば画像をコピーしてお持ち帰りください。
公倍数と最小公倍数
3 の倍数と 5 の倍数を並べてみましょう。
九九表の 3 の列と 5 の列です。
3, 6, 9, 12, 15, 21, 24, 27, 30, ……
5, 10, 15, 20, 25, 30, 35, 40, 45, 50 ……
そして共通する数に [ ] をつけてみます。
3, 6, 9, 12, [15], 21, 24, 27, [30], 33, ……
5, 10, [15], 20, 25, [30], 35, ……
とりあえず 15 と 30 という共通の数が見つかりましたね。これが 公倍数 とよばれる数です。もっとたくさんの数を並べていくと、このような数は無限に見つかります。公倍数の中で一番数の小さいものを 最小公倍数 とよびます。 3 と 5 の最小公倍数はもちろん 15 ですね。これを記号で
{3, 5} = 15
と書くこともありますが、集合の { } と勘違いされることもあるので、使い方には注意が必要です(個人的には別の記号を作ったほうがいいと思っています)。
実は 全ての公倍数は最小公倍数の倍数になっています。つまり 15 の倍数を並べて
15, 30, 45, 60, 75, 90, ……
これらの数が 3 と 5 の公倍数となっています。一見して当たり前のようにも思えますが、こんなに簡単なことでも全てのケースについて証明するのは、それなりに手順を踏まなくてはなりません。その証明は 10 月以降に予定されている『初等整数論講座』までお待ちください。とりあえず今のところは具体的な数字感覚を身につけておいてください。
問題①
2 と 6 の最小公倍数を見つけて、公倍数を 5 つ並べてください。
問題①の解答
2 の倍数と 6 の倍数を並べてみると、
2, 4, 6, 8, 10, ……
6, 12, 18, 24, 30, ……
ですから最小公倍数は 6 です。よってこのケースでは 6 の倍数
6, 12, 18, 24, 30, ……
がそのまま 2 と 6 の公倍数となっています。
問題②
2 と 3 の最小公倍数を見つけて、公倍数を 5 つ並べてください。
問題②の解答
2 の倍数と 3 の倍数を並べてみると、
2, 4, 6, 8, 10, ……
3, 6, 9, 12, 15, ……
最小公倍数は 6 ですから、6 の倍数
3, 6, 9, 12, 15, ……
が 2 と 3 の公倍数です。
大きな数の最小公倍数
少し数が大きくなると倍数を並べて最小公倍数を見つけるのは大変です。例として 126 と 210 の最小公倍数を考えてみましょう。下図のように 2 つの数に共通な約数で割っていきます。
「これ以上は無理」というところまで割ります。すると
126 = 2・3・3・5 [a] 210 = 2・3・3・7 [b]
と積の形に分解されることがわかりますね。 [a] に 7, [b] に 5 を掛けると、
126・7 = 2・3・3・5・7 210・5 = 2・3・3・5・7
となって同じ数に揃うことになります。つまりこれが最小公倍数となっているはずですから、答えは
2・3・3・5・7 = 630
となります。
問題③
315 と 495 の最小公倍数を求めてください。
問題③の解答
共通の約数で割っていくと ……
このようになります。現れた数を全て掛け合わせて
3・3・5・7・11 = 3465
が最小公倍数となります。
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